14 / 47
第三章 心魂定着 -しんこんていちゃく-
11 溜まっちゃってるンゴ~
しおりを挟む
それから、ひと月ほどリハビリを続けただろうか。朱雀さんと眞代子さんは、相変わらず優しい。最初のリハビリで味を占めた僕が、足が動かないフリをして倒れ込んで、2人の柔らかい体を楽しんでも怒りもしない。僕の演技は決して上手くない。大根役者が棒読みで「あ~足が~」なんて言いながら、2人の腰の辺りに抱き付いても。胸の辺りに顔を押し付けても。頭を撫でてよし、よし、とやってくれるンゴ。
だから一日一回は、そうやって甘えたり、ラッキースケベ (故意) を楽しみながら、辛いリハビリをこなしていった。もしそうじゃなかったら、僕は乗り越える事が出来なかったと思うンゴ。
「御御足、血の巡りも良くなってきましたね」
毎日のマッサージも継続中ンゴ。
「前はもっとこうンゴ、茶色ンゴ? だったンゴねえ」
「ええ。今は赤みがさして、赤ちゃんのようですわ」
「ンゴ~」
足の指も動く。一本一本、うねうねと動かしながら、僕は笑ってみせたンゴ。
「トイレも一人で行けるようになったンゴ」
「あらあら。ではもう、御拭きしなくても宜しいですわね」
「拭いてくれても良いンゴよ?」
「御手伝いした方が宜しければ、いつでも御申し付け下さいませ」
屈託無く笑いながら、朱雀さんはそう言った。下の処理にも嫌な顔せず、いつも笑顔でいる。本気で嫌がっていないのだと思う。もしこれで、本心では嫌々やっているのだとしたら、朱雀さんは大女優になれると思うンゴ。
「じゃあお願いするンゴ。溜まっちゃってるンゴ~」
「はい。承りました。では失礼致しますね」
そう言って、朱雀さんはニッコリと微笑むと、僕の着物を慣れた手つきで脱がすのであった。ンゴンゴ。
まだ若い眞代子さんは、時折、眉根を寄せたり複雑な表情を浮かべる事がある。その表情を妙に色っぽく感じる。心底嫌がってはいない……と思う。だから僕は調子に乗ってしまうンゴ。
一方の朱雀さんは、本当に何をしても許してくれる。まさか僕に惚れてるンゴ!? ……などと考えてしまうほど。こんなブタを愛してくれるわけがないのに、勘違いしそうになる。いつも膝枕をして、僕を寝かしつける時。マッサージの時。冷たくなった足先や耳を、優しく撫でて掌に包み、温めてくれる時。目が覚める時も、いつも僕の体を撫で擦っていてくれる。動かなかった足や体が動くようになってからも、毎日それを繰り返しているンゴ。
(これはもう愛ンゴよ、愛ンゴ!?)
……いやいや、いけないいけない。ブタがおだてられて樹に登っているンゴ。戒めるンゴ。
「今日ンゴは、また青龍さンゴのところンゴ?」
「はい。本日も御話をしながら、記憶の定着を行います」
「今日も催眠術ンゴみたいなやつンゴね?」
「先日と同じです。耕作様は、私の膝の上で御ゆるりと、御休みになっていて下さいませ」
ここのところ毎日やっている日課のようなもの。催眠術というより、睡眠学習ンゴね。
「いらっしゃい。どうぞ、座って」
青龍さんも基本的には優しいンゴ。
「今日は何の話をしようか」
「ン~ゴ……」
「耕作様は歴史が好きだよね」
「大好物ンゴ~」
「どんな歴史が好きなのか、思い出せる範囲で喋ってくれるかな」
「ン~ゴ……日本史ンゴね」
「例えば」
「大東亜戦争ンゴ!」
「大東亜……それは何年頃かな」
「20世紀ンゴね。1930年代ンゴから40年代ンゴ」
「細かい数字まで、思い出せるようになっているね」
「ンゴ?」
「良い傾向のようだね。そのまま続けて」
「大東亜戦争ンゴは、元を辿れば、日清ゴ・日露戦争ンゴまで遡るンゴ」
朱雀さんも隣で、真剣な表情で聞いてくれている。ここは良いところを見せるしかないンゴ!
「日清戦争ンゴで、日本が清国から割譲を受けた遼東半島ンゴ。これに欧州ンゴ……ロシアなどが文句を言ってきたンゴ。戦争で勝った、正当な権利として得たものンゴけど、欧州の圧力に、日本が一度は折れたンゴ」
段々ノッてきたンゴ~!
「この三国干渉ンゴは、実はロシアの策謀だったンゴ! ロシアは日本に遼東半島ンゴを手放すよう要求してきておきながらンゴ、清国と裏で通じて密約を結ンゴで、旅順要塞ンゴを建築するンゴ! ずるいンゴ!」
「旅順? それはどの辺りか思い出せるかい?」
「旅順ゴは、ン~ゴ、朝鮮半島ンゴの付け根あたりンゴね。少し出っ張ってる先っぽンゴ!」
「それは何年かな」
「日清戦争ンゴの後で、日露戦争前ンゴから……1895年以降、1900年以前ゴね。ロシアと清国で露清密約、って呼ばれてるンゴ」
青龍さんは黙って掌を差し出し、続きをどうぞ、というジェスチャーをする。もっと聞きたいンゴね、任せるンゴ!
