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side エレナ③
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3本の水の槍が先生の体を貫通した。
「えっ?」
なんで?防護魔法掛けてるから大丈夫だって言ってたのに……
もしかして魔法掛ける前だった?
だから止めろって言ったのかな?
私は先生の元に駆け寄る。
足と腕が抉れており、お腹に大きな穴が空いてしまっている。
「かひゅっ」
先生の口から血が吹き出る
「先生、ごめんなさい」
私は謝りながら回復魔法を掛ける。
なんとか、穴は塞がってくれた。
その後も回復魔法を掛け続けていると腕と足も元に戻り、先生が目を覚ました。
「あれ、どうなったんだ……」
「先生、よかった。ごめんなさい、私まだ先生が防護魔法掛けてないって知らなくて……」
先生は朦朧としていたけど、だんだんと意識がはっきりしてきたようで……
「ひっ!」
声を引き攣らせて、まるで私を化け物でも見るように見てきた。
えっ……。
「先生、ごめんなさい。私知らなかったんです。まだ防護魔法掛けてなかったって」
私は再度謝る。
「え、あ、ああ。君は悪くない。私が未熟だっただけだ」
先生はそう言ったが、瞳の奥に怯えが見える
私はみんなのところに戻る。
なんだろうか、みんな私と目を合わせようとしない。それどころか、私に恐怖を感じている気がする。
もしかして私がわざと先生に怪我させたと思っているのだろうか?
あれは事故なのに。
私はみんなと少し離れて座り、他の人の模擬戦を見学する。
クラスメイトの模擬戦を見て私はわかってしまった。自分が異常である事に。
クラスメイトが使う魔法は私のとは全然違った。あれが普通なのかな……
多分先生は防護魔法を掛けていたのだろう。それを私が撃ち抜いたんだ。先生は防ぎきれない事に気付いて止めろと言ったんだ。
私は落ち込んだまま寮に帰った。
翌日、学校に行くとみんなの私を見る目は、昨日のままだった。
やっぱり、私が怖いんだよね……
教室で先生が来るのを静かに待つ。
先生がいつもより早く来て、私は付いてくるように言われる。
私が先生に付いていくとそこには校長がいた。
隣のもう1人は誰だろう?
「私のことは知っているよね?隣の男性は学院長だよ。中等部の校長も兼任している」
校長が隣の人の紹介をしてくれた。学院長が何の用だろう?
「昨日の事は、訓練の先生から聞いたよ。エレナくんが初等部で学ぶ事は難しいようだ。今日から中等部に通ってもらいたい。」
校長から中等部に通うように言われる
正直助かる。あの教室での空気には耐えられる気がしない
「わかりました。お願いします」
「それじゃあ、中等部に行こうか。詳しい事は言ってから私が説明するよ」
私は学院長に連れられて、馬車で中等部に向かう。
馬車の中は沈黙に包まれる。
私これからどうなるのかな……
ガタゴトと揺られながら先のことを考えていると中等部に到着した。
学院長室に通された私は意を決して質問する
「あの、中等部なら私は普通に過ごせますか?」
「正直、難しいだろうね」
そんな……
「私は異常なんですか?」
「……すごく優秀なんだよ。悪いように考えない方がいい」
「どのくらいですか?私はどのくらい異常……優秀なんですか?」
「急にじゃなくていいよ。少しづつ気持ちを切り替えていこう。それで君がどのくらい優秀かだね…。君の魔法は卒業生を軽く凌駕しているよ。」
「それなら、通う必要がないじゃないですか」
家族と離れ離れにされてまで来たのに、ひどい。
「必要はあるよ。君はまだ子供だ。その力は良い事にも悪い事にも使うことが出来る。その分別を学ぶためにも学院に通うべきだ。それに村で育ったからか、世間の常識にも疎いだろう?訓練以外に学業を学ぶ為にも通った方がいい」
「でも、私の力を見たクラスのみんなの目が怖かったです。あの空間にはいたくありません」
「人は自分の想像を超えるものは怖いものだ。あの子達を責めないでほしい。初等部ならなおさらだ」
「中等部なら大丈夫なんですか?」
「初めから君が優秀な生徒だと皆わかっているから、昨日みたいなことにはならないと思う。すぐには無理だろうが、君の友達になってくれる人も現れるはずだ。それまでは学業に専念すればいい。学びながら自分の力と向き合ってほしい」
「……わかりました」
「うん、それじゃあ教室に行こうか。私が皆に君を紹介するよ」
私は1年A組に編入することになった。
教室に入り学院長が私を紹介する
