ばあちゃんの豆しとぎ

ようさん

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祖母の晩年 7〜祖母と私達〜

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 祖母には父の他に子どもはいない。
 祖父の生前に父の弟妹で私の叔父叔母にあたる子ども達を授かったものの、戦後の栄養事情と僻地の医療事情の劣悪さがたたり、乳児の時に亡くしている。祖父共々、風邪をこじらせての肺炎だったそうだ。

 思えば私の産前産後、「冷やすな」「もっと着ろ」「赤ん坊に着せろ」とそれはそれはうるさかったのだが、気持ちだけはわかるような気がする。

 若い頃から人一倍以上の苦労をした祖母は、生活の心配がなくなってからも服すら滅多に服を新調しなかった。私が敬老の日などに何かあげても、繕いながら同じ物を何十年も着続けた。

 何か趣味かあるわけでも美味しいものをあれこれ食べ歩くわけでもなく、散財するといえば年に一度の老人会の旅行か孫に小遣いをくれる時くらいだった。生きた時代が時代なだけに、毎日が必死過ぎてちょっとした楽しみや贅沢を覚える暇がなかったのだろう。

 そうして身体が動かなくなるぎりぎりまで働いてこつこつお金を貯め続け、私達の大学入学やら成人やら結婚出産といったお祝い事のたびにびっくりするような額をぽんとくれたりした。

「お婆ちゃんの稼いだお金なのに、いいのかな?」

 私がそう聞くと母は

「気が変わらないうちにもらっておきなさい」

なんて澄ましていた。

 自分ならきっとそんな生き方もしないしそんなお金の使い方もしない。

 子どもに手がかからなくなって祖母にケアが必要になった時に、何かの形で返せればいいかな、と思っていたのだが結局もらいっぱなしになってしまった。

 祖母の生きていたうちに、もっとできたことがあったのかもしれない。例えばカウンセリングの勉強を少しずつでも続けていたら、祖母の心に届き平穏を与えられる言葉が何か一つでも見つかったのだろうか?

 畑中君のように宗教の範疇まで探したら、あるいは……?
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