竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる

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 はあ、はあ、はあ……。

 荒い呼吸が仄暗い和室に溶けていた。
 妖艶に灯る照明、白い障子、絡みあう二人の影絵が踊る。
 僕とリュウの甘美の音が、愛らしく響く。
 激しく高鳴る心臓の鼓動と重なる。
 濁流に飲みこまれたように、強靭な肉体が崩れ落ちた。
 いつも余裕たっぷりのリュウは、ここにはいない。
 今の彼は、完全に性欲を剥き出しにした男、いや、獣だった。

「リュウさん……」
「アヤ……好きだ」

 僕は首を振った。

「ダメです……僕は男ですよ? こんなの正気の沙汰じゃない」
「アヤが男だろうとかまわない。俺は君が好きだ」

 リュウの真剣な眼差しを、僕は見返した。

「リュウさん、そんなに僕のことが好きなの?」
「ああ、そうだ。だから、もっとキスしていいか?」
「ダメです」
「わかった……」
「っん、わかってない……ああっ、ん」
 
 荒れ狂った猛獣さながらに、リュウは舌を使って僕の唇を奪う。
 いや、唇だけではない。
 首筋、耳、さらに首筋からはだけた浴衣のなかへと……。

「いやです、そこを舐めてはダメっ、あっあっ」
「男だって乳首は気持ちいだろ? 知らなかったか?」
「知らないですよぉ、そんなこと……っああ、ダメっ」
「男なのに敏感だな……すごいぞ、アヤ」
「……うぅぅ」

 ああ、なんてことだ。
 男に身をまかせるなんて、僕はバカか?
 頭がぼうっとする。身体が熱い。
 これって、快楽なのか?
 僕の上でリュウが波のように押し寄せる。
 潮騒さながらに荒い呼吸を耳もとに吹きかけ、
 
「アヤ、感じているのでは?」

 と訊く。

「……ち、違います」
「だよな、アヤは男だろ?」
「はい」
「男の俺にキスされて気持ちいいわけないよなぁ?」
「当たり前です。気持ちいいわけが、ないっ、やめて……あっ」

 チュッと音を立てて、リュウはキスしてくる。

「っん……」

 なんなんだよ、この声は?
 本当に僕から出た声なのか?
 とても、抑えることができない。
 どうしようもなく、僕の口から変な声が出てしまう。

「だめぇ、あんっ」
「アヤ、どうした? 艶っぽい声をあげて」
「やぁ……んもう、手を出さないって言ったくせに、リュウさんのばか……」
「手なんか出していないだろ?」
「はあ? キスしてるじゃないですか」
「こうやってか?」
「ああっん……だめっ」
「口はダメとは約束していないだろ? アヤ」
「いじわる……」
「ああ、俺はサドだからな」

 嵐のような接吻が僕を襲う。

「んんっ……」

 決して感じているわけではない。
 しかし、ドクン、ドクンと心臓が飛び跳ねて、胸が痛い。
 リュウは僕のお腹の下のほうに、じわじわと唇を這わせていく。
 
「だめぇぇぇ!」

 思わず僕は身をよじった。
 だがリュウのたくましい腕が、僕の両脇をがっつり挟む。
 力いっぱい手で跳ね除けたが、まったく動かない。
 
 犯される! 
 
 そう直感した。
 このまま流されたら、僕はとんでもないことに……。
 すると、リュウは僕の浴衣の帯を噛んだ。
 獰猛な重骨竜さながらに、ぐいぐいと歯を立てて引っ張り、浴衣を剥がしにかかる。

 嘘だろ? そこまでやる?
 
