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089★赤ちゃんは未設定?
しおりを挟むフリードが座ったところで、ジオンが珍しく口火を切る。
「さて、あいつらが創造し
残していった
新しい神子だが………
確かに、俺が見ても
ライムあんたの言うとおり
この赤子には【調停者】や
【理(=ことわり)】役目以外
何にも設定されいないようだ
まさか手を抜いて、何にも………
基本的な情報どころか
色すらも設定していないなんて………はぁ~……」
ジオンも正確に赤子の状態を読みとり、ちょっと頭を抱える。
(えっと?…ライムもジオンも
何を言っているのかしら?
基本設定って? 色って?)
小首を傾げたシアは、ジオンの今言った言葉をよぉーく噛み砕き、その意味を理解しようとする。
が、やはりライムとジオンが頭を抱える理由がわからないシアは、寝籠へと寝かせた赤子の顔を覗き込み、無意識にその頬や頭を撫でてしまう。
そこに、2人の嘆き?の意味をようやく理解したフリードがシアに言う。
「まま、この子って色が無いよ」
フリードの言葉にシアは、きょとんとして小首をコテンっと傾げて聞き返す。
「色が無いって?
どういう意味なのフリード」
何度も左右に小首を傾げるシアに、ライムが口を挟む。
「シア、シアって前世で
オンラインじゃなくて
家庭内ゲーム機でさぁ
RPGの女神シリーズとか
ドラゴンシリーズとか
FFシリーズの
ゲームしたコトある?」
唐突な質問に、シアは小首を傾げてから、ちょと戸惑った表情で言う。
「えっと…それって……
悪魔合体とかあるやつかな?
ドラゴンシリーズもあるよ
あとFFシリーズとかも………」
シアの言葉に、ライムはコクコクする。
「そう、やったコトあるのね………よかった
まー他のRPGとかでもそうだけど
電源入れてオープニング終わった後
一番最初に何をしたか覚えている?」
ライムの問いかけに、シアは前世で家庭内ゲーム機を使ってプレイしていた時のコトを思い出す。
「んーと、たいていは
キャラ設定かな?
性別に名前に武器とか
魔法の属性とかかな?」
ライムの問いかけに答えるシアを、ジオンとフリードは黙って見ていた。
シアを上手く、誘導するのを見て、ちょっとライムに丸投げしてしまうジオンだった。
「そうね、まずそこからよね
でね、話しをゲームから
赤ちゃんに戻すけど………
この赤ちゃんってば
まだ、なぁ~んにもそういう
基本設定がされていないのよ」
わかる?という表情で言うライムに、シアは何を言われたか理解できずにきょとんとする。
「えっ?」
シアの様子から、もう少し内容を丁寧に言う必要と感じたライムは、手っ取り早く、例え話しをすることにした。
「うん、だから、例えばだけどね
あの2人から、この赤ちゃんを
受け取ったのはシアでしょ………
だから、シアが設定する権利と
義務を持っているの………たぶん
もちろん、設定にはジオンの
同意も必要だと思うんだ
でね、これは、あくまでも
例え話しだけどねぇ………
シアが、この赤ちゃんに向かって
自分とジオンの子供だったら………
なんて考えながら、足りない魔力を
ソッと注いであげれば
その色を纏う可能性があるのよ
まだ、まっさらだから………
そうね、アバターの基本素体
って言ったら良いのかな?
シアだって、レイパレの時に
色々と課金して、お気に入りの
アバター創ったでしょ
その時、色々と設定を入れたわよね
んでもって、今この赤ちゃんは
まだ入力設定前の素体状態なのよ」
わかるぅ?というニュアンスのライムに、なんとなくではあるが理解したシアは、赤子の頬を撫でながら考える。
(うふふふ……ジオンと私の子かぁ~…
もしも、私とジオンの子だったら………
私の肌色は、透き通るような白磁色
といえば聞こえは良いけど………
不健康による青みを帯びた
真っ白な肌色………
かたや、ジオンの肌色は
長年封印されていたとは
到底思えないような
褐色…いや、琥珀色に近いかな?
私とジオンの子なら………
うん、ちょうど間とって
健康的な小麦色かなぁ?
瞳の色は、私が銀を帯びた紫紺色で
ジオンも、紫紺色の瞳だから………
紫紺色かしら? 銀のハイライト入り?
でもって、髪色は私が蒼銀色
ジオンは深紅色だから………
どちらかをとるか?
紫色系の髪になるのかしら?
ああ、そういえばフリードは
藍白色の髪よねぇ………
この赤ちゃんに、ライムの言う
キャラ設定するとしたら………)
なんてコトを思いながら、赤子のまだ毛の薄い頭を無意識に撫でていた。
勿論、ほぼ魔力枯渇に近い状態から、かなり回復してきていたシアは、極限まで吸い取られていたコトが突然に停止したコトで、体内魔力が飽和状態になり、その身体からダダ漏れしていたりする。
そして、その手で撫でる赤子は魔力枯渇にひとしい状態だった。
結果として、シアの無防備な思念を帯びた魔力を吸収した赤子は、妄想した色を纏った赤子へと変化していた。
すなわち、肌色は琥珀色よりやや薄い小麦色の肌に、頭髪は何故か銀を帯びた紫色と藤色の中間のような色になり、瞳は紫紺色へと変化するのだった。
ただし、まだその双眸は綴じられているので、その瞳の色に気付くのは、赤ちゃんが瞳を開けた時だったりする。
ぼーっと幻の第6攻略対象者のジオン・ヘザーと自分に子供が出来たら………を夢想していたシアは、その変化に気付くコトは無かった。
が、なんとはなしにシアの赤子を撫でる手を見ていたライムは、いち早くその変化に気付き、思わず叫んでしまう。
「シアっ」
強く呼び掛けられ、ハッとしたシアもその変化に気付く。
「えっ?えぇぇぇぇぇ~………
赤ちゃんに色が付いてるぅ…」
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