「この旅順要塞ンゴは、日本にとっては目の上のたンゴ瘤ンゴ。こんな場所に世界最強のロシア海軍ゴがいたら、日本の平和が脅かされるンゴ。だから日本も黙ってられず、これが日露戦争ンゴの契機になったンゴよ~」
「すごいです! 耕作様、御詳しいですわ」
ブタはおだてられて、今なら天にも昇れそうンゴ~!
だから一日一回は、そうやって甘えたり、ラッキースケベ (故意) を楽しみながら、辛いリハビリをこなしていった。もしそうじゃなかったら、僕は乗り越える事が出来なかったと思うンゴ。
「御御足、血の巡りも良くなってきましたね」
毎日のマッサージも継続中ンゴ。
「前はもっとこうンゴ、茶色ンゴ? だったンゴねえ」
「ええ。今は赤みがさして、赤ちゃんのようですわ」
「ンゴ~」
足の指も動く。一本一本、うねうねと動かしながら、僕は笑ってみせたンゴ。
「トイレも一人で行けるようになったンゴ」
「あらあら。ではもう、御拭きしなくても宜しいですわね」
「拭いてくれても良いンゴよ?」
「御手伝いした方が宜しければ、いつでも御申し付け下さいませ」
屈託無く笑いながら、朱雀さんはそう言った。下の処理にも嫌な顔せず、いつも笑顔でいる。本気で嫌がっていないのだと思う。もしこれで、本心では嫌々やっているのだとしたら、朱雀さんは大女優になれると思うンゴ。
「じゃあお願いするンゴ。溜まっちゃってるンゴ~」
「はい。承りました。では失礼致しますね」
そう言って、朱雀さんはニッコリと微笑むと、僕の着物を慣れた手つきで脱がすのであった。ンゴンゴ。
まだ若い眞代子さんは、時折、眉根を寄せたり複雑な表情を浮かべる事がある。その表情を妙に色っぽく感じる。心底嫌がってはいない……と思う。だから僕は調子に乗ってしまうンゴ。
一方の朱雀さんは、本当に何をしても許してくれる。まさか僕に惚れてるンゴ!? ……などと考えてしまうほど。こんなブタを愛してくれるわけがないのに、勘違いしそうになる。いつも膝枕をして、僕を寝かしつける時。マッサージの時。冷たくなった足先や耳を、優しく撫でて掌に包み、温めてくれる時。目が覚める時も、いつも僕の体を撫で擦っていてくれる。動かなかった足や体が動くようになってからも、毎日それを繰り返しているンゴ。
(これはもう愛ンゴよ、愛ンゴ!?)
……いやいや、いけないいけない。ブタがおだてられて樹に登っているンゴ。戒めるンゴ。
「今日ンゴは、また青龍さンゴのところンゴ?」
「はい。本日も御話をしながら、記憶の定着を行います」
「今日も催眠術ンゴみたいなやつンゴね?」
「先日と同じです。耕作様は、私の膝の上で御ゆるりと、御休みになっていて下さいませ」
ここのところ毎日やっている日課のようなもの。催眠術というより、睡眠学習ンゴね。
「いらっしゃい。どうぞ、座って」
青龍さんも基本的には優しいンゴ。
「今日は何の話をしようか」
「ン~ゴ……」
「耕作様は歴史が好きだよね」
「大好物ンゴ~」
「どんな歴史が好きなのか、思い出せる範囲で喋ってくれるかな」
「ン~ゴ……日本史ンゴね」
「例えば」
「大東亜戦争ンゴ!」
「大東亜……それは何年頃かな」
「20世紀ンゴね。1930年代ンゴから40年代ンゴ」
「細かい数字まで、思い出せるようになっているね」
「ンゴ?」
「良い傾向のようだね。そのまま続けて」
「大東亜戦争ンゴは、元を辿れば、日清ゴ・日露戦争ンゴまで遡るンゴ」
朱雀さんも隣で、真剣な表情で聞いてくれている。ここは良いところを見せるしかないンゴ!
「日清戦争ンゴで、日本が清国から割譲を受けた遼東半島ンゴ。これに欧州ンゴ……ロシアなどが文句を言ってきたンゴ。戦争で勝った、正当な権利として得たものンゴけど、欧州の圧力に、日本が一度は折れたンゴ」
段々ノッてきたンゴ~!
「この三国干渉ンゴは、実はロシアの策謀だったンゴ! ロシアは日本に遼東半島ンゴを手放すよう要求してきておきながらンゴ、清国と裏で通じて密約を結ンゴで、旅順要塞ンゴを建築するンゴ! ずるいンゴ!」
「旅順? それはどの辺りか思い出せるかい?」
「旅順ゴは、ン~ゴ、朝鮮半島ンゴの付け根あたりンゴね。少し出っ張ってる先っぽンゴ!」
「それは何年かな」
「日清戦争ンゴの後で、日露戦争前ンゴから……1895年以降、1900年以前ゴね。ロシアと清国で露清密約、って呼ばれてるンゴ」
青龍さんは黙って掌を差し出し、続きをどうぞ、というジェスチャーをする。もっと聞きたいンゴね、任せるンゴ!
「この旅順要塞ンゴは、日本にとっては目の上のたンゴ瘤ンゴ。こんな場所に世界最強のロシア海軍ゴがいたら、日本の平和が脅かされるンゴ。だから日本も黙ってられず、これが日露戦争ンゴの契機になったンゴよ~」
「すごいです! 耕作様、御詳しいですわ」
ブタはおだてられて、今なら天にも昇れそうンゴ~!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる