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俺は今大ピンチである。
俺は宇喜多昴、十八歳、高三。
二学期も始まり、制服姿で帰宅中だった。
普通に道を歩いてただけなのに、気がつけば、全く知らない場所にいた。
山の中の谷。
そんな場所で、目の前には巨大な竜達。
こんな時どうすればいい?
逃げても追いつかれそうだ。
俺なんか食べても美味しくないだろうと思うけど、それって竜に通じる?
見通しは暗い……。
〈人間よ、どこから来た?〉
と思っていたら、目の前の黒い竜が思念で話しかけてきた。
え、そんなこと出来るの!?
もしかして助かる!?
「ち、地球ってわかりますか!?」
〈ああ、迷い人か。ここは人の住む場所ではない。立ち去るが良い〉
「は、はいっ……」
どうやら逃がしてくれるらしい。
どっちに行けばいいのかすら分からないけど、竜の気が変わらないうちにおいとましよう。
ぺこりと礼をして、前だけを見て全速力で走る。
背中でリュックが揺れる。
足が痛くなり始めた頃、竜の姿は小さくなり始めていた。
「はぁはぁはぁ……」
川が流れているわきの巨大な石の上に寝転がって、呼吸を整える。
しばらくそうしているとなんとか落ち着いてきて、でも心が不安になってきた。
「俺、これからどうすれば良いんだろう……」
人がいる街の場所もわからない。お金も日本とは違うだろうから無一文ということになるし、言葉は通じるだろうか……さっきは竜と話せたけど……。
分からないことが多すぎて、疲労もあって、俺は気がつけば寝てしまっていた。
◇
「……はっ」
目を開けると、日が沈み始めていた。
「あ、起きた? 大丈夫? 黒髪黒目のその見た目にその格好もだけど、君、どこから来たの?」
「は? え? え? あの、どなた?」
気がつくと、巨大な石の上で釣竿の釣り糸を垂らした金髪のケモ耳男性が俺を覗き込んでいた。
「僕? 僕はカラカル獣人で冒険者のグレン。あ、魔術師で二十二歳だよ。よろしくね」
「あ、俺は昴です。十八歳の高校三年生、人間です」
「スバルか……不思議な響きだね。高校三年生はどういう意味なのか分からないけど、十八歳なんだね。ここらへんの人じゃないのかな? 人間は珍しいけど……」
「高校三年生は……、学生ってことです。学生なんですけど……遠いところから来たので、ここらへんのことには疎いです。すみません……」
「ああ、いいんだよ。僕達も世界中を旅してるしね」
「僕達?」
「仲間がもう一人いるんだ。多分そろそろ戻ってくるよ」
「グレン、木の枝集めてきたぞ」
その時、森の方から低い声が聞こえてきた。
振り向くと、真っ白い髪でグレンとは違うケモ耳の男性が木の枝を抱えて歩いてきていた。
俺は宇喜多昴、十八歳、高三。
二学期も始まり、制服姿で帰宅中だった。
普通に道を歩いてただけなのに、気がつけば、全く知らない場所にいた。
山の中の谷。
そんな場所で、目の前には巨大な竜達。
こんな時どうすればいい?
逃げても追いつかれそうだ。
俺なんか食べても美味しくないだろうと思うけど、それって竜に通じる?
見通しは暗い……。
〈人間よ、どこから来た?〉
と思っていたら、目の前の黒い竜が思念で話しかけてきた。
え、そんなこと出来るの!?
もしかして助かる!?
「ち、地球ってわかりますか!?」
〈ああ、迷い人か。ここは人の住む場所ではない。立ち去るが良い〉
「は、はいっ……」
どうやら逃がしてくれるらしい。
どっちに行けばいいのかすら分からないけど、竜の気が変わらないうちにおいとましよう。
ぺこりと礼をして、前だけを見て全速力で走る。
背中でリュックが揺れる。
足が痛くなり始めた頃、竜の姿は小さくなり始めていた。
「はぁはぁはぁ……」
川が流れているわきの巨大な石の上に寝転がって、呼吸を整える。
しばらくそうしているとなんとか落ち着いてきて、でも心が不安になってきた。
「俺、これからどうすれば良いんだろう……」
人がいる街の場所もわからない。お金も日本とは違うだろうから無一文ということになるし、言葉は通じるだろうか……さっきは竜と話せたけど……。
分からないことが多すぎて、疲労もあって、俺は気がつけば寝てしまっていた。
◇
「……はっ」
目を開けると、日が沈み始めていた。
「あ、起きた? 大丈夫? 黒髪黒目のその見た目にその格好もだけど、君、どこから来たの?」
「は? え? え? あの、どなた?」
気がつくと、巨大な石の上で釣竿の釣り糸を垂らした金髪のケモ耳男性が俺を覗き込んでいた。
「僕? 僕はカラカル獣人で冒険者のグレン。あ、魔術師で二十二歳だよ。よろしくね」
「あ、俺は昴です。十八歳の高校三年生、人間です」
「スバルか……不思議な響きだね。高校三年生はどういう意味なのか分からないけど、十八歳なんだね。ここらへんの人じゃないのかな? 人間は珍しいけど……」
「高校三年生は……、学生ってことです。学生なんですけど……遠いところから来たので、ここらへんのことには疎いです。すみません……」
「ああ、いいんだよ。僕達も世界中を旅してるしね」
「僕達?」
「仲間がもう一人いるんだ。多分そろそろ戻ってくるよ」
「グレン、木の枝集めてきたぞ」
その時、森の方から低い声が聞こえてきた。
振り向くと、真っ白い髪でグレンとは違うケモ耳の男性が木の枝を抱えて歩いてきていた。
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