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そうだ、三陸海岸鉄道に乗ろう
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「海?こんな時期に?すごく寒いよ」
「でも悠也に海の写真撮ってくるって約束したんだ」
悠也に託された宝物だ。そんな約束までしていたのか。普段喧嘩ばかりの子達の兄弟愛にまたもほろりとした。
「そうだ、三陸海岸鉄道なんてどう?汽車の写真もあったら弟君もっと喜ぶんじゃない?」
咲恵ちゃんに言われて、そういえば何度も帰省してるけど車の移動ばかりで、わざわざ子どもと三陸海岸鉄道に乗ったことはなかったなあ、と気づいた。
三陸海岸鉄道というのはあの、母の家出のたびに見かけた元国鉄赤字路線だ。第三セクター「三陸海岸鉄道株式会社」になり、車両も現代的なトリコロールカラーに一新した。地元のお年寄りや学生の大事な足であり、三陸海岸の山と海、両方の景色を一望しながら縦走する貴重な観光路線として活躍している。
海からすぐ山という地形の特性から、実は海よりもトンネルの中を眺める時間の方が多い……というのは、また別の話だ。
「高校時代は毎日乗ってたのに、大人になってからは車ばかりだなあ」
「私は自転車通学だったからな。友達の家に行くときくらいだった」
「テレビに出てたこたつ列車に乗りたい!」
颯也も乗り気だ。
「こたつ列車は予約制だからなあ……それに冬休みの時期とか土日じゃないと走ってないかもしれない」
咲恵ちゃんは地元の人だけあって詳しい。
「こたつ列車は悠也も乗りたいって言うと思うよ。また一緒に乗りに来よう」
「うん」
「タイミングが合えば、観光用の赤いレトロ列車に乗れるかもしれかもしれないよ。行きと帰り、一日二本あるから」
「本当?それは予約要らないの?わあ、乗ってみたい」
「三陸海岸鉄道、全線乗ってみるってのはどう?北リアス線の終点の宮古でJRの山田線に乗り換えて、盛まで行ってまた南リアス線に乗り換えるの」
今では全線三陸海岸鉄道の管轄となっているが、当時はJRの山田線を挟んで北リアス線と南リアス線に分かれていた。
「すごく面白そう!だけど、何時間かかるかな?ローカル線って乗り換えの時間が平気で一時間以上空いたりするし」
冒険心がくすぐられるのは確かだが、子ども連れで待っている家族もいるとなると、出たとこ勝負でたどり着がなかったら途中で一泊ーーという訳にもいかない。チャレンジ精神はいきおい半減する。
「明後日も早いし、列車乗りっぱなしなんだよね……」
「じゃ、宮古まではどう?冬の浄土ヶ浜見て、磯ラーメン食べて」
「あっ、いいね」
「磯ラーメン!食べたい!」
さっき、二人分の刺身とミニすき焼きを含む宴会料理を平らげたばかりなのに、颯也のこのハイテンション。この子も朝、雪掻きしたからかな。
「じゃあ決まり。畑中君にメールしておくね」
「畑中君?」
女二人プラス颯也だと思ってたのに、意外な名前が出てきて驚いた。
「うん。明日、畑中君も休みなんだって。せっかくだから誘ってみる」
咲恵ちゃんと畑中君がお互いのスケジュールや連絡先を教え合う暇があったようには思えないのだが、いつの間に……
「でも悠也に海の写真撮ってくるって約束したんだ」
悠也に託された宝物だ。そんな約束までしていたのか。普段喧嘩ばかりの子達の兄弟愛にまたもほろりとした。
「そうだ、三陸海岸鉄道なんてどう?汽車の写真もあったら弟君もっと喜ぶんじゃない?」
咲恵ちゃんに言われて、そういえば何度も帰省してるけど車の移動ばかりで、わざわざ子どもと三陸海岸鉄道に乗ったことはなかったなあ、と気づいた。
三陸海岸鉄道というのはあの、母の家出のたびに見かけた元国鉄赤字路線だ。第三セクター「三陸海岸鉄道株式会社」になり、車両も現代的なトリコロールカラーに一新した。地元のお年寄りや学生の大事な足であり、三陸海岸の山と海、両方の景色を一望しながら縦走する貴重な観光路線として活躍している。
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「高校時代は毎日乗ってたのに、大人になってからは車ばかりだなあ」
「私は自転車通学だったからな。友達の家に行くときくらいだった」
「テレビに出てたこたつ列車に乗りたい!」
颯也も乗り気だ。
「こたつ列車は予約制だからなあ……それに冬休みの時期とか土日じゃないと走ってないかもしれない」
咲恵ちゃんは地元の人だけあって詳しい。
「こたつ列車は悠也も乗りたいって言うと思うよ。また一緒に乗りに来よう」
「うん」
「タイミングが合えば、観光用の赤いレトロ列車に乗れるかもしれかもしれないよ。行きと帰り、一日二本あるから」
「本当?それは予約要らないの?わあ、乗ってみたい」
「三陸海岸鉄道、全線乗ってみるってのはどう?北リアス線の終点の宮古でJRの山田線に乗り換えて、盛まで行ってまた南リアス線に乗り換えるの」
今では全線三陸海岸鉄道の管轄となっているが、当時はJRの山田線を挟んで北リアス線と南リアス線に分かれていた。
「すごく面白そう!だけど、何時間かかるかな?ローカル線って乗り換えの時間が平気で一時間以上空いたりするし」
冒険心がくすぐられるのは確かだが、子ども連れで待っている家族もいるとなると、出たとこ勝負でたどり着がなかったら途中で一泊ーーという訳にもいかない。チャレンジ精神はいきおい半減する。
「明後日も早いし、列車乗りっぱなしなんだよね……」
「じゃ、宮古まではどう?冬の浄土ヶ浜見て、磯ラーメン食べて」
「あっ、いいね」
「磯ラーメン!食べたい!」
さっき、二人分の刺身とミニすき焼きを含む宴会料理を平らげたばかりなのに、颯也のこのハイテンション。この子も朝、雪掻きしたからかな。
「じゃあ決まり。畑中君にメールしておくね」
「畑中君?」
女二人プラス颯也だと思ってたのに、意外な名前が出てきて驚いた。
「うん。明日、畑中君も休みなんだって。せっかくだから誘ってみる」
咲恵ちゃんと畑中君がお互いのスケジュールや連絡先を教え合う暇があったようには思えないのだが、いつの間に……
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