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書庫
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翌日、早朝に学院へと向かう。
入学の手続きを完了させる為だ。
学院に着くとベレッタさんが待っており、ほとんどの準備を済ませておいてくれた。
僕達がやったのはサインをしただけだ。
魔法を学ぶイロハとは門の所で分かれて、僕とヨツバは書庫に向かう。
イロハはベレッタさんと一緒に歩いていった。
僕達は書庫に入り、司書の女性に話をする。
「クオンといいます。調べ物をするのに司書の方が協力していただけると聞いているのですが、学院長から聞いてますでしょうか?」
「ええ、聞いています。私が代わりに探しますので、どういった本をお探しか教えて下さい」
「神様や神の遣いに関することを知りたいです。どういった存在なのかということや、過去に神様が成したとされる事象についても知りたいです」
「かしこまりました。あちらで少しお待ちください」
しばらく待っていると、司書さんが本を10冊ほど持ってきた。
「ありがとうございます」
神様について、神の遣いについて、神様が成したとされる事象について、それぞれ分けられている。
「ヨツバはどれから調べる?」
「そうね……。出来事から調べるわ。実際に過去あったとされることだから、何か今の私達と似ていることがあったかもしれない」
「それなら僕は神の遣いについて調べるよ」
「神様じゃなくて神の遣いを調べるの?」
「神様には一度会ってるからね。先に遣いについて調べようかな。まあ、文献の神様と僕達が会った神様が同じかどうかも気になるけど……。あの少年は神を自称しているだけで、邪神とかかもしれないからね」
ついでに後でその辺りも調べることにしよう。
「そっか……。神って言ってたけど、そう言ってただけだもんね」
「可能性の話をしているだけだから神様本人だとは思うけどね。……まあ、そういうわけだから何かわかったら教えてね」
なんだか急に悪寒がしたので訂正しておく。
「クオンもね」
僕達は本を読む。
しばらく読んでいてわかったことがある。
ここに書いてあるほとんどが、創作された御伽噺である。
偶然が重なったようなことが神の遣いの行いとして書かれているだけだ。
神の遣いについて書かれているページもある。
この本には清らかな乙女みたいなことが書いてある。
それが神の遣いかどうかは置いておいて、どうやってその乙女が神の遣いだと判明したかが書かれていない。
この書物からわかることは、UMAとか都市伝説の域を出ない。
信憑性が足りない。
「何かわかった?」
僕はヨツバに聞いてみる
「この本によると神様は代替わりしているらしいよ。1000年に一度、次の神様を選ぶ神事が行われるみたい。それがどんなものかは書いてないからわからないけど……。それからそっちの本には一度死んで生き返ると神格を得るって書いてあったよ。今の神様も元は人間で、天災から村を守る為に人柱にされて死んだみたい。でも、その体に雷が落ちて生き返ったって書いてある」
どっちも胡散臭い。
1つ目の話を僕達に当てはめると次の神の選定戦をやらされていることになる。
なくはないけど、それならクラスメイト1人につき1柱の神がつきそうだ。
あの少年のような神が今のトップで、実際には1人ずつに神がついているのかもしれないけど、そうなると僕にだけあの神がルールを追加したのがおかしい気がする。
まあ、最後まで生き残ったクラスメイトが次の神になるということなら筋は通っているのかもしれないけど、異世界の学生がこの世界の次の神っていうのはどうかと思う。
それから2つ目の話が事実だとして考えるならば、昔のことなので元々死んでいなかったか、仮死状態になっていた身体の近くに雷が落ちて電気ショックの役割をして息を吹き返したか……。
こんな世界なので雷とか関係なく、一度死んでも生き返るみたいなスキルがあったのかもしれない。
ちなみにスキルポイントを大量に使うことで同じような魔法スキルを獲得することが僕には出来る。
HPが0になっても、その戦闘中1度だけHPが最大の状態で復活するというものだ。
だからといって試す勇気はないけど……
「どう思う?」
「うーん、信じ難いね」
「だよね。そっちは?」
