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【 東南アジアの旅 】
06: ベトナム サイゴン・サイゴン ⑥後書き、あるいはボーナストラック
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ベトナムに行って絶対食べたいもの、それはチェー。
よーするに餡蜜の親戚みたいなもの。
ベトナムに行って見つけたいもの。
それは「夏至」に出てくる優しげな部屋空間。
ありましたよ。両方を叶えてくれる場所が。
その名もラフネ・ソネ。
ここを見つけるのに約二十分の時間と、ベトナム叔父さん達のご尽力が必要だったけど。
ラフネ・ソネは99が含まれているビルの二階にあるんだけど、一見さんには一階にある入り口は絶対見つけられないと思うんだ。
見つけられたとしてもあの階段を上がるのは勇気がいると思うな。
そこで登場してくれたのがベトナム叔父さんA。
叔父さんAは、大きな声で最初から「おい日本人。ラフネ・ソネはそこだよ。」って迷子バレバレモードのアン達に声をかけてくれてたんだけど、彼が市内に五万といる「オートバイにもたれ掛かって一日中を過ごす正体不明人間」族だったので、「なにー?この叔父さん。」てな感じで無視してたの。
それで、他のいかにも健全な商売人って感じの叔父さんBに場所を訪ねたら、そこら中から人がわらわらと集まってきて、あれやこれやとアンの差し出した地図を見て相談をぶつわけ、、(うーん、、どっかのガイドブックにベトナム人は地図が読めないって書いてあったような、、まさかねー、、でもこの感じは、、。)で結局、地図からは何も判明せず、叔父さんB曰く、「お前達の探しているラフネ・ソネはここから約三キロ西へ行った所だ。」と指さし確認してくれたのでした。
「サンキュー」って愛想良く言ってみたものの「アン、場所的にはここで絶対合ってると思うんだけどな。三キロも行ったらさっきの場所に戻っちゃうよ。」って事で、その辺をうろうろしてたら、再び叔父さんAが「お前らさっきからなにしてんだ。ラフネ・ソネはそこだって言ってんだろうが」と声をかけてくる。
もうこうなったら度胸を決めるきゃないって感じで「ユーノウ、ラフネ・ソネ?」って聞いたら、俺についてこいって感じで、アン達が何度もその前を通った薄暗い上り階段に私たちを案内するじゃないの。
麻薬取引でもしてそうな細長い通路に連れ込まれて「やばいんじゃない。」って思う間もなく、叔父さんAは更に奥まった通路に入っていく。
確かにそこにはお店らしきドアがあるんだけど、何故かクローズドの掛札が、、、。
でもこの叔父さん、掛札を外して、なにやら店の中に声をかけている様子。
そして中からあわてて出てきたのがラフネ・ソネの店員さんという顛末。
叔父さんは「やることをやったから俺は帰るぜ」って感じで、颯爽と引き上げていったんだけど、、感謝するより先に「あんた何者?」っていう感じが強い人でした、、はい、、ゴメンネ、叔父さん。
今までさんざ、ベトナムの悪口を書いたけど、実は無茶苦茶、親切な人たちが市内にだって一杯存在するんだ。って事です。
こんな光景、日本にはないでしょ。
日本人はやさしいけど、出しゃばってまで他人の事、面倒見てくれないもの。
ラフネ・ソネは素敵な店です。
なんてたってオーナーが日本人女性、、つまりお店自体が、日本人の描くベトナムの美しい幻影を見事に具現化したものなんだから。
フランス風空間を持つラフネ・ソネの先客は、ヨーロッパ系の小柄な中年オヤジと背の高い若いアジア人女性。
彼ら、ずばり不倫カップルでしょう。
このオヤジ、横に彼女を侍らせながら店に入って来たアンにまで色目使いやがって一体何様のつもりだ、てな感じの人です。
白人優位感覚がその醜い身体からにじみ出てるぞ。
商売抜きで鞭でしばいてやりたいよ。
・・まったくもう。
でも良い隠れ家だよなー。
外の喧噪と、この内側の静謐さを隔てているのは、緑と花で飾られた出窓、、、ホーチミンシティの殺人的な雑踏もスクリーンに切り取ってしまえばそれなりに美しい、、、そして天井では巨大な扇風機がゆっくり回っている、、。
蓮のグリーンティを飲み、念願のチェーを食べる。
なんだろうこの懐かしさは、、子どもの頃に食べた(あるいは食べた筈の)お菓子の味がする。
美味しさなら、今の食べ物の方がずっと上だ。
見てくれの美しさも今の食べ物のほうがずっと上だ。
だけど今の食べ物を食べたって、ジーンとはしない。
きっとそれは食べ物だけじゃないだろうと思う。
「物が豊かになったから、心が貧しくなったんじゃない。物に関わる力と、物に心を込める力がなくなっただけだ。」確かそんな事を言っていた人がいたっけ、、。
