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 セーフ、の仕草をしたマコトは安心しきった顔をみせたが、戻って来たアオイを不機嫌そうな顔で迎え入れる。

「アオイさん。もうちょっと、ご自慢の頭を使った行動をとって欲しいね」
「ルール違反をするマコトの自業自得よ」
「まあまあ! バレなかったんだから、ケンカしないの~!」
「ほら、何か思いついたんだろ?」
「……コホン。で、何調べろって?」
「ちょっと貸して」

 家でよく使うの、と前置きをして。
 手慣れた手つきで電子辞書に入力していく。


【 甲・乙・丙コウ オツ ヘイ丁・戊・己テイ  ボ  キコウ辛・壬・癸シン  ジン   キ  】

 十干。ジッカン。
 暦の表示、占いに用いられる。


「十干、なんて初めて聞いたし、初めて見たぞ」
「僕も。でも、カレンダーに小さく書かれた漢字、見た事あるかも」
「ミホの八丁の丁の字があるのに気付いたんだけど、他は駄目そうね」
「駄目なの? 何で?」
「ふーーーん。かっこいいじゃん! コードネームに相応しい」
「これに合う名前の人、プレイヤーにスカウトしたら良いんじゃない?」
「常用漢字じゃない物が混じってるわ。共通点にするには無理よ」
「そうなの~? せっかく思いついたのに、残念」

 先程まで嬉しそうにしてたアオイも、一気に落ち込んでしまう。
 俺は辞書に表記された読み方一覧と、マコトが追加で調べてくれたネットの情報を見比べる。

ーー諦めるには、まだ早い。
 良かった。そう思ったのは、俺だけじゃ無いみたいだ。


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