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水の魔石を売る交渉が終わった。
サラボナさんからは、金貨の用意が出来るまであの宿を使っていいとは言われたけど、正当な金額を頂く約束になっているのでお断りした。
あの宿を使うにしても自分で払うと言ってある。
それから、イロハにも冒険者登録をしてもらい、僕以外の3人にそれぞれ100枚ずつギルドに預かってもらうことにした。
ギルドに預けておけば、どこの冒険者ギルドでも受け取りが可能なので、今回みたいなことが発生しても野宿の心配はなくなる。
初めからこうしておけばよかった。
サラボナさんからはすぐに払える分ということで、金貨100枚だけ先に受け取る。
残りの600枚は15日後だ。
一気に懐が暖かくなる。
宿へと行き、ヨツバと桜井君に結果を報告する。
「……え?」
ヨツバはポカンとした顔でイロハを見る。
間違いだよね?と言っているかのようだ。
イロハは首を横に振っている。
「お前は富豪を目指しているのか?」
桜井君に言われる。
「富豪になりたいなら魔石じゃなくて僕自身で水を売ってるよ。お金はあって困る事はないんだから、とりあえず貰えるだけもらってきただけだよ。1個売るのも10個売るのもリスクは変わらないでしょ?むしろ、サラボナさんがたくさん持っているんだから、サラボナさんが断れないような人から水の魔石が欲しいと言われたとしても対処が出来て、リスクは軽減されているくらいだよ。2人もギルドに行って入金手続きをしてきてね。金貨100枚ずつ入れるように話はしてあるけど、ギルド証がないと手続き出来ないから」
「いや、俺はいらない。前も言ったが何もしていないのに貰うわけにはいかない」
「今は同じパーティなんだから、気にせずにもらっていいよ。それに今回イロハが急に1人になったみたいに、次は桜井君が1人になるかもしれないよ。その時にお金が無かったら困るでしょ?」
「野宿は慣れているから問題ない。女の子が1人で野宿するのは危険だから、中貝さんと立花さんは持ってた方がいいと思う。でも男1人で野宿してても精々酔っ払いに絡まれるくらいだ」
「別行動している時に誰か他のクラスメイトに出会ったら?例えば奴隷になってて、お金があれば買い戻せるってことがあるかもしれないよ。その時に桜井君は後悔しない?無理して使わなくてもいいから持っておいた方がいいんじゃないかな?犯罪奴隷以外は違法ではあるけど、裏で売買されてはいるみたいだよ」
「……そうだな。借りておく。借りたならどんな形であれ返す」
「まあ、それでいいよ。別に気にせずにもらっておけばいいのにとは思うけど。ヨツバもそういうことだから気にせず使ってね」
「うん。私も今まで通り出来るだけ自分で稼ぐようにはするけど、足りなくなったら使わせてもらうね」
「移動が多くて、どうしても出費が多くなるからね。冒険者ギルドとの話はそんな感じだから、とりあえず15日くらいはこの街に滞在することになるよ。今日はこの宿を使わせてもらえることになったけど、明日からは自分達で払うって言ってあるから、ここでもいいし、他でもいいけど、自分が泊まりたい所を探す必要があるよ」
「うん、わかった。滞在している間の予定は何か決まってる?」
「依頼を受けてなかったこともあって、ずっと冒険者のランクがEのままになってたから、昇格試験を受けようかなって思ってるくらいだよ。特にこれといった用事はないから、僕は街の観光でもしようかな。砂漠の中にある街とか今までと違ってワクワクするね」
「それなら私も一緒に受けようかな。いいよね?」
「一緒に行くのはいいけど、多分試験は1人で受けることになるよ。個人の力量を見るためだからね。支援職とか、誰かと一緒にいる事で力を発揮するようなスキルを持ってるなら特別に試験をしてくれるかもしれないけど、そうじゃないなら一緒には受けれないと思うよ」
「そっか。でも元々クオンの力でランクアップしたいわけじゃないから関係ないね」
「それなら一緒に行こうか。イロハはまだGランクだから関係ないとして、桜井君はどうする?そもそも桜井君の今のランクは?」
「俺はFランクだ。ウルフを倒したいと思った所で詰所で働くことにしたから、それから依頼は全く受けてなかった。ポイズンバッドは久しぶりの依頼だったな」
「実力的にEはあるはずたから、Dランクの昇格試験を受けられるか聞いてみる?確か、Eランクへの昇格は他のランクと違ってギルドが上げてもいいと認めるだけだったはずだよ」
「それなら俺も一緒に行くか。金を稼ぐにも1人だけランクが違うと足を引っ張ることになるからな」
「それなら私も……」
みんなに釣られてか、イロハも行くという。
これは桜井君の言い方が悪かったかも知れない。