「昨日の事を知っている者もいると思うが、エレナちゃんだ。希少なスキルを持っているから村から来て初等部に入ってもらったが、予想よりも優秀な事が判明したので中等部に飛び級してもらう事にした。その意味が皆にはわかるだろう。仲良くしてやってほしい」
クラスメイトの私を見る目は好奇心が勝っているようだ。
これなら、なんとかやっていけるかなと思った。
でも、それもその時だけだった。
初めはみんな、私に気を使って声をかけてくれたりしてたけど、訓練で魔法を見せる度に私から距離を置くようになった。
初等部の時とは違って、私を怖がっている感じはしないけど、どう接して良いのかわからないって感じだ。
住む世界が違うと思われているらしい。
私は担任の先生の勧めもあって冒険者の登録をする事にした。
学校以外を見るのも良いかもしれないと。
何度か冒険者の方とパーティを組む事はあったけど、長くは続かなかった。数回一緒に依頼を受けると適当な理由を付けられて追い出された。
そんなわけで私はいつも1人で依頼を受けていた。
お金も貰えるし、他の人を気にしないで済む。良い事しかない。
逃げてたのはわかってるけど、考えないことにしていた。
そんな私に転機が訪れる
ギルドで依頼達成の報告をしている時に、大怪我をした女性が男性に運ばれてきた。格好からして2人とも冒険者だと思う
「誰か、こいつを助けてくれ!回復薬を飲ませても血が止まらないんだ!このままじゃ…死んじまう」
男性が叫ぶ
周りが騒めき、何人かが女性に魔法を掛けるが回復が追いついていない。
私ならなんとか出来るかも知れないけど、初等部で先生に回復魔法を使った時の事が脳裏によぎる。
私が魔法を掛けたら、また畏怖の目で見られるのかな…
私は静かにギルドから出ようとする
「誰か、助けてくれよ……」
男性の言葉を聞いて、私は昔の事を思い出した。
微かにしか覚えてないけど、お母さんが神父様に頼み込んでいる記憶だ。娘の病気を治して欲しいと。
忘れていた。私は神父様みたいに誰かを助けたかったはずなのに……
私は自然と女性の元へと向かっていた
「私にやらせて下さい」
私は女性に回復魔法を掛ける。
怪我が治るように、体力が戻るように、血が増えるように意識して集中する。
女性の体から怪我が消えて、目が覚める。
「あれ、ここは?」
女性も問題なさそうなので、私は退散するとしよう。
そう思って、外に出ようとしたけど男性に手を掴まれた。
「うう、ありがとう。本当にありがとう。……もう助からないと思っていた。」
泣きながらお礼を言われる。
この時、私の中で一つ壁が壊れた気がした。
「私に出来ることをしただけですので…」
私はそう言ってギルドから出た。
それからの学校生活は今までと周りは変わらなかったけど、違った景色に見えた。
自分のやりたいことに気付いたからかも知れない。
そして学年末、私は学院長に呼ばれた。
学院長からの話は2つあった。
1つはまた飛び級をして、次は高等部に通う事。
もう1つは弟のエルクがこの学院に入学する事になった事だ。
学院長からエルクの事を聞かれる。
学院長が知りたいのは、エルクが私と同じくらいの力が使えるのかだ。
私は学院長に正直に答える。
エルクは私以上かもしれないと……
[創造]スキルの事は言わないけど、あのスキルは創ろうと思えば大体の魔法スキルを創ることが出来るようだった。
私は魔力量が多いだけだ。後は珍しい回復魔法が使えるだけ。
でもエルクは魔力量だけじゃなくて、スキルの数でも常軌を逸している。最後に会ってからもうすぐ1年、私にもどうなっているのかわからない。
私は学院長にお願いをすることにした。
エルクには普通の学園生活を送れるようにして欲しいと……
「うーん、それは難しいかな。君の時もそうだったけど、周りの反応で気づくんじゃないかな?」
「私もでしたが、エルクは常識に欠けているので多分大丈夫です。私の時とは違って、始めからエルクの力を知っているのですから、学院長のお力ならなんとかなるはずです」
無茶振りをしている自覚はあるけど、エルクには私と同じ思いをしてほしくはない。
エルクは常識が欠けているだけではなく、常識がズレていると思う時が何度もあった。隠し通せる可能性は十分にあると思う。
「……弟くん次第ではあるけど、確かに私ならやりようはある。でも君はどうするんだい?君の存在は既に学院内で有名になっている。実力が飛び抜けているとね。弟くんが君のことを知ったら、自分の実力も飛び抜けているとさすがに気づくだろう?」
「多分気づくと思います。エルクは私と同じくらいの力はあると思っているはずなので。……なので私はエルクには会いません!」
こう言ったけど、エルクなら気付かない可能性もあるかな?
