佐野千秋 エクセリオン社のジャンヌダルクと呼ばれた女

藤井ことなり

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護衛対象はキケンな男の娘 短編

援軍

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 ──少年課にもどり、言われた通り警護の報告書を作成していると、受付から連絡があり面会人が来ているという。
 一階まで行き、スーツ姿の葵を見つけると駆け寄る。

「どうしたの、こんなところに」

「聞いてないの? 御器所さんに頼まれて夏生くんの留学に必要な書類持ってきたの、ハジメに渡してって」

「聞いてない。それって何時のコトなの」

「二時間くらい前かな。夏生くんが休むから必要な物があったらハジメに渡してやってほしいって」

「どういうつもりなんだろ……」

 ハジメ達はロビー脇に移動すると、先程あったことを(もちろん家宅捜索の事は言わずに)差し障りない程度で話した。

「ふーんやっぱり殺人予告はウソだったのか。ハジメに会いたいためにねー。あー、拒否反応だしたのはたしかに失敗だったねぇ」

「うん。すごく悔しい」

「ちゃんと受け止めるところがハジメのいいところよ。となると、これはどういう意味なのかな? 私が夏生くんに渡せば済む話なのに、ハジメに渡せというのは」

「知らない、分かんない、もう何も考えたくもない、警察も辞めたい」

スネてしまったハジメを、やれやれという顔で葵は見る。

「こういうのは千秋達の役目なんだけどねぇ。ハジメの悪いところよ、考えるのを放棄するのは」

「ややこしいのはキライなのよ」

「順番に考えるのよ。起点は昨夜夏生くんに会ったことにして……彼はハジメにウソがバレた、合わせる顔がないということで学校を休んだ……、それを今朝御器所さんが知った、警護する必要無くなった、このまま留学する時間まで待つ……、となると夏生くんのメンタルケアが目的か」

「なんでそうなるのよ」

「だってこのままじゃ、憧れのハジメちゃんに嫌われたまま留学する事になるのよ。だからスッキリさせるためにハジメに持って行かせ謝る機会をつくろうとしたんじゃないかな」

「でももう関わるなって言われた」

「なんで? って、それはいつ言われたの」

「さっき。葵が来る三十分くらい前」

「ということは──なんかまた状況が変わったの?」

──いや、夏生くんの家にカチコミがあって──

……なんて言えることもなく、ふたたびフリーズ状態になっていると、スマホが震えた。

「はい、小山です。……ロビーにいますが……はい、はい? ……わかりました、現地に向かいます」

「どうしたの」

「ゴメン、今から仕事。これ、夏生くんに渡せばいいのね、じゃ」

挨拶もそこそこにハジメは駐車場に向かう。

「って、どのクルマ使えばいいのよ」

迷っているハジメの後ろから声をかけられる。

「そこのワンボックスカーがいいわよ。ドライバー付きだし」

振り向くとキーをくるくると回しながら微笑んでいる葵がいた。
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