「イロハはギルドにお金を預ける為に登録しただけだから気にする必要はないよ。冒険者活動をやりたいわけではないでしょ?」
「……そうだけど、みんなが冒険者として依頼を受けるなら、私も一緒に行きたいなって」
「……まあ、イロハの好きにすればいいけど、昇格試験を受けられるかは知らないよ。GランクからFランクに上がるだけなら裏技を教えてあげる」
「裏技?」
「GランクからFランクに上がる為には、Gランクの依頼を10件達成する必要があるんだけど、さっき見てきたらこの街の依頼は砂漠の中にあることもあって変わってるんだよ。僕がGランクの時はスライム討伐か薬草採取だったんだけど、この街のGランクの依頼はサンドスライムの討伐か薬草の納品依頼だったんだよね。他にもあったけど、主にはこの2つね」
「何が違うの?」
「普通は採取依頼なんだよ。だから自分で採取してこないといけない。だから大量に持っていくと不自然だね。だけどここの街の依頼は納品依頼だから、どこかで買ってきてもいいってことになる。これは周りに薬草が生えていないことが原因だろうね。遠出までして採取していたら大赤字だから誰も受けはしない。街としては討伐に特化した冒険者ばかりを集めたいわけではないだろうから、どういった形であれ、依頼の物を持ってこれば達成にするという形式を取ってるんだと思うよ」
「そうなんだ」
「だから、何本かまでは見てないけど、イロハのスキルで薬草を必要分買って納品するだけで達成だよ。今日持って行ったら不自然だけど、5日後くらいに納品すれば問題ないかな。少しお金の無駄遣いをするなら、この街の店で薬草を買ってこればすぐにでも達成できるよ」
「それでいいの?」
「依頼は達成しているからね。ダメだとは言われないはずだよ。ただ、なりたての冒険者が依頼に慣れる為に、10件簡単な依頼を受けて下さいって意味だから、本来の意味は成してないね」
「……どうしようかな」
「さっきも言ったけど、イロハの好きにすればいいよ。ただ一つだけ言わせてもらうと、多分イロハはEランクに上げてもらえないよ。1人でウルフを倒せないでしょ?どちらにしても、僕達と一緒にDランクへの昇格試験は受けられないと思うから、無理してFランクになる必要はないかなとは思うよ」
「……そうだね。とりあえず保留にする」
「それじゃあ、明日試験を受けさせてもらいに行こうか」
サラボナさんからは、金貨の用意が出来るまであの宿を使っていいとは言われたけど、正当な金額を頂く約束になっているのでお断りした。
あの宿を使うにしても自分で払うと言ってある。
それから、イロハにも冒険者登録をしてもらい、僕以外の3人にそれぞれ100枚ずつギルドに預かってもらうことにした。
ギルドに預けておけば、どこの冒険者ギルドでも受け取りが可能なので、今回みたいなことが発生しても野宿の心配はなくなる。
初めからこうしておけばよかった。
サラボナさんからはすぐに払える分ということで、金貨100枚だけ先に受け取る。
残りの600枚は15日後だ。
一気に懐が暖かくなる。
宿へと行き、ヨツバと桜井君に結果を報告する。
「……え?」
ヨツバはポカンとした顔でイロハを見る。
間違いだよね?と言っているかのようだ。
イロハは首を横に振っている。
「お前は富豪を目指しているのか?」
桜井君に言われる。
「富豪になりたいなら魔石じゃなくて僕自身で水を売ってるよ。お金はあって困る事はないんだから、とりあえず貰えるだけもらってきただけだよ。1個売るのも10個売るのもリスクは変わらないでしょ?むしろ、サラボナさんがたくさん持っているんだから、サラボナさんが断れないような人から水の魔石が欲しいと言われたとしても対処が出来て、リスクは軽減されているくらいだよ。2人もギルドに行って入金手続きをしてきてね。金貨100枚ずつ入れるように話はしてあるけど、ギルド証がないと手続き出来ないから」
「いや、俺はいらない。前も言ったが何もしていないのに貰うわけにはいかない」
「今は同じパーティなんだから、気にせずにもらっていいよ。それに今回イロハが急に1人になったみたいに、次は桜井君が1人になるかもしれないよ。その時にお金が無かったら困るでしょ?」
「野宿は慣れているから問題ない。女の子が1人で野宿するのは危険だから、中貝さんと立花さんは持ってた方がいいと思う。でも男1人で野宿してても精々酔っ払いに絡まれるくらいだ」
「別行動している時に誰か他のクラスメイトに出会ったら?例えば奴隷になってて、お金があれば買い戻せるってことがあるかもしれないよ。その時に桜井君は後悔しない?無理して使わなくてもいいから持っておいた方がいいんじゃないかな?犯罪奴隷以外は違法ではあるけど、裏で売買されてはいるみたいだよ」