「……それでいいのかい?ずっと会ってないのだろう?」
「……会いたいですけど、それがエルクの為だと思うので我慢します。それにエルクに会うのはまだまだ先だと思っていたので大丈夫です」
「……それならいいが、気持ちが変わったら遠慮なく言いなさい」
「ありがとうございます。この事は誰にも言わないでもらえませんか?」
「ああ、もちろんだ。弟君が自分の力に気付くことがあれば連絡するから、君が弟くんを支えてあげなさい」
「わかりました。お願いします」
学院長にお願いをしてからしばらく経ち、私は高等部に飛び級した。
噂で中等部に飛び級した子供がいる事を聞いた。
エルクの事だろう
しばらくしても、エルクが私に会いにくる事はなかった。
学院長はエルクを私に会わせないようにしてくれているようだ。
高等部でも私は浮いていたけど、しばらくして変化が訪れた。友達が出来たのだ。リーナである。
リーナは私に何か隠してる事があるみたいだけど、悪い事でない事は話をしていてわかる。
多分、弟のことだろう。学院長は私との約束を守ってくれているようだ。
リーナは私の力を見ても離れていく事はなく、それどころか私に魔法の使い方を教えて欲しいと言ってきた。
やっと、私の学院生活も楽しくなってきた。
「えっ?」
なんで?防護魔法掛けてるから大丈夫だって言ってたのに……
もしかして魔法掛ける前だった?
だから止めろって言ったのかな?
私は先生の元に駆け寄る。
足と腕が抉れており、お腹に大きな穴が空いてしまっている。
「かひゅっ」
先生の口から血が吹き出る
「先生、ごめんなさい」
私は謝りながら回復魔法を掛ける。
なんとか、穴は塞がってくれた。
その後も回復魔法を掛け続けていると腕と足も元に戻り、先生が目を覚ました。
「あれ、どうなったんだ……」
「先生、よかった。ごめんなさい、私まだ先生が防護魔法掛けてないって知らなくて……」
先生は朦朧としていたけど、だんだんと意識がはっきりしてきたようで……
「ひっ!」
声を引き攣らせて、まるで私を化け物でも見るように見てきた。
えっ……。
「先生、ごめんなさい。私知らなかったんです。まだ防護魔法掛けてなかったって」
私は再度謝る。
「え、あ、ああ。君は悪くない。私が未熟だっただけだ」
先生はそう言ったが、瞳の奥に怯えが見える
私はみんなのところに戻る。
なんだろうか、みんな私と目を合わせようとしない。それどころか、私に恐怖を感じている気がする。
もしかして私がわざと先生に怪我させたと思っているのだろうか?
あれは事故なのに。
私はみんなと少し離れて座り、他の人の模擬戦を見学する。
クラスメイトの模擬戦を見て私はわかってしまった。自分が異常である事に。
クラスメイトが使う魔法は私のとは全然違った。あれが普通なのかな……
多分先生は防護魔法を掛けていたのだろう。それを私が撃ち抜いたんだ。先生は防ぎきれない事に気付いて止めろと言ったんだ。
私は落ち込んだまま寮に帰った。
翌日、学校に行くとみんなの私を見る目は、昨日のままだった。
やっぱり、私が怖いんだよね……
教室で先生が来るのを静かに待つ。
先生がいつもより早く来て、私は付いてくるように言われる。
私が先生に付いていくとそこには校長がいた。
隣のもう1人は誰だろう?
