カレイなる日々

隠井迅

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一巡目(二〇二二)

第115匙 東南アジア系多国籍レストラン:Shapla(シャプラ)神田店(D21)

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 たとえば、もし、皆んなでアジア系の料理店に行こう、という話になったとする。
 その際に、Eさんはベトナム料理を、Fさんはタイ料理を、Gさんはインドネシア料理を、そして、Hさんはシンガポール料理を食べたい、と主張したとする。
 これが、グループの中に、南アジア系の料理を食べたい、と言う者が混じっていたとしたら、おそらく話は全くまとまらなかったであろう。だが、今回は、インドや、パキスタン、ネパールといった南アジアの料理を希望する者は、仲間内にはいなかったようである。
 もちろん、この日のメンバーも、それぞれが、別々の国の料理を望んでいるのは確かなのだが、彼らの今回の希望料理の方向性は〈東南アジア〉に統一されている。

 問題は、この日、一体どこの国の料理店に行くか、という事である。

 しかし思うに、〈東南アジア〉とまとめてはみたものの、例えば、中国、韓国、日本の料理を〈東アジア料理〉と括ってしまう事があまりにも大雑把過ぎて無理があるように、〈東南アジア〉という括りもまた、あまりにもざっくりし過ている。

 普通のグループのただの飲み会の場所決めではなく、それが〈食通(グルマン)〉のグループである場合、店一軒を決めるだけでも、けんけんがくがくとなるのは、火を見るよりも明らかなのだ。

 しかし、Eさん達のグループの今夜の店決めは、どうやら、思いの外、あっさり終わったようである。

 すなわち、Eさん達が、この日に選んだのは、神田駅南口、以前、論考の中でも何度か扱った事がある、神田駅南口のガート下のカレー・エリア、〈神田ふれあい通り〉に位置している、「アジアご飯とお酒のお店 Shapla(シャプラ)神田店」だったからだ。
 
 この「シャプラ」は、例えば、薄い豆せんべいである「パパドゥ」、三角コロッケの「ひよこ豆のサモサ」など、たしかに、インド料理も取り扱っているのだが、全体的なメニューのラインナップを見た限りでは、インドよりも、〈東南アジア〉系の多国籍レストランという印象であった。

 例えば、マレーシア、あるいは、インドネシアのピリ辛チャーハンである「ナシゴレン」、ベトナムのお好み焼である「バインセオ」などがメニューに認められ、かくの如く、一つの店で、東南アジア各国の代表的な皿を楽しめるので、ベトナム料理を食べたいEさんと、タイ料理を食べたいFさんの間で、折り合いをつける事ができたのである。

 しかし、食べたい皿が〈カレー〉であった場合には、話が違ってくる。

 店の公式ホームページの料理の紹介サイトによると、カレーメニューは、「バターチキンカレー」「チキンチリカレー」そして「タイグリーンカレー」の三種で、『グルなび』ではここに「キーマカレー」も加わっていたのだが、それでもやはり、カレーに関しては、さして種類は多くはなく、インド系かタイ系の二択になっているようだ。
 そして、この日の書き手は、「タイの辛口ココナッツカレー」である、「タイグリーンカレー」を選択したのであった。

 う~ん、カレーが、インド系のチキンカレーか、タイのグリーングカレーのどちらかであるのならば、東南アジアの多国籍料理店とはいえども、書き手にとっては、インド料理店やタイ料理店に行くのと変わらんかも。

 そう思った時に、はた、と気が付いた。

 カレーだけではなく、同時に他の料理も頼めば、この店の特徴である〈東南アジア〉の多国籍性を十全と味わい尽くせるのではなかろうか、と。
 
〈訪問データ〉
 Shapla(シャプラ)神田店;神田・神田駅南口
 D21
 十二月六日・火・十九時
 タイグリーンカレー(八二〇)+ライス(一七〇);九九〇円(QR)

〈参考資料〉
 「Shapla(シャプラ)神田店」、『神田カレー街 公式ガイドブック 2022』、六〇ページ。 
 〈WEB〉
 『タイ&ベトナム料理 Shapla 神田店【公式】」、二〇二三年七月二十六日閲覧。
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