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【5】

?5−2?

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「俺、それ見るの忘れたんだけど。どうすりゃ良い?」
「お名前を教えて頂ければ。共通情報ですから、お教え出来ますよ」
「そうか。そりゃ助かった」
「では、お名前をお願いします」

ーー俺の名前。

「ジン…………だと、思う」
「はて。思う、とは? 本当に貴方は……ーージン様、ですか?」
「もしかして……この名前、無いのか?」
「あります。ジン様は、9人目のプレイヤーです」
「なんだ……良かった、ありがとう」
「いえいえ。ありがとうと言われる程の事ではございませんよ」

 残り2つの空いた席。
 貼られた番号を確認し、9番に座る。
 やはり、残り一つにGMが座る気配は無い。

ーー人狼ゲームにおける、初日噛まれるNPCの席なのだろうか? 

 何故なら、残った席は最後の11番だったから。
 最後の番号で、中途半端な”11“の数字は、”あまり“扱いに相応しく感じ始めていた。


 改めて集まった人間を見渡す。
 皆がお揃いの制服……らしき物を着ている。
 何処の学校と見当もつかない、制服らしき物だった。

 校章も無ければ、エンブレムの刺繍も無い半袖のシャツ。
 リボンもネクタイもない。
 スーツには似つかわしく無い青寄りの紺色のパンツ。
 女子はプリーツの入った膝丈ほどのスカートだった。

ーー半袖……?

 今までも、今も。
 気温に関しては寒いとも暑いとも感じなかったが。

ーー今、季節は、いつなんだろう……。

 また一つこの空間の異様さに気付くと、適温である室内にも関わらず、寒気がした。

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