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第1章 アリシアの諜報活動

23 女子会

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 翌日、アリシアは朝の準備時間中にリーゼを探した。予想通り、一人で2階の給仕準備室を整えていたので、念のため準備室の鍵をかけてから口を開く。

「リズ、作業しながらでいいから、少しいい?」
「あ、ミリィ。どうかした?」
「今日、ホルツマン食料管理補佐官の件でアードラー文官長が呼ばれるらしいの」

 室内にはアリシアとリーゼ以外に誰もいないが、一応声を小さくして伝える。リーゼは目を見開いた後、すぐに頷いた。

「分かった。夜に、ね」

 アリシアが言いたいことを察し、必要最低限の言葉を返してきた。アリシアも頷き返すと、更に声を小さくした。

「あとね。詳細は今夜説明するけど、もし誰かに夜の特訓の事を聞かれたら、ハルシュタイン将軍の忍び込みを警戒してのお茶会ってことにしてくれる?」
「・・・」

 きょとんとした顔でアリシアを見た後、上を見て考える素振りをするとニヤリと笑った。

「昨日、デートだったのよね?」
「デート・・・だったわね」

 カモフラージュと打ち合わせを兼ねた、アリシアの希望の元の遠出だったが、表向きは確かにデートだ。否定したい気持ちを抑えるが、どうしても目が遠くを見てしまう。
 そんなアリシアを楽しそうにリーゼは見つめ、フフッと笑う。

「じゃあ、その話も夜に聞かせてもらえるなら、いいわよ」

 言葉を区切って強調するリーゼに、アリシアは項垂れた。
 ヴュンシュマン将軍の件が落ち着いたら解消される関係なので、ハルシュタイン将軍との事はあまり口外したくない。しかしリーゼは貴重な情報元だ。いくらリーゼの利も考えてコーヒー講義をしているとはいえ、アレコレ聞いておいて自分の話は出来ないなんて、アンフェアだろう。アリシアの情報元である事にリーゼは気付いていなくても、一方的な関係はアリシアの良心が痛むのだ。

「・・・分かった」
「楽しみにしてる。絶対よ!」

 声のトーンを戻して、言葉通り楽しそうにしているリーゼに、アリシアは苦笑を返した。



* * *



「で?どうだったの!?」

 コーヒーを淹れ終えてテーブルに着いた途端、目を輝かせたリーゼが身を乗り出して聞いてきた。

「どうって言われても・・・」

 ざっくりとした質問とリーゼの勢いに、アリシアは何を話せばいいのか戸惑う。昨日のデートのことを聞いているのは分かるのだが、アリシアはアードラー文官長の話を真っ先に聞こうと思っていた。頭の中の切り替えが上手くいかず、言葉がすぐに出てこない。

「ハルシュタイン将軍のシュヴィートで、森林公園に行ったんでしょ?」
「あ、うん」

 戸惑っていると、リーゼが話を促すように言う。アリシアは頷くと、少しだけ頭の中を整理してから口を開いた。

「そうね・・・そのシュヴィート、ヴァネサって名前の女の子だったんだけど、見た目は普通の馬だったわ。角があるってだけで」
「へぇー」
「でも魔獣だけあって、普通の馬より賢いみたい。こちらの言葉も理解してるみたいで、可愛かった」
「え。シュヴィートってそんなに賢いんだ?馬って凄いわね」

 驚いた顔でコーヒーを飲むリーゼに倣い、アリシアも一口飲んだ。

「うん。今日も美味しい。リズはもうコーヒーの淹れ方、バッチリね」
「そう?・・・ありがと。じゃあ後は知識ね」

 アリシアの評価に少し照れながら、リーゼは笑みを浮かべる。そんなリーゼに、アリシアも笑みを浮かべた。

「それもリズならすぐよ。大体の事は1回で覚えちゃうんだから、こっちはビックリよ」
「そりゃそうよ!こんな機会この先あるかどうか分からないんだし!折角のミリィのご厚意なんだから、頑張るに決まってるじゃない!」

 意気込んで言うリーゼに、アリシアはふふっと笑った。
 しかしそんなアリシアに、リーゼはニヤリと笑う。

「で?話は戻るけど、そのヴァネサで、ハルシュタイン将軍と相乗りしたんでしょ?」
「・・・」

 笑みを浮かべていたアリシアはコーヒーカップを置くと、テーブルに両肘をつき、顔を両手で覆った。顔が熱い。

「なになに。何かあった?」

 リーゼのからかうような、楽しそうな声が聞こえる。

「その・・・」
「誰にも言わないから、このお姉さんに話してみな?」
「・・・こんな時だけ年上ぶるんだから」
「こんな時じゃなきゃいつするのよ。で?相乗りで少しはドキドキしちゃった?」

