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来たコレ!玄英のターン!2
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「あんたみたいな不埒な輩と一緒にするなっ!」
激した清武は思わず怒声を浴びせた。狭い店じゅうの客が何事かと振り返った。
我に返った彼は声を落とす代わりに至近距離で顔を近づけ、まるで凄むように反論した。
「坊ちゃんは恩人のお孫さんで大事な人には違いないが、息子か弟みたいなもんだ。変な目で見てるなんてとんでもない。言いがかりもいいとこだ」
「恋愛感情が性的な欲求に繋がるのは変なことでも何でもなく、ごく自然なことだと思いますがーー恋人としては複雑ですが、個人の内心までは縛れませんし」
「だから、違うって言ってるだろう!」
「そうでしょうか。昨夜、僕が恒星に性的に虐待されていると勘違いした時、逆上してその大事な『坊ちゃん』に殴りかかったのはあなたじゃないですか」
玄英は一切怯むことなく、淡々と指摘した。
「僕が止めなかったら今頃、本人が無事だったかどうかわかりませんよ。なのに今、彼に同性の恋人がいること自体は受け止めている」
「別に、受け止めてるわけじゃ……」
清武がイライラと、居心地悪そうに居住まいを正した。
「そうでしょうね、受け入れられないでしょう。まるで夫の浮気現場に乗り込んで来た奥さんみたいだったーーって、僕も実際に経験あるわけじゃないですが」
「馬鹿言わんでください」
「世間の異性愛者の多くはこういう場合むしろ、同性同士という事実に激怒したり混乱したりするらしいですよ」
「言わせておけば好き勝手な事……」
「あなたは恒星への恋情が、本人にも周囲にも到底受け入れられるものではないと早くに悟っていた。だから彼が異性愛者としてごく『普通の幸せ』ってやつ掴むためだと自分に言い聞かせて、一歩引いた所で見守る道を選んだんでしょうーーそこまで大事にしていた坊ちゃんがまさか、余所の男と恋に落ちるなんて思ってもみなかっただろうし、今回の事は悪夢でしかないでしょう。それだけは同情します」
「黙れ……」
清武は怒りに顔を染めながら、口の中で呟いた。
「弱みでも握ったつもりか。もし、坊ちゃんにふざけた事をぬかしたら……」
「わざわざあなたの気持ちを伝えてあげるほど僕は親切じゃありませんよ」
清武が堪えきれずに椅子を蹴り飛ばしたのと玄英が立ち上がったのとが同時だった。野球中継を上回る緊迫した状況に、ご亭主が飛んできた。
「まあまあ……ご両人。事情は知らんが、一つ穏便に……」
「ご亭主。黙っててもらえねえですかね」
が、玄英と睨み合ったままの清武に凄まれてカウンター奥にあっさり退散した。
「あなたの性的指向は特に詮索しませんが、恒星に対する長年の献身と深い愛情は本物でしょう。僕はむしろ敬意と感謝すら抱いています。ですが、彼に関しては一歩も譲る気はありません」
玄英は穏やかに語りかけ、今度は静かに頭を下げた。
「どうか恒星君を僕にください。二人できっと幸せになります」
清武は唇を震わせたまま腕組みをして立ち尽くしていたが、やがて口を開いた。
「そんなの……あんたの自己満足じゃないか……親方が知ったら絶対に激怒して縁を切る。ただでさえ肉親の縁が薄い坊ちゃんが、それでも幸せになるって言えますか」
「僕が彼の家族になります。あとはお祖父様やあなた方がその愛情で、どれだけ彼を理解してあげられるかにかかってるんじゃないでしょうか」
清武はしばらく黙っていたが、
「はいそうですかって……、言えるわけないでしょうが……」
と吐き捨てるなり踵を返し、状況が皆目わからないまま客とともに固唾を飲んでいたご亭主の目の前に、数枚の千円札を叩きつけた。
「ご亭主!お勘定っ」
激した清武は思わず怒声を浴びせた。狭い店じゅうの客が何事かと振り返った。
我に返った彼は声を落とす代わりに至近距離で顔を近づけ、まるで凄むように反論した。
「坊ちゃんは恩人のお孫さんで大事な人には違いないが、息子か弟みたいなもんだ。変な目で見てるなんてとんでもない。言いがかりもいいとこだ」
「恋愛感情が性的な欲求に繋がるのは変なことでも何でもなく、ごく自然なことだと思いますがーー恋人としては複雑ですが、個人の内心までは縛れませんし」
「だから、違うって言ってるだろう!」
「そうでしょうか。昨夜、僕が恒星に性的に虐待されていると勘違いした時、逆上してその大事な『坊ちゃん』に殴りかかったのはあなたじゃないですか」
玄英は一切怯むことなく、淡々と指摘した。
「僕が止めなかったら今頃、本人が無事だったかどうかわかりませんよ。なのに今、彼に同性の恋人がいること自体は受け止めている」
「別に、受け止めてるわけじゃ……」
清武がイライラと、居心地悪そうに居住まいを正した。
「そうでしょうね、受け入れられないでしょう。まるで夫の浮気現場に乗り込んで来た奥さんみたいだったーーって、僕も実際に経験あるわけじゃないですが」
「馬鹿言わんでください」
「世間の異性愛者の多くはこういう場合むしろ、同性同士という事実に激怒したり混乱したりするらしいですよ」
「言わせておけば好き勝手な事……」
「あなたは恒星への恋情が、本人にも周囲にも到底受け入れられるものではないと早くに悟っていた。だから彼が異性愛者としてごく『普通の幸せ』ってやつ掴むためだと自分に言い聞かせて、一歩引いた所で見守る道を選んだんでしょうーーそこまで大事にしていた坊ちゃんがまさか、余所の男と恋に落ちるなんて思ってもみなかっただろうし、今回の事は悪夢でしかないでしょう。それだけは同情します」
「黙れ……」
清武は怒りに顔を染めながら、口の中で呟いた。
「弱みでも握ったつもりか。もし、坊ちゃんにふざけた事をぬかしたら……」
「わざわざあなたの気持ちを伝えてあげるほど僕は親切じゃありませんよ」
清武が堪えきれずに椅子を蹴り飛ばしたのと玄英が立ち上がったのとが同時だった。野球中継を上回る緊迫した状況に、ご亭主が飛んできた。
「まあまあ……ご両人。事情は知らんが、一つ穏便に……」
「ご亭主。黙っててもらえねえですかね」
が、玄英と睨み合ったままの清武に凄まれてカウンター奥にあっさり退散した。
「あなたの性的指向は特に詮索しませんが、恒星に対する長年の献身と深い愛情は本物でしょう。僕はむしろ敬意と感謝すら抱いています。ですが、彼に関しては一歩も譲る気はありません」
玄英は穏やかに語りかけ、今度は静かに頭を下げた。
「どうか恒星君を僕にください。二人できっと幸せになります」
清武は唇を震わせたまま腕組みをして立ち尽くしていたが、やがて口を開いた。
「そんなの……あんたの自己満足じゃないか……親方が知ったら絶対に激怒して縁を切る。ただでさえ肉親の縁が薄い坊ちゃんが、それでも幸せになるって言えますか」
「僕が彼の家族になります。あとはお祖父様やあなた方がその愛情で、どれだけ彼を理解してあげられるかにかかってるんじゃないでしょうか」
清武はしばらく黙っていたが、
「はいそうですかって……、言えるわけないでしょうが……」
と吐き捨てるなり踵を返し、状況が皆目わからないまま客とともに固唾を飲んでいたご亭主の目の前に、数枚の千円札を叩きつけた。
「ご亭主!お勘定っ」
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