「この本によると神の遣いは清らかな乙女らしいよ。後はさっきヨツバが言ったのと同じ感じかな。生前に徳を積んだ人の転生先が神の遣いだとか、神の遣いは下界の民を陰ながら手助けしていて、感謝される度に力を増していき顕現出来るようになるとかそんな感じだよ。どれも可能性として0ではないと思うけど、信じるにはちょっと……って感じ」
「神の遣いで乙女っていうと天使ってイメージだよね?」
「……確かにそうだね。後は神の中にも位があるとすると、女神って可能性も考えられるね」
「どっちだとしても会ってみたいね」
「僕はあまり興味はないかな」
天使になら会ってるんだけどね……。
そういえばゲームの中にも天使っていたな。
敵でだけど……。
物理攻撃も魔法攻撃も効かないから、実装されたすぐの頃は倒す事のできないお邪魔虫的な扱いをされていたっけ……。
しかも攻略法が発見された後も僧侶と魔法使いにしか基本的に倒すことが出来ないという僕にとってはクソ仕様だった。
戦士クラスの攻撃はどれもすり抜けるのに、相手の攻撃はちゃんと当たるという鬼畜仕様には怒りを覚えたものだ。
「うーん、帰る手掛かりはなさそうだね。私は神様について調べてみるね」
ヨツバは神について調べることに変えるようだ。
「僕はまだ全部読んでいないから、引き続き神の遣いについて調べるよ」
結局、どの本も軽く見た限りでは決定的なことは書いてなさそうだった。
ちなみにヨツバが調べた神はヒゲのおじいさんだった。
これが本当なら僕達が会った少年は何者かということになるけど、他の書物も見る限りだと、この内容を信じてあの少年の姿の自称神を偽物だ!とは流石に言えないな。
ヒゲのおじいさんが、雪が降る季節に、良い子にスキルを配るために空を飛び回っていると言ってくれた方が信じられるレベルで、調べた内容はどれもこれも胡散臭い。
ただ、今自分達が遭遇しているこの現実も、知らない人が聞いたら大分胡散臭いだろう。
どれだけ本当の事を並べたとしても、引き篭もってゲームをしていた頃の僕なら信じなかったと思う。
そう考えると、胡散臭いと思っている情報の中に本当のことが混じっているかもしれない。
「クオン様、ヨツバ様、お連れ様の授業が終わりました」
司書さんが教えてくれる。
「ありがとうございます。帰ろっか」
「そうだね」
「すみませんが、明日もまたお願いします」
今日一日では全然足りなかったので明日も調べることにする。
入学の手続きを完了させる為だ。
学院に着くとベレッタさんが待っており、ほとんどの準備を済ませておいてくれた。
僕達がやったのはサインをしただけだ。
魔法を学ぶイロハとは門の所で分かれて、僕とヨツバは書庫に向かう。
イロハはベレッタさんと一緒に歩いていった。
僕達は書庫に入り、司書の女性に話をする。
「クオンといいます。調べ物をするのに司書の方が協力していただけると聞いているのですが、学院長から聞いてますでしょうか?」
「ええ、聞いています。私が代わりに探しますので、どういった本をお探しか教えて下さい」
「神様や神の遣いに関することを知りたいです。どういった存在なのかということや、過去に神様が成したとされる事象についても知りたいです」
「かしこまりました。あちらで少しお待ちください」
しばらく待っていると、司書さんが本を10冊ほど持ってきた。
「ありがとうございます」
神様について、神の遣いについて、神様が成したとされる事象について、それぞれ分けられている。
「ヨツバはどれから調べる?」
「そうね……。出来事から調べるわ。実際に過去あったとされることだから、何か今の私達と似ていることがあったかもしれない」
「それなら僕は神の遣いについて調べるよ」
「神様じゃなくて神の遣いを調べるの?」
「神様には一度会ってるからね。先に遣いについて調べようかな。まあ、文献の神様と僕達が会った神様が同じかどうかも気になるけど……。あの少年は神を自称しているだけで、邪神とかかもしれないからね」
ついでに後でその辺りも調べることにしよう。
「そっか……。神って言ってたけど、そう言ってただけだもんね」
「可能性の話をしているだけだから神様本人だとは思うけどね。……まあ、そういうわけだから何かわかったら教えてね」
なんだか急に悪寒がしたので訂正しておく。
「クオンもね」
僕達は本を読む。
しばらく読んでいてわかったことがある。
ここに書いてあるほとんどが、創作された御伽噺である。
偶然が重なったようなことが神の遣いの行いとして書かれているだけだ。
神の遣いについて書かれているページもある。