 アリシアは顔を覆っている手から目だけを出してリーゼを見た。そこには目を細めてニヤついている顔がある。そんなリーゼの目を見つめていると余計恥ずかしい。直視出来ず、視線を泳がせながら口を開いた。

「・・・ギャロップで、あ。馬の一番早い走らせ方で・・・シュヴィートがあんまりにも早くて、左右に振られる事があったの。でも予想はしてたし私は大丈夫だったんだけど・・・ハルシュタイン将軍が心配したのか、後ろから・・・その・・・」
「え!?もしかして抱き締められちゃった!?」

 リーゼは目を爛々と輝かせて身を乗り出す。その反応と恥ずかしい記憶とで顔が更に熱くなる。アリシアは再び目まで手で覆った。

「そこまでじゃないけど・・・凄く恥ずかしくて」
「ドキドキしちゃった!?」
「そりゃするわよ。家族以外の男の人と相乗りなんて初めてだったし・・・」
「好きになっちゃった?」
「・・・それはないわ」
「ええー?」

 顔を覆ったまま、急に冷静な声で即答するアリシアに、リーゼが不満そうな声をあげた。

「なんでよ?あのハルシュタイン将軍よ?何が不満なのよー」

 アリシアは再び手から目だけを出してリーゼを見る。

(魔国ティナドランの将軍だから、なんて言えないし)

 どう答えようかと考えるが、上手いかわし方が思い付かない。目を上へ横へと彷徨わせた後、アリシアは弱々しく声を出した。

「不満とかじゃなくて・・・そもそもハルシュタイン将軍が本当に本気か分からないし」
「・・・う・・・うん?」
「私は使用人としてまだまだじゃない?だからしばらくは恋愛はいいかなって・・・」
「・・・・・・うーん」

 じっとアリシアの顔を見つめて唸ると、リーゼはため息をついた。

「そう。まあいいわ。で?森林公園はどうだったのよ」
「森林公園・・・」

 まだ頬は熱いが、顔から手を離して下を向く。カップの中のコーヒーを眺めながら口を開いた。

「そうね・・・緑が綺麗で・・・想像以上に居心地良かったわ。リズは行ったことある?」
「あるわよ。王都で暮らしてる大抵の人は、一度は行く観光名所だもの。池の方には行った?」
「うん。池を一周して、東屋で一休みして・・・キャンプ場に移動して・・・」
「ああ、そういえばキャンプ場も併設されてたわね」
「荷物が多いとは思っていたけど・・・ハルシュタイン将軍がシェルターテントっていう、簡易テントで日影を作って、そこに組み立てた椅子とテーブルと竈をおいてね。その竈でお湯沸かして、それで紅茶を淹れてくれって。持ってきたサンドイッチで昼食して・・・」
「ふふっ!言葉通りの軍人キャンプね。組み立てはハルシュタイン将軍が一人で?」
「うん。私は紅茶淹れただけね。サンドイッチもハルシュタイン将軍のお屋敷の方々が準備してくれたみたい。設営は全部やるから休んでろって」
「あら」

 リーゼは口に手を当ててニヤリとする。

「男らしさと優しさにドキドキした?」
「・・・・・・」

 アリシアは半目でジトっとリーゼを見つめる。リーゼはその視線に怯むこともなく、ニヤニヤとアリシアの反応を待っていた。

「もー。昨日の話はこれで終わり。後はお昼食べて一休みした後ゆっくりと帰ってきただけだから」

 アリシアはため息をついてから気分を変えようとコーヒーをコクコクと飲む。「えー」と不満そうに言うリーゼに、アリシアはコップをテーブルに置いて困った顔をした。

「リズはエレオノーラ様をお助けしたいんでしょ?ハルシュタイン将軍に協力して欲しいなら、そっちの話もしてちょうだい?」
「・・・それはもちろんよ。でも・・・・・・あーあ。可愛いミリィをもうちょっと見たかったのにー」