「んぐぐっ」
「ちょっと、リュウさんっ! 暴走してますよぉ!」

 ぱっとリュウは口を開けた。
 
「手が出せないから、口でやるしかないだろ?」
「……あのぉ、リュウさん」
「ん?」
「ぶっちゃけ、何がしたいのですか?」
「舐めたい」
「え?」
「アヤを舐めたい」
「……いや、それは無理です」
「なぜだ?」

 僕はリュウの眼差しから目を逸らし、

「これ以上されたら、頭が変になりそうで……怖い」

 と、本音を漏らした。
 顔が赤面しているが、もう隠しようがない。
 脳みそが、快楽へ溶けていくのがわかる。
 今、止まらないと、めちゃくちゃになりそう。
 どうしよう、どうやったら、リュウはやめてくれる?
 僕は泣きそうに、いや、もう泣いていた。目から涙がこぼれ落ちる。
 
「アヤ、俺に身をまかせろ」
「……でも、僕は男ですよ? いいのですか?」
「ああ、女も男も感じるところは、さして変わらないだろう」
「本当ですか?」
「ああ、それとアヤは俺を、なでなで、してくれるといったな」
「……はい」
「アヤだって、俺を感じさせることができるのだぞ」

 え? 僕は首をかしげた。
 
「あの、感じるってなんですか? 癒しではないのですか?」

 アハハ、とリュウは笑うとつづけた。
 
「感じた後に、癒しが待っているのだ。知らないのか?」
「……はい、僕はまだしたことがないので、謎めいています」
「ほう、自分を慰めたこともないのか?」

 こくりと僕はうなずいた。
 
「でも、やろうとしことはあります」
「どうやって?」
「……教えなきゃダメですか?」
「ああ」

 僕は右手を軽く握ると、上下に動かした。
 いわゆる、シコシコってやつ。
 何だか恥ずかしくて、かぁぁ、と頬が赤く染まる。

「……」
「で、どうなった? アヤ」
「痛くてできなかった。それでもほっておけば、朝になると白いものが……」
「なるほど、アヤはまだオナニーしたことがないのか」
「は、はい……」
 
 赤面した僕は、恥ずかしくて下を向く。
 リュウは、さわやかに笑うと口を開いた。

「でも、夢精した後は気持ちいい感覚だけは残っていただろ?」
「……ま、まぁ、脱力感と、無力感はぬぐえませんが」
「ふふふ」
「え? まさかリュウさん、僕にそれをやれと?」
 
 ああ、とリュウは頷いた。
 そして、優しく僕の頭をなでる。
 
「さあ、アヤ、俺のはもうガチガチだ、触ってくれ」
「あのぉ……添い寝だけじゃダメなんですか?」
「ダメだ。溜まったものを吐き出さない限り、俺のストレスは解消できない」
「でも、でも……」
 
 僕は首を振って震えた。
 リュウは僕の耳もとに、ふわっと息を吹きかけるようにささやく。
 
「好きだ、アヤ」
「……い、いやっ」

 僕の手をつかんだリュウは、力づくで自分の股間に持っていく。
 ほんと、強引なんだから。僕は、だんだんイラついてきた。

「頼む、俺を癒してくれ」
「……嫌です、ってばっ!」
「うっ!」

 僕はリュウの股間を、ぎゅっと握った。

「僕は男なんですからねっ!」
「ちょ、ちょ、アヤ……優しく、優しく……」
「はあ? やり方なんて知りませんよ……どうせ僕はオナニーしたことありませんから、ねっ!」
「あっ、アヤ、教えるから、教えるから、強く握るのは、よせっ、あっぁぁぁ!」

 僕は、ぱっとリュウの硬くなったものを離した。
 はあ、はあ、と息が乱れて涙目になっているリュウ。
 寝衣がはだけ、白い下着が見ている。
 僕はまたリュウの硬くなったものを握った。
 強く、強く……。

「あっ、らめっ、アヤ、まてまて、爪を立てるなっ」
「はあ?」
「まずは優しく触ってくれ……」
「こう?」
「ぐっ! そこは違う、玉を握るなっ! あっあぁぁぁ!」

 ふふっ、つい笑みがこぼれる。
 たくましい立派な男が、僕の手のなかで踊っていた。
 僕の白くて柔らかい手でも、強い男がこんなにも淫らになる。
 なぜだか不思議と心の奥底が、優越感にひたる。
 楽しい……。
 思わず、僕は笑っていた。



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