「私のことは知っているよね?隣の男性は学院長だよ。中等部の校長も兼任している」
校長が隣の人の紹介をしてくれた。学院長が何の用だろう?
「昨日の事は、訓練の先生から聞いたよ。エレナくんが初等部で学ぶ事は難しいようだ。今日から中等部に通ってもらいたい。」
校長から中等部に通うように言われる
正直助かる。あの教室での空気には耐えられる気がしない
「わかりました。お願いします」
「それじゃあ、中等部に行こうか。詳しい事は言ってから私が説明するよ」
私は学院長に連れられて、馬車で中等部に向かう。
馬車の中は沈黙に包まれる。
私これからどうなるのかな……
ガタゴトと揺られながら先のことを考えていると中等部に到着した。
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「あの、中等部なら私は普通に過ごせますか?」
「正直、難しいだろうね」
そんな……
「私は異常なんですか?」
「……すごく優秀なんだよ。悪いように考えない方がいい」
「どのくらいですか?私はどのくらい異常……優秀なんですか?」
「急にじゃなくていいよ。少しづつ気持ちを切り替えていこう。それで君がどのくらい優秀かだね…。君の魔法は卒業生を軽く凌駕しているよ。」
「それなら、通う必要がないじゃないですか」
家族と離れ離れにされてまで来たのに、ひどい。
「必要はあるよ。君はまだ子供だ。その力は良い事にも悪い事にも使うことが出来る。その分別を学ぶためにも学院に通うべきだ。それに村で育ったからか、世間の常識にも疎いだろう?訓練以外に学業を学ぶ為にも通った方がいい」
「でも、私の力を見たクラスのみんなの目が怖かったです。あの空間にはいたくありません」
「人は自分の想像を超えるものは怖いものだ。あの子達を責めないでほしい。初等部ならなおさらだ」
「中等部なら大丈夫なんですか?」
「初めから君が優秀な生徒だと皆わかっているから、昨日みたいなことにはならないと思う。すぐには無理だろうが、君の友達になってくれる人も現れるはずだ。それまでは学業に専念すればいい。学びながら自分の力と向き合ってほしい」
「……わかりました」
「うん、それじゃあ教室に行こうか。私が皆に君を紹介するよ」
私は1年A組に編入することになった。
教室に入り学院長が私を紹介する
「昨日の事を知っている者もいると思うが、エレナちゃんだ。希少なスキルを持っているから村から来て初等部に入ってもらったが、予想よりも優秀な事が判明したので中等部に飛び級してもらう事にした。その意味が皆にはわかるだろう。仲良くしてやってほしい」
クラスメイトの私を見る目は好奇心が勝っているようだ。
これなら、なんとかやっていけるかなと思った。
でも、それもその時だけだった。
初めはみんな、私に気を使って声をかけてくれたりしてたけど、訓練で魔法を見せる度に私から距離を置くようになった。
初等部の時とは違って、私を怖がっている感じはしないけど、どう接して良いのかわからないって感じだ。
住む世界が違うと思われているらしい。
私は担任の先生の勧めもあって冒険者の登録をする事にした。
学校以外を見るのも良いかもしれないと。
何度か冒険者の方とパーティを組む事はあったけど、長くは続かなかった。数回一緒に依頼を受けると適当な理由を付けられて追い出された。
そんなわけで私はいつも1人で依頼を受けていた。
お金も貰えるし、他の人を気にしないで済む。良い事しかない。
逃げてたのはわかってるけど、考えないことにしていた。
そんな私に転機が訪れる
ギルドで依頼達成の報告をしている時に、大怪我をした女性が男性に運ばれてきた。格好からして2人とも冒険者だと思う
「誰か、こいつを助けてくれ!回復薬を飲ませても血が止まらないんだ!このままじゃ…死んじまう」
男性が叫ぶ
周りが騒めき、何人かが女性に魔法を掛けるが回復が追いついていない。
私ならなんとか出来るかも知れないけど、初等部で先生に回復魔法を使った時の事が脳裏によぎる。
私が魔法を掛けたら、また畏怖の目で見られるのかな…
私は静かにギルドから出ようとする
「誰か、助けてくれよ……」
男性の言葉を聞いて、私は昔の事を思い出した。
