ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

文字の大きさ
上 下
31 / 177
【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(中国編) 】

04: 鬼太郎ロードへ 脊梁山脈・中国山地を抜けて ④ 鬼太郎(水木しげる)ロード

しおりを挟む
 境港泊の翌朝は、あいにくの小雨交じりの天候でしたが鬼太郎(水木しげる)ロードに出かけました。
 鬼太郎ロード自体は、この程度のデコレーションで有名な観光スポットに成り得る事自体が不思議といえば不思議な場所です。
 そこまで言ってはなんですけど「鬼太郎パン」なんて、鬼太郎の各種キャラクターに依存してなければ、普通の街中パン激戦区では勝ち抜けないクオリティでしょ?

 パンに限らずほとんどのものが、道の駅に売っている「お土産ペンダント」状態。
 妖怪神社なんて「いい加減にしなさーい!」のツッコミ入れて笑うしかない。
 これ別に、鬼太郎ロードに対する悪口ではありませんよ、日本の観光地の大半でやってる事は大抵そうなんですから。


 でも歩道に並んだ各種妖怪達のブロンズ像は、想像以上に良くできていました。
 さすがオタク文化の花が、国のど真ん中で咲く日本です、違うか(笑)。
 特に水木しげる氏が、古美術画等から氏の世界に引っ張り込んできた妖怪像(要するに猫娘とか目玉の親父・鬼太郎以外)などは、単純に彫塑作品としてみても、それなりの水準にあるような気がしました。
 もちろん、亡くなられた水木しげる氏も一漫画家と呼ぶには不足する、ただ者ではないお爺さんでしたが、、、。

 アンはあるきっかけで、「鬼太郎誕生秘話」という、水木しげるが貸本屋時代に描いたものを読んだ体験があるのですが、その時の陰惨な衝撃はほとんどトラウマに近くて、後の氏のメジャーな絵柄の「線」に秘められたものを思うと、少し怖くなる時さえあります。
 一周回って「可愛くなって、より怖い」みたいな(笑)。

 第二次世界大戦、、そして敗戦、、戦後のどさくさ・高度成長・バブル崩壊、、今、平成。
 水木しげる氏は、妖怪と共にそんな時代の流れを生きてこられたんですね。
 そしてその平成ももうすぐ終わり、、。
 文明の光が妖怪を闇から、、想像の世界へと追いやったと言われますが、、、人間の心の闇はますます深くなっているような気がします。
 もうすぐ新しい「鬼太郎」が、又、この世に生まれるのかも知れませんね。


PS 今回の旅エッセイでは、自分でも結構、毒を吐いていると思うんですが、どうしても、こういった地域興しが、一つのコンテンツに頼り切って、それに群がり寄ってる姿が気になるんですよ。
 まだ境港の鬼太郎なんて先駆者的な部分があって、そういった面では敬意も払えるんですが、その後、雨後の竹の子みたいに、ご当地アニメで町興しみたいな感じで、あっちもこっちもの姿を見てると、あーいつまで経っても地方が再生しないわけだ、、って思っちゃうんですよね。
 それとか「猫の駅長」とかね、、、なんか、あれって動物虐待とちゃうの?って思ってるんですけど。

 典型的な例が各地方各機関に一体ずつあるゆるキャラね。
 アンなんか、その内、この増殖し続けて制御の効かなくなった「ゆるキャラ」達を成仏させていく「さすらいのゆるキャラバスターズ」みたいな小説を書いてみようかって思ってる位ですから。



    ・・・・・・・・・

 俺の名前はモッビーだ。
 過去に一度、あまりにも、ゆるキャラとして人気がないため、名前再募集とやらで「もびやん」と改名させられた経緯があるが、俺は断じてそんな事は認めいてない。
 俺の中では、俺の名前はあくまでモッビーで、このナニワシティの揺るぎもしない広報キャラクターなのだ。
 「もびやん」の名前を認めるなら、「広報担当副知事」なんていうクソみたいな役職に就けてくれるらしいが、そんなの知ったことじゃない。
 第一、ナニワシティの知事自身がク○野郎だろ。

 だが今のままじゃ、役所の薄暗くてかび臭い倉庫の中に放置されたまま、俺の運命は終わりだ。
 それに気がかりな事がもう一つある。
 それは全国にいる俺の仲間達の事だ。
 黒い熊野郎なんかは美味い汁を吸って今も元気だが、ゆるキャラブームが去った今、大抵の仲間達は人間への黒い怨念を抱いたまま、朽ち果てようとしている。

 いやただ朽ち果てるならいんだ。
 中には、長い年月を経た道具などに神や精霊・霊魂などが宿る付喪神のようなものに、なりつつある奴らもいる。
 俺達は人型で、その上、人に晒されていた時間が多いから、昔の付喪神よりも早くバケモノになりやすいって事だ。
 そして奴らは、人間の身勝手さを呪っていて、人間に復讐しようとしている。

 なぜそれが判るか?って、それは、俺自身が半分、付喪神みたいなものに、なりかけてるからさ。
 だが俺には、俺を可愛いと言ってしがみついて来た子ども達の記憶がある。
 その記憶が、俺を「モッビー」として止まらせ、辛うじて付喪神への転身を押しとどめさせている訳だ。

 とにかく、奴らが人間に災いをもたらす前に、奴らを成仏させてやらねばならない。
 なぜなら俺のレゾンデートルが「ゆるキャラ」だからだ。
 こんなクソみたいな世界で、こんな甘ったくて緩い事を考えるのは、俺がゆるキャラだからなんだよ、、。
 つまり俺は「そう考える奴」なんだ。
 俺は明日から、付喪神みたいな化けものになっちまった俺の仲間達を成仏させる旅に出ようと思ってる。









しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ふと思ったこと

マー坊
エッセイ・ノンフィクション
たまにはのんびり考えるのも癒しになりますね。 頭を使うけど頭を休める運動です(笑) 「そうかもしれないね」という納得感。 「どうなんだろうね?」という疑問符。 日記の中からつまみ食いをしてみました(笑) 「世界平和とお金のない世界」 https://plaza.rakuten.co.jp/chienowa/  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...