41 / 47
第八章 世界崩壊 -せかいほうかい-
38 バレンタインを救え!大作戦 その3 人為的ウィルス
しおりを挟む
「次は人払い。橋の上や、公園内にいる全ての人たちを帰宅させるんだ」
「それは世界を救うってのと関係あるんだよね?」
「もちろんさ。あの場所でインフルエンザのような、人工的に変異させたウィルスがばら撒かれる」
「え?」
「人為的なパンデミック発生だ」
「人為的って、そんなの出来るの?」
「当然だよ。世界中でウィルスの研究実験が行われていた。表向きは新しい疫病発生に備えるという名目で、実際は軍事兵器としてね」
× × ×
「ここで人為的ウィルスがばら撒かれるんだって」
「知っています」
「え!?」
「パンデミック発生計画は把握しています」
「そうなんだ? じゃあ話が早い」
× × ×
「ウィルスは密閉した容器で、冷凍された状態で運搬されているだろう」
「それを破壊すれば良いんだね?」
「思ったよりも耕作様は頭が悪いんだね」
ほっとけ!
「せっかく密閉されているのに、破壊したらウィルスが拡散してしまうだろう」
「あっ!」
「ウィルスは目に見えないし、臭いも味もない。もし拡散すれば対処は難しい。それに、相手に計画失敗を悟られるのもまずいね」
× × ×
「体調が悪そうですね」
「ちょっと、いやかなり熱っぽい。でも大丈夫」
「ウィルスの運搬役は、あの男です」
厚手のコートを羽織った若い男性を指さす。
「ウィルスがばら撒かれる前に無毒化しよう」
「それは難しいです。私は中和剤などを持っていません」
「僕が。解毒の術で……」
× × ×
「世界人口削減計画!?」
「これはごく一部の、世界を支配する大富豪たちによって計画されたんだ」
ゴクリ。
「最大の理由は、地球に氷河期が迫っているからだ」
「地球温暖化が問題になっても、氷河期なんて聞いた覚えがないよ」
「情報統制さ。氷河期が迫り食料不足になる。そんな話が広まったらパニックになるだろう」
「そっかあ」
「一般人に知られては面倒。それを知る人間は一握りで良い。世界の支配者はそう考え、逆に温暖化などという出鱈目、嘘情報を流布したのだろう」
「支配者?」
「ビルダーバーグ会合」
「?」
「白人権力者たちによる、世界の行く末を決める集会だ。内容は完全非公開で、ヤタガラスでも潜入は難しい。歴史上、一度だけメディアに公開されたことがあった筈。耕作様の時代じゃないかな」
「全然知らなかった」
「そこで決まったのが人口削減計画だよ。計画の概要はこうだ。まず世界中にウィルスを拡散する。これで世界人口を1%程度削減する」
「1%って意味あるの?」
「約1億人の抹殺だよ、大きい数だ。だけどね、確かにそれだけでは効果は薄い」
「だよね」
「だから次の手はワクチンだ。そこにウィルス変異を促進させ、女性が不妊になる効果を混ぜる」
「不妊……」
「変異により多くの人がワクチンを接種するよう仕向け、不妊で中長期にわたる人口削減を行う」
「なるほど」
「更に第三次世界大戦計画だ。ウィルス発生の責任を問う形で、特定国へ憎悪を集め、世界大戦へと発展させる。世論を動かすんだ。それが計画の全容だよ」
マアおそろしい計画こ!
「パンデミック発生を防げたとしても、それで全てが終わるとは思えない。数年の遅れが出るだけで、支配者はまた計画を練り直し実行しようとするだろう」
「じゃあ意味ないの?」
「意味はあるさ……」
「そんなに!」
「それに時間的余裕さえ作れば……」
× × ×
「何とかビルダーバーグ会合に潜入して、計画阻止のため動くようにと」
「承りました」
「計画が実行される際のキーワードがあって。世界の首脳陣や日本の国会、大手メディアから、この言葉が出たら注意して」
「はい」
「第三次世界大戦。核戦争。グレートリセットの3つ。同時に言論統制、特にインターネット規制が始まれば、いよいよ第三次世界大戦計画が動き始めたと思って間違いないと。その前に何とかするようにって」
「承りました」
「確かに伝えたよ」
「はい」
「あとは複製品を……」
× × ×
「以上だ。任務完了後、勾玉の複製品を受け取って」
「複製品を?」
「耕作様の体に魂が二つ入っている状態は長く持たない。離魂と帰魂の術を使うため、複製品が必要だ」
「なるほど」
「最後に、耕作様にとって何より大切な……」
「栞奈!」
「そう。彼女を救う方法について」
「それな!」
「彼女が耕作様を突き落とす。その事実さえなくなればいいんだよ」
× × ×
「見て! 人がいなくなったよ! 今がチャンス! ね、渡ろ?」
「ちゃん、す?」
いけない、うっかり返事するのを忘れていた。今この体の中、僕ではない方の僕、元の世界の高橋耕作はまだ眠っている。
「足が震えてフラフラでしょ。私知ってるんだから」
「うん」
「今なら誰にも見られないし、恥ずかしくないよ? ほら、今がチャンス!」
(耕作、目を覚ませ。昔の僕の魂。君は僕だ、分かるかい?)
