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8、友好関係
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令嬢たちとの茶会の2週間前。
「公爵家に謀反が?」
システィーナはそう問いつつ、ベッドに置かれているバスケットから木苺を取り出す。
口にぽいと放り込むと、甘酸っぱさがいっぱいに広がる。
今回は、木苺にあわせ爽やかでコクのあるダージリンを用意している。
交互に口するたびに、幸福感が高まり、つくらずとも自然と微笑みが浮かぶ。
そして、またすぐにバスケットに手を伸ばすが、バスケットが目の前から消えている。
「システィーナ、頼むから真面目に話を聞いてくれないか?」
パジャマパーティーの賓客であるカイゼンによって、バスケットは強制的にサイドテーブルへと置かれた。
今はまさに、パジャマパーティーの真っ最中。
じつは、その後も夜な夜な強制的にパーティーを開催していた。
「わたくしのティータイムを邪魔するなんて、どういうつもりでしょうか。」
先ほどまでの微笑みは消え、ひどく冷めた表情でシスティーナはカイゼンを見る。
システィーナのそばにあった枕は、今にも悲鳴を上げそうな姿と変わり果てていた。
しかし、カイゼンは完全に無視し、本題を話し出す。
「実は、マクライン家に謀反の疑いが掛けられてしまった。しかし、マクライン家はラオン家と同様この国を支える公爵家。だが、ロンガルの皇太子と長女との婚姻を先延ばしにしていてな。」
「たしか、皇太子と公爵令嬢が幼いことから決定していた婚姻だったはず。本来であれば、そろそろ輿入れの準備をし、花嫁修業のためロンガルへ旅立つはずでは?」
「これは極秘事項だが、公爵令嬢が原因不明の病に罹ったことが原因だ。」
「原因不明の病?それであれば、ロンガルへ事情を話し、ラオン公爵家の令嬢との婚姻を進めればいいのではないでしょうか?」
「それは無理だ。マクライン家のリエナ嬢の母親は前皇帝の妹だ。ロンガルは15年前の大疫病で、直系が途絶えてしまっている。
今は、傍系から皇帝と皇太子が立ったが、正当性のためにも、直系の血筋であるリエナ嬢が嫁ぐ必要がある。」
「なるほど、たしかマクライン公爵家には、リエナ嬢以外の令嬢はいませんでしたね...。ところで、病であることを公表しないことを察するに、持病ではなく、完治の見込みがある病ということでしょうか?」
「恐らく感染病の類だろうとの判断だ。しかし、妙なことに家族には移らない。」
「感染者は、高位貴族の令嬢ばかりで謎は深まる一方ということですわね。」
「...なぜ、知っている?」
「たまに商家を招いて、非公式の茶会をしているんです。やはり情報に関しては、商人の右に出る者はおりませんわ。」
「...報告にあがってないが、目を伏せておく。問題は、貴族派の連中が、このことに謀反の疑いをかけて吠え散らかすんだ。実に鬱陶しい。」
「本音がダダ漏れですわね、カイゼン様。」
疲れ気味のカイゼンを横目に、残りのハーブティーを飲み干したシスティーナは、ふとあることを思いつき、にんまりと微笑む。
「では、未婚女性を集め、茶会を開催しようと思います。良い手がかりを掴めそうな気がしますの。」
「公爵家に謀反が?」
システィーナはそう問いつつ、ベッドに置かれているバスケットから木苺を取り出す。
口にぽいと放り込むと、甘酸っぱさがいっぱいに広がる。
今回は、木苺にあわせ爽やかでコクのあるダージリンを用意している。
交互に口するたびに、幸福感が高まり、つくらずとも自然と微笑みが浮かぶ。
そして、またすぐにバスケットに手を伸ばすが、バスケットが目の前から消えている。
「システィーナ、頼むから真面目に話を聞いてくれないか?」
パジャマパーティーの賓客であるカイゼンによって、バスケットは強制的にサイドテーブルへと置かれた。
今はまさに、パジャマパーティーの真っ最中。
じつは、その後も夜な夜な強制的にパーティーを開催していた。
「わたくしのティータイムを邪魔するなんて、どういうつもりでしょうか。」
先ほどまでの微笑みは消え、ひどく冷めた表情でシスティーナはカイゼンを見る。
システィーナのそばにあった枕は、今にも悲鳴を上げそうな姿と変わり果てていた。
しかし、カイゼンは完全に無視し、本題を話し出す。
「実は、マクライン家に謀反の疑いが掛けられてしまった。しかし、マクライン家はラオン家と同様この国を支える公爵家。だが、ロンガルの皇太子と長女との婚姻を先延ばしにしていてな。」
「たしか、皇太子と公爵令嬢が幼いことから決定していた婚姻だったはず。本来であれば、そろそろ輿入れの準備をし、花嫁修業のためロンガルへ旅立つはずでは?」
「これは極秘事項だが、公爵令嬢が原因不明の病に罹ったことが原因だ。」
「原因不明の病?それであれば、ロンガルへ事情を話し、ラオン公爵家の令嬢との婚姻を進めればいいのではないでしょうか?」
「それは無理だ。マクライン家のリエナ嬢の母親は前皇帝の妹だ。ロンガルは15年前の大疫病で、直系が途絶えてしまっている。
今は、傍系から皇帝と皇太子が立ったが、正当性のためにも、直系の血筋であるリエナ嬢が嫁ぐ必要がある。」
「なるほど、たしかマクライン公爵家には、リエナ嬢以外の令嬢はいませんでしたね...。ところで、病であることを公表しないことを察するに、持病ではなく、完治の見込みがある病ということでしょうか?」
「恐らく感染病の類だろうとの判断だ。しかし、妙なことに家族には移らない。」
「感染者は、高位貴族の令嬢ばかりで謎は深まる一方ということですわね。」
「...なぜ、知っている?」
「たまに商家を招いて、非公式の茶会をしているんです。やはり情報に関しては、商人の右に出る者はおりませんわ。」
「...報告にあがってないが、目を伏せておく。問題は、貴族派の連中が、このことに謀反の疑いをかけて吠え散らかすんだ。実に鬱陶しい。」
「本音がダダ漏れですわね、カイゼン様。」
疲れ気味のカイゼンを横目に、残りのハーブティーを飲み干したシスティーナは、ふとあることを思いつき、にんまりと微笑む。
「では、未婚女性を集め、茶会を開催しようと思います。良い手がかりを掴めそうな気がしますの。」
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