仮 弐

其の九 淫獄転生 其の弐 淫蕩遊戯 其の獣餐

　……そして、そんな魔法鎧は初期型と呼ばれ、其の初期型の魔法鎧に不壊属性付与（デュランダマイズ）した全自動修復魔法鎧が、所謂（いわゆる）、中期型の不壊性魔法鎧（ムーグ）だったのです。
　……更に、そんな中期型の魔法鎧を式神化（オートマタ）したのが、所謂、後期型の自律魔法鎧で、魔物達に自動甲冑（オデッセイ）と呼ばれたのでした。
　……そして、其の自動甲冑は、装着している鎧の中の魔法使いが失神したり、死亡しても、鎧が自動的に戦闘を継続したのです。
　……また、そんな自動甲冑は、一人の隊長の装着した、指揮官用自動甲冑が、無人（中空）の自動甲冑十数体を指揮する、自動分隊（ブラックメタル・ジャケット）で運営されたのでした。

　……処で、そんな魔法使い達の標準装備が、箒（ほうき）と杖（つえ）で、特に箒は魔乗具（エクウス）と呼ばれて、騎士達の愛馬の様に、魔法使い達に大切にされて来たのです。
　……箒は、風属性の魔道具で、風を纏まって地上を移動し、更に飛行したのですが、全て付喪神化（ゴーレム）されていたのでした。
　……そして、そんな箒達は、使用者の魔法使いとの契約で、常に精神感応波（テレパシー）で共鳴（リンク）していたので、魔法使いの主人が心の中で呼ぶと、愛犬の様に、大喜びで飛んで来たのです。
　……操縦も、主人の魔法使いが、心の中で考えるだけで、自分の手足の様に、箒が動いてくれたのでした。
　……更に、局地運用に特化した箒では、迎撃魔法隊の雷電型（スカイラーク）や、水上戦闘用の魚馬型（ケルピー）、地中移動可能な土竜型（ワーム）、二人乗り（タンデム）の双頭犬型（オルトロス）、等の様々な箒が開発されたのです。

　……そして、魔法鎧の開発が、杖にも素材革命を起こして、木から頑丈な金属製へと移行し、更に、其の形状も杖以外に、刀剣や銃火器、小型の短剣や針、珍しい杖では弓へと、進化したのでした。
　……元々、杖には周囲の環境魔素（マナ）を集める受信機（アンテナ）の機能と、其の魔素を濃縮して蓄積する機能、そして主人の魔法使いが詠唱する、呪文を補助する機能が有ったのです。
　……其れが、金属製へと進化するのと同時に、杖自体に魔素電池や結晶化魔素水晶体（カートリッジ）を内蔵して、大量の魔素を短時間で爆発的に消費して、通常よりも強力な魔法を発動させ、核爆発に匹敵する爆縮魔法（スーパーノヴァ）の開発に繋がったのでした。