微かにしか覚えてないけど、お母さんが神父様に頼み込んでいる記憶だ。娘の病気を治して欲しいと。
忘れていた。私は神父様みたいに誰かを助けたかったはずなのに……
私は自然と女性の元へと向かっていた
「私にやらせて下さい」
私は女性に回復魔法を掛ける。
怪我が治るように、体力が戻るように、血が増えるように意識して集中する。
女性の体から怪我が消えて、目が覚める。
「あれ、ここは?」
女性も問題なさそうなので、私は退散するとしよう。
そう思って、外に出ようとしたけど男性に手を掴まれた。
「うう、ありがとう。本当にありがとう。……もう助からないと思っていた。」
泣きながらお礼を言われる。
この時、私の中で一つ壁が壊れた気がした。
「私に出来ることをしただけですので…」
私はそう言ってギルドから出た。
それからの学校生活は今までと周りは変わらなかったけど、違った景色に見えた。
自分のやりたいことに気付いたからかも知れない。
そして学年末、私は学院長に呼ばれた。
学院長からの話は2つあった。
1つはまた飛び級をして、次は高等部に通う事。
もう1つは弟のエルクがこの学院に入学する事になった事だ。
学院長からエルクの事を聞かれる。
学院長が知りたいのは、エルクが私と同じくらいの力が使えるのかだ。
私は学院長に正直に答える。
エルクは私以上かもしれないと……
[創造]スキルの事は言わないけど、あのスキルは創ろうと思えば大体の魔法スキルを創ることが出来るようだった。
私は魔力量が多いだけだ。後は珍しい回復魔法が使えるだけ。
でもエルクは魔力量だけじゃなくて、スキルの数でも常軌を逸している。最後に会ってからもうすぐ1年、私にもどうなっているのかわからない。
私は学院長にお願いをすることにした。
エルクには普通の学園生活を送れるようにして欲しいと……
「うーん、それは難しいかな。君の時もそうだったけど、周りの反応で気づくんじゃないかな?」
「私もでしたが、エルクは常識に欠けているので多分大丈夫です。私の時とは違って、始めからエルクの力を知っているのですから、学院長のお力ならなんとかなるはずです」
無茶振りをしている自覚はあるけど、エルクには私と同じ思いをしてほしくはない。
エルクは常識が欠けているだけではなく、常識がズレていると思う時が何度もあった。隠し通せる可能性は十分にあると思う。
「……弟くん次第ではあるけど、確かに私ならやりようはある。でも君はどうするんだい?君の存在は既に学院内で有名になっている。実力が飛び抜けているとね。弟くんが君のことを知ったら、自分の実力も飛び抜けているとさすがに気づくだろう?」
「多分気づくと思います。エルクは私と同じくらいの力はあると思っているはずなので。……なので私はエルクには会いません!」
こう言ったけど、エルクなら気付かない可能性もあるかな?
「……それでいいのかい?ずっと会ってないのだろう?」
「……会いたいですけど、それがエルクの為だと思うので我慢します。それにエルクに会うのはまだまだ先だと思っていたので大丈夫です」
「……それならいいが、気持ちが変わったら遠慮なく言いなさい」
「ありがとうございます。この事は誰にも言わないでもらえませんか?」
「ああ、もちろんだ。弟君が自分の力に気付くことがあれば連絡するから、君が弟くんを支えてあげなさい」
「わかりました。お願いします」
学院長にお願いをしてからしばらく経ち、私は高等部に飛び級した。
噂で中等部に飛び級した子供がいる事を聞いた。
エルクの事だろう
しばらくしても、エルクが私に会いにくる事はなかった。
学院長はエルクを私に会わせないようにしてくれているようだ。
高等部でも私は浮いていたけど、しばらくして変化が訪れた。友達が出来たのだ。リーナである。
リーナは私に何か隠してる事があるみたいだけど、悪い事でない事は話をしていてわかる。
多分、弟のことだろう。学院長は私との約束を守ってくれているようだ。
リーナは私の力を見ても離れていく事はなく、それどころか私に魔法の使い方を教えて欲しいと言ってきた。
やっと、私の学院生活も楽しくなってきた。
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