異世界転移したら二人の獣人に出会って旅に同行することになりました

hina

文字の大きさ
上 下
23 / 23

23

しおりを挟む


「きゅー……くるるるるる」
〈ヒトガキタ……マタコウゲキサレルノカナ〉

海岸の近くの海の中に巨大な首の長い竜みたいな生物がいる。あれが水竜なのかな?
言葉が聞こえたけど、俺の言葉も通じる……?

「な、なあ! ここにいても退治されるだけだぞ? どうしてこの場所にとどまっているんだ?」
「くるる? くるるるるる……」
〈ハナセル? ボク、ナカマトハグレテサビシクテ……〉

「スバル? 一体どうしたんだ」
「水竜と話してるんだ。大丈夫だよ。俺に任せて」

イーサンが前に出た俺を後ろに庇うように俺の前に立ったけど、俺はそれを制して再びイーサンの前に出た。

「そうか。仲間を探しに行かないのか?」
「きゅー……」
〈ドコヲサガセバイインダロウ……〉
「最初から諦めてたら見つかるものも見つからないぞ?」
「くるる」
〈ウン〉
「ここにいたら退治されて死んでしまうよ。早めに海に戻るんだ」
「くるるるる」
〈ワカッタヨ〉
「ここには戻ってきちゃダメだからな!」
「きゅーくるるるる!」
〈ボクガンバッテナカマヲミツケル!〉
「きっと見つかるよ! 頑張れ!」

なんで水竜と話せたのかはわからないけど、退治せずにすんで良かった。
俺達に背を向けて海原を進む背中を見送って、俺は振り返った。

「多分もうここには現れないと思う」
成り行きを見守っていたみんなは呆然としていたけど、グレンがいち早く反応した。
「そっか。また現れたら、今度は退治しなくちゃならないかも」
「そうなって欲しくはないけど……」
「とりあえず、ギルドに報告に行こう」
ライアンさんが微笑んで皆を促した。
「水竜は追い払ったとだけ言おう」
「それがいいですわね」
イーサンの提案にフィーユさんが頷いて、俺達はギルドに向かうことにした。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる

琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。 落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。 異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。 そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

異世界に来たのでお兄ちゃんは働き過ぎな宰相様を癒したいと思います

猫屋町
BL
仕事中毒な宰相様×世話好きなお兄ちゃん 弟妹を育てた桜川律は、作り過ぎたマフィンとともに異世界へトリップ。 呆然とする律を拾ってくれたのは、白皙の眉間に皺を寄せ、蒼い瞳の下に隈をつくった麗しくも働き過ぎな宰相 ディーンハルト・シュタイナーだった。 ※第2章、9月下旬頃より開始予定

異世界に転移したら運命の人の膝の上でした!

鳴海
BL
ある日、異世界に転移した天音(あまね)は、そこでハインツという名のカイネルシア帝国の皇帝に出会った。 この世界では異世界転移者は”界渡り人”と呼ばれる神からの預かり子で、界渡り人の幸せがこの国の繁栄に大きく関与すると言われている。 界渡り人に幸せになってもらいたいハインツのおかげで離宮に住むことになった天音は、日本にいた頃の何倍も贅沢な暮らしをさせてもらえることになった。 そんな天音がやっと異世界での生活に慣れた頃、なぜか危険な目に遭い始めて……。

勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました

BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」 え?勇者って誰のこと? 突如勇者として召喚された俺。 いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう? 俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

処理中です...