「ん……」
「……やっぱり……やめて帰ろっか?」
まだ僕の魂は寝ぼけているようだ。僕の魂、昔の僕と言うべきか。ややこしい。代わりに返事をしておこう。
「行く!」
「行くよ! せーの」
「それは世界を救うってのと関係あるんだよね?」
「もちろんさ。あの場所でインフルエンザのような、人工的に変異させたウィルスがばら撒かれる」
「え?」
「人為的なパンデミック発生だ」
「人為的って、そんなの出来るの?」
「当然だよ。世界中でウィルスの研究実験が行われていた。表向きは新しい疫病発生に備えるという名目で、実際は軍事兵器としてね」
× × ×
「ここで人為的ウィルスがばら撒かれるんだって」
「知っています」
「え!?」
「パンデミック発生計画は把握しています」
「そうなんだ? じゃあ話が早い」
× × ×
「ウィルスは密閉した容器で、冷凍された状態で運搬されているだろう」
「それを破壊すれば良いんだね?」
「思ったよりも耕作様は頭が悪いんだね」
ほっとけ!
「せっかく密閉されているのに、破壊したらウィルスが拡散してしまうだろう」
「あっ!」
「ウィルスは目に見えないし、臭いも味もない。もし拡散すれば対処は難しい。それに、相手に計画失敗を悟られるのもまずいね」
× × ×
「体調が悪そうですね」
「ちょっと、いやかなり熱っぽい。でも大丈夫」
「ウィルスの運搬役は、あの男です」
厚手のコートを羽織った若い男性を指さす。
「ウィルスがばら撒かれる前に無毒化しよう」
「それは難しいです。私は中和剤などを持っていません」
「僕が。解毒の術で……」
× × ×
「世界人口削減計画!?」
「これはごく一部の、世界を支配する大富豪たちによって計画されたんだ」
ゴクリ。
「最大の理由は、地球に氷河期が迫っているからだ」
「地球温暖化が問題になっても、氷河期なんて聞いた覚えがないよ」
「情報統制さ。氷河期が迫り食料不足になる。そんな話が広まったらパニックになるだろう」
「そっかあ」
「一般人に知られては面倒。それを知る人間は一握りで良い。世界の支配者はそう考え、逆に温暖化などという出鱈目、嘘情報を流布したのだろう」
「支配者?」
「ビルダーバーグ会合」
「?」
「白人権力者たちによる、世界の行く末を決める集会だ。内容は完全非公開で、ヤタガラスでも潜入は難しい。歴史上、一度だけメディアに公開されたことがあった筈。耕作様の時代じゃないかな」
「全然知らなかった」
「そこで決まったのが人口削減計画だよ。計画の概要はこうだ。まず世界中にウィルスを拡散する。これで世界人口を1%程度削減する」
「1%って意味あるの?」
「約1億人の抹殺だよ、大きい数だ。だけどね、確かにそれだけでは効果は薄い」
「だよね」
「だから次の手はワクチンだ。そこにウィルス変異を促進させ、女性が不妊になる効果を混ぜる」
「不妊……」
「変異により多くの人がワクチンを接種するよう仕向け、不妊で中長期にわたる人口削減を行う」
「なるほど」
「更に第三次世界大戦計画だ。ウィルス発生の責任を問う形で、特定国へ憎悪を集め、世界大戦へと発展させる。世論を動かすんだ。それが計画の全容だよ」
マアおそろしい計画こ!
「パンデミック発生を防げたとしても、それで全てが終わるとは思えない。数年の遅れが出るだけで、支配者はまた計画を練り直し実行しようとするだろう」
「じゃあ意味ないの?」
「意味はあるさ……」
「そんなに!」
「それに時間的余裕さえ作れば……」
× × ×
「何とかビルダーバーグ会合に潜入して、計画阻止のため動くようにと」
「承りました」
「計画が実行される際のキーワードがあって。世界の首脳陣や日本の国会、大手メディアから、この言葉が出たら注意して」
「はい」
「第三次世界大戦。核戦争。グレートリセットの3つ。同時に言論統制、特にインターネット規制が始まれば、いよいよ第三次世界大戦計画が動き始めたと思って間違いないと。その前に何とかするようにって」
「承りました」
「確かに伝えたよ」
「はい」
「あとは複製品を……」
× × ×
「以上だ。任務完了後、勾玉の複製品を受け取って」
「複製品を?」
「耕作様の体に魂が二つ入っている状態は長く持たない。離魂と帰魂の術を使うため、複製品が必要だ」
「なるほど」
「最後に、耕作様にとって何より大切な……」
「栞奈!」
「そう。彼女を救う方法について」
「それな!」
「彼女が耕作様を突き落とす。その事実さえなくなればいいんだよ」
× × ×
「見て! 人がいなくなったよ! 今がチャンス! ね、渡ろ?」
「ちゃん、す?」
いけない、うっかり返事するのを忘れていた。今この体の中、僕ではない方の僕、元の世界の高橋耕作はまだ眠っている。
「足が震えてフラフラでしょ。私知ってるんだから」
「うん」
「今なら誰にも見られないし、恥ずかしくないよ? ほら、今がチャンス!」
(耕作、目を覚ませ。昔の僕の魂。君は僕だ、分かるかい?)
「ん……」
「……やっぱり……やめて帰ろっか?」
まだ僕の魂は寝ぼけているようだ。僕の魂、昔の僕と言うべきか。ややこしい。代わりに返事をしておこう。
「行く!」
「行くよ! せーの」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
少年少女たちの日々
原口源太郎
恋愛
とある大国が隣国へ武力侵攻した。
世界の人々はその行為を大いに非難したが、争いはその二国間だけで終わると思っていた。
しかし、その数週間後に別の大国が自国の領土を主張する国へと攻め入った。それに対し、列国は武力でその行いを押さえ込もうとした。
世界の二カ所で起こった戦争の火は、やがてあちこちで燻っていた紛争を燃え上がらせ、やがて第三次世界戦争へと突入していった。
戦争は三年目を迎えたが、国連加盟国の半数以上の国で戦闘状態が続いていた。
大海を望み、二つの大国のすぐ近くに位置するとある小国は、激しい戦闘に巻き込まれていた。
その国の六人の少年少女も戦いの中に巻き込まれていく。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる