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7、令嬢たちとのティータイム

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それは、ある昼下がりのティータイム。

システィーナは、見聞と交流を広げるという建前のもと、貴族令嬢たちを集めた茶会を開いていた。

心地の良い暖かさと豊かな花の香りに包まれ、システィーナは満足気に微笑む。

「王妃様のお茶会に、わたくしたちのような若輩者が参加でき、とても光栄に思えますわ。」

利発そうな令嬢が、少し目を輝かせながら話しかけてくる。
その表情は、探究心と好奇心に満ち溢れていた。

令嬢の素直すぎる感情表現は、貴族令嬢としてはマナー違反だが、システィーナは好感を持てた。
この令嬢にしようと密かに狙いを定める。

「ラオン公爵令嬢、わたくしも皆さまにお会いできて嬉しく思っております。ただ、どうして招かれたのか、気になっているご様子ですね。」

「あ、わたくしったら...。とんだご無礼を、申し訳ございません。こんな機会は、あまりないもので気になってしまって、」

アストリアに2柱しかない公爵家。
ラオン家は、建国時代から王家に忠誠を誓う偉大な家紋だ。

「大丈夫ですよ。じつは、わたくしもまだ16歳なので、貴婦人の皆さまとご一緒するのは緊張しますの。
なので、歳の近い皆さまとお茶会をしたいと思い、こうしてお呼びしたんです。」

今回集められたのは、未婚の貴族令嬢ばかり。
慣例だと、同じ既婚者である貴婦人と茶会を楽しむのが王妃の務めだが、今回は特別な事情があった。

システィーナは、聖女のように穏やかな笑みを浮かべ、テーブルに座る令嬢たちを見渡す。
緊張で表情が引きつっている令嬢たちを安心させるためだ。
16歳の自分よりも年齢が上の令嬢がいるにも関わらず、威厳に満ちた様子に令嬢たちは賞賛の溜息をついた。
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