グリーンティの黄緑の透明が午後の光の中で静かに輝いていた。
よーするに餡蜜の親戚みたいなもの。
ベトナムに行って見つけたいもの。
それは「夏至」に出てくる優しげな部屋空間。
ありましたよ。両方を叶えてくれる場所が。
その名もラフネ・ソネ。
ここを見つけるのに約二十分の時間と、ベトナム叔父さん達のご尽力が必要だったけど。
ラフネ・ソネは99が含まれているビルの二階にあるんだけど、一見さんには一階にある入り口は絶対見つけられないと思うんだ。
見つけられたとしてもあの階段を上がるのは勇気がいると思うな。
そこで登場してくれたのがベトナム叔父さんA。
叔父さんAは、大きな声で最初から「おい日本人。ラフネ・ソネはそこだよ。」って迷子バレバレモードのアン達に声をかけてくれてたんだけど、彼が市内に五万といる「オートバイにもたれ掛かって一日中を過ごす正体不明人間」族だったので、「なにー?この叔父さん。」てな感じで無視してたの。
それで、他のいかにも健全な商売人って感じの叔父さんBに場所を訪ねたら、そこら中から人がわらわらと集まってきて、あれやこれやとアンの差し出した地図を見て相談をぶつわけ、、(うーん、、どっかのガイドブックにベトナム人は地図が読めないって書いてあったような、、まさかねー、、でもこの感じは、、。)で結局、地図からは何も判明せず、叔父さんB曰く、「お前達の探しているラフネ・ソネはここから約三キロ西へ行った所だ。」と指さし確認してくれたのでした。
「サンキュー」って愛想良く言ってみたものの「アン、場所的にはここで絶対合ってると思うんだけどな。三キロも行ったらさっきの場所に戻っちゃうよ。」って事で、その辺をうろうろしてたら、再び叔父さんAが「お前らさっきからなにしてんだ。ラフネ・ソネはそこだって言ってんだろうが」と声をかけてくる。
もうこうなったら度胸を決めるきゃないって感じで「ユーノウ、ラフネ・ソネ?」って聞いたら、俺についてこいって感じで、アン達が何度もその前を通った薄暗い上り階段に私たちを案内するじゃないの。
麻薬取引でもしてそうな細長い通路に連れ込まれて「やばいんじゃない。」って思う間もなく、叔父さんAは更に奥まった通路に入っていく。
確かにそこにはお店らしきドアがあるんだけど、何故かクローズドの掛札が、、、。
でもこの叔父さん、掛札を外して、なにやら店の中に声をかけている様子。
そして中からあわてて出てきたのがラフネ・ソネの店員さんという顛末。
叔父さんは「やることをやったから俺は帰るぜ」って感じで、颯爽と引き上げていったんだけど、、感謝するより先に「あんた何者?」っていう感じが強い人でした、、はい、、ゴメンネ、叔父さん。
今までさんざ、ベトナムの悪口を書いたけど、実は無茶苦茶、親切な人たちが市内にだって一杯存在するんだ。って事です。
こんな光景、日本にはないでしょ。
日本人はやさしいけど、出しゃばってまで他人の事、面倒見てくれないもの。
ラフネ・ソネは素敵な店です。
なんてたってオーナーが日本人女性、、つまりお店自体が、日本人の描くベトナムの美しい幻影を見事に具現化したものなんだから。
フランス風空間を持つラフネ・ソネの先客は、ヨーロッパ系の小柄な中年オヤジと背の高い若いアジア人女性。
彼ら、ずばり不倫カップルでしょう。
このオヤジ、横に彼女を侍らせながら店に入って来たアンにまで色目使いやがって一体何様のつもりだ、てな感じの人です。
白人優位感覚がその醜い身体からにじみ出てるぞ。
商売抜きで鞭でしばいてやりたいよ。
・・まったくもう。
でも良い隠れ家だよなー。
外の喧噪と、この内側の静謐さを隔てているのは、緑と花で飾られた出窓、、、ホーチミンシティの殺人的な雑踏もスクリーンに切り取ってしまえばそれなりに美しい、、、そして天井では巨大な扇風機がゆっくり回っている、、。
蓮のグリーンティを飲み、念願のチェーを食べる。
なんだろうこの懐かしさは、、子どもの頃に食べた(あるいは食べた筈の)お菓子の味がする。
美味しさなら、今の食べ物の方がずっと上だ。
見てくれの美しさも今の食べ物のほうがずっと上だ。
だけど今の食べ物を食べたって、ジーンとはしない。
きっとそれは食べ物だけじゃないだろうと思う。
「物が豊かになったから、心が貧しくなったんじゃない。物に関わる力と、物に心を込める力がなくなっただけだ。」確かそんな事を言っていた人がいたっけ、、。
グリーンティの黄緑の透明が午後の光の中で静かに輝いていた。
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