「……そうだな。借りておく。借りたならどんな形であれ返す」
「まあ、それでいいよ。別に気にせずにもらっておけばいいのにとは思うけど。ヨツバもそういうことだから気にせず使ってね」
「うん。私も今まで通り出来るだけ自分で稼ぐようにはするけど、足りなくなったら使わせてもらうね」
「移動が多くて、どうしても出費が多くなるからね。冒険者ギルドとの話はそんな感じだから、とりあえず15日くらいはこの街に滞在することになるよ。今日はこの宿を使わせてもらえることになったけど、明日からは自分達で払うって言ってあるから、ここでもいいし、他でもいいけど、自分が泊まりたい所を探す必要があるよ」
「うん、わかった。滞在している間の予定は何か決まってる?」
「依頼を受けてなかったこともあって、ずっと冒険者のランクがEのままになってたから、昇格試験を受けようかなって思ってるくらいだよ。特にこれといった用事はないから、僕は街の観光でもしようかな。砂漠の中にある街とか今までと違ってワクワクするね」
「それなら私も一緒に受けようかな。いいよね?」
「一緒に行くのはいいけど、多分試験は1人で受けることになるよ。個人の力量を見るためだからね。支援職とか、誰かと一緒にいる事で力を発揮するようなスキルを持ってるなら特別に試験をしてくれるかもしれないけど、そうじゃないなら一緒には受けれないと思うよ」
「そっか。でも元々クオンの力でランクアップしたいわけじゃないから関係ないね」
「それなら一緒に行こうか。イロハはまだGランクだから関係ないとして、桜井君はどうする?そもそも桜井君の今のランクは?」
「俺はFランクだ。ウルフを倒したいと思った所で詰所で働くことにしたから、それから依頼は全く受けてなかった。ポイズンバッドは久しぶりの依頼だったな」
「実力的にEはあるはずたから、Dランクの昇格試験を受けられるか聞いてみる?確か、Eランクへの昇格は他のランクと違ってギルドが上げてもいいと認めるだけだったはずだよ」
「それなら俺も一緒に行くか。金を稼ぐにも1人だけランクが違うと足を引っ張ることになるからな」
「それなら私も……」
みんなに釣られてか、イロハも行くという。
これは桜井君の言い方が悪かったかも知れない。
「イロハはギルドにお金を預ける為に登録しただけだから気にする必要はないよ。冒険者活動をやりたいわけではないでしょ?」
「……そうだけど、みんなが冒険者として依頼を受けるなら、私も一緒に行きたいなって」
「……まあ、イロハの好きにすればいいけど、昇格試験を受けられるかは知らないよ。GランクからFランクに上がるだけなら裏技を教えてあげる」
「裏技?」
「GランクからFランクに上がる為には、Gランクの依頼を10件達成する必要があるんだけど、さっき見てきたらこの街の依頼は砂漠の中にあることもあって変わってるんだよ。僕がGランクの時はスライム討伐か薬草採取だったんだけど、この街のGランクの依頼はサンドスライムの討伐か薬草の納品依頼だったんだよね。他にもあったけど、主にはこの2つね」
「何が違うの?」
「普通は採取依頼なんだよ。だから自分で採取してこないといけない。だから大量に持っていくと不自然だね。だけどここの街の依頼は納品依頼だから、どこかで買ってきてもいいってことになる。これは周りに薬草が生えていないことが原因だろうね。遠出までして採取していたら大赤字だから誰も受けはしない。街としては討伐に特化した冒険者ばかりを集めたいわけではないだろうから、どういった形であれ、依頼の物を持ってこれば達成にするという形式を取ってるんだと思うよ」
「そうなんだ」
「だから、何本かまでは見てないけど、イロハのスキルで薬草を必要分買って納品するだけで達成だよ。今日持って行ったら不自然だけど、5日後くらいに納品すれば問題ないかな。少しお金の無駄遣いをするなら、この街の店で薬草を買ってこればすぐにでも達成できるよ」
「それでいいの?」
「依頼は達成しているからね。ダメだとは言われないはずだよ。ただ、なりたての冒険者が依頼に慣れる為に、10件簡単な依頼を受けて下さいって意味だから、本来の意味は成してないね」
「……どうしようかな」
「さっきも言ったけど、イロハの好きにすればいいよ。ただ一つだけ言わせてもらうと、多分イロハはEランクに上げてもらえないよ。1人でウルフを倒せないでしょ?どちらにしても、僕達と一緒にDランクへの昇格試験は受けられないと思うから、無理してFランクになる必要はないかなとは思うよ」
「……そうだね。とりあえず保留にする」
「それじゃあ、明日試験を受けさせてもらいに行こうか」
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