この本には清らかな乙女みたいなことが書いてある。
それが神の遣いかどうかは置いておいて、どうやってその乙女が神の遣いだと判明したかが書かれていない。
この書物からわかることは、UMAとか都市伝説の域を出ない。
信憑性が足りない。
「何かわかった?」
僕はヨツバに聞いてみる
「この本によると神様は代替わりしているらしいよ。1000年に一度、次の神様を選ぶ神事が行われるみたい。それがどんなものかは書いてないからわからないけど……。それからそっちの本には一度死んで生き返ると神格を得るって書いてあったよ。今の神様も元は人間で、天災から村を守る為に人柱にされて死んだみたい。でも、その体に雷が落ちて生き返ったって書いてある」
どっちも胡散臭い。
1つ目の話を僕達に当てはめると次の神の選定戦をやらされていることになる。
なくはないけど、それならクラスメイト1人につき1柱の神がつきそうだ。
あの少年のような神が今のトップで、実際には1人ずつに神がついているのかもしれないけど、そうなると僕にだけあの神がルールを追加したのがおかしい気がする。
まあ、最後まで生き残ったクラスメイトが次の神になるということなら筋は通っているのかもしれないけど、異世界の学生がこの世界の次の神っていうのはどうかと思う。
それから2つ目の話が事実だとして考えるならば、昔のことなので元々死んでいなかったか、仮死状態になっていた身体の近くに雷が落ちて電気ショックの役割をして息を吹き返したか……。
こんな世界なので雷とか関係なく、一度死んでも生き返るみたいなスキルがあったのかもしれない。
ちなみにスキルポイントを大量に使うことで同じような魔法スキルを獲得することが僕には出来る。
HPが0になっても、その戦闘中1度だけHPが最大の状態で復活するというものだ。
だからといって試す勇気はないけど……
「どう思う?」
「うーん、信じ難いね」
「だよね。そっちは?」
「この本によると神の遣いは清らかな乙女らしいよ。後はさっきヨツバが言ったのと同じ感じかな。生前に徳を積んだ人の転生先が神の遣いだとか、神の遣いは下界の民を陰ながら手助けしていて、感謝される度に力を増していき顕現出来るようになるとかそんな感じだよ。どれも可能性として0ではないと思うけど、信じるにはちょっと……って感じ」
「神の遣いで乙女っていうと天使ってイメージだよね?」
「……確かにそうだね。後は神の中にも位があるとすると、女神って可能性も考えられるね」
「どっちだとしても会ってみたいね」
「僕はあまり興味はないかな」
天使になら会ってるんだけどね……。
そういえばゲームの中にも天使っていたな。
敵でだけど……。
物理攻撃も魔法攻撃も効かないから、実装されたすぐの頃は倒す事のできないお邪魔虫的な扱いをされていたっけ……。
しかも攻略法が発見された後も僧侶と魔法使いにしか基本的に倒すことが出来ないという僕にとってはクソ仕様だった。
戦士クラスの攻撃はどれもすり抜けるのに、相手の攻撃はちゃんと当たるという鬼畜仕様には怒りを覚えたものだ。
「うーん、帰る手掛かりはなさそうだね。私は神様について調べてみるね」
ヨツバは神について調べることに変えるようだ。
「僕はまだ全部読んでいないから、引き続き神の遣いについて調べるよ」
結局、どの本も軽く見た限りでは決定的なことは書いてなさそうだった。
ちなみにヨツバが調べた神はヒゲのおじいさんだった。
これが本当なら僕達が会った少年は何者かということになるけど、他の書物も見る限りだと、この内容を信じてあの少年の姿の自称神を偽物だ!とは流石に言えないな。
ヒゲのおじいさんが、雪が降る季節に、良い子にスキルを配るために空を飛び回っていると言ってくれた方が信じられるレベルで、調べた内容はどれもこれも胡散臭い。
ただ、今自分達が遭遇しているこの現実も、知らない人が聞いたら大分胡散臭いだろう。
どれだけ本当の事を並べたとしても、引き篭もってゲームをしていた頃の僕なら信じなかったと思う。
そう考えると、胡散臭いと思っている情報の中に本当のことが混じっているかもしれない。
「クオン様、ヨツバ様、お連れ様の授業が終わりました」
司書さんが教えてくれる。
「ありがとうございます。帰ろっか」
「そうだね」
「すみませんが、明日もまたお願いします」
今日一日では全然足りなかったので明日も調べることにする。
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