 頬を膨らませて文句を言うリーゼに、アリシアは戸惑う。そんな事を言われてどう反応すれば良いのかと一瞬悩んだが、すぐにニヤリとした。

「そんな顔をしても可愛いだけよ」

 言われたリーゼは、はたとアリシアを見た後に笑った。

「エルゼさんの物真似やめなさいよ」

 少し恥ずかしかったが、口調までちゃんと真似たのでリーゼの笑いが取れた。そのことに満足すると、アリシアも小さく笑った。

「良い言い回しよね。ミリィも何度か言われたでしょ?」
「そうね。言われても悪い気はしな・・・いや・・・ちょっと恥ずかしいかな」

 リーゼは「確かに」と言って再び笑った。

「で、ちゃんと聞いてきたわよ。アードラー文官長の言動」

 笑いをおさめてそう言うと、リーゼは真顔になる。一口コーヒーを飲むと、少し嫌悪を滲ませた表情でため息をついた。

「魔王様との打ち合わせが終わって、すぐにエレオノーラ様の所に行ったって。それで前回同様、ヴュンシュマン将軍との縁談について話されたみたい」
「お話しされた内容も、前と一緒だった?」

 アリシアが聞くと、リーゼは眉間にシワをよせ、嫌そうな顔をした。

「前より悪化してたらしいわよ。前はただ縁談を勧められただけだったけど、今回は遠回しに軽く脅されたって、侍女が怒ってたわ」
「脅し!?」

 驚いて復唱するアリシアに、リーゼは頷いてから続けた。

「あまりにもしつこいから、エレオノーラ様も今回はハッキリとリューベックの件を持ち出してお断りしたらしいの。でも全く聞く耳持たずって感じで・・・そんな噂話を本気にするのかとか、今ここで頷いておいた方が懸命だとか、実際にヴュンシュマン将軍とお話すればお分かりになるとか」
「・・・」

 噂も何も、実際に起こった事件であり、魔王ギルベルトがきちんと調査したはずだ。その上で処分までされたのに、それを噂扱いするなど、エレオノーラを侮りすぎではなかろうか。
 その上、今ここで頷いておいた方が懸命とは、頷かないとどうなるというのか。

 アリシアは片手で側頭部を抑えた。

「頭痛くなりそうだわ。アードラー文官長って、女性を下に見てるの?」
「あまりそういう話は聞かないけど、エレオノーラ様の件を鑑みれば、そうとしか言えないわね」

 リーゼも額に手をついて、顔をしかめた。

 この国は完全実力主義だ。いくら魔王ギルベルトの妹と言えども、この王宮で育ったとしても、役割がなければ王宮には住めない。代替わりしたら、それが実の兄だとしても王宮を出なければならない決まりだ。
 エレオノーラは魔神エルトナの代筆者として、数多くの書籍を出している。だからこそ神と語らえる神域である王宮に居を構えているのだが、それがどういう事かを分かっているのだろうか。

「神界にいる魔神エルトナ様と毎日会話されてるっていう事がどれだけ凄い事なのか分からないのかしら・・・。そもそも代筆と言えども、ちゃんと理解してなきゃ単語すら書けないのに・・・ねえリズ。文官長ともあろうお方が、エレオノーラ様が代筆された本の種類の幅広さを知らないの?」
「言われたままに書いてるだけだと思ってるんじゃない?あの方のお部屋、ご自身が書かれた物も含めて物凄い量の本が置いてあるのに。2回もお部屋に立ち入ってるのに、一体何処を見てるのかしらね」

 アリシアが側頭部をグリグリしながら言うと、鼻息荒くリーゼも続けた。

 アリシアは何度も精霊神ハヤトと話したことがあるから知っている。神は純粋で謙虚であり、かつ他者を慈しむことが出来る人物が好きだし、そういう人物てなければ波長が合わない。いくら高魔力保持者であっても、精神性も伴わければ、高次な存在である神と波長が合わず、対話することは出来ない。唯一の例外は、この世に肉体をもって顕現している精霊神だけだ。

 エレオノーラは魔人たちの為に、その時々で必要とされている知識を、魔神エルトナから得て書籍にしている。恋愛小説は魔神エルトナとああでもないこうでもないと語り合いながら代筆しているらしいが、それ以外の専門書はただ言われたままに書いているのではない。魔神エルトナから説明を受けて、それを一般人でも分かりやすい文章にしているのはエレオノーラだ。専門用語やその業界知識を知らなければ、噛み砕いて説明することはできない。彼女は本を書く度に、その前提知識を勉強し、業界の常識も学んでからペンを取っているのだ。
 そして彼女の凄いところは、知識欲が強く、多方面の知識を吸収するのが楽しくて仕方ないそうだ。そしてそんな自分の知識が役立っていることにも喜んでいる。

 そんな彼女だからこそ、魔人達が愛し敬う魔神エルトナに愛されている。それは今現在でも王宮に住んでいることで証明されているし、王宮関係者は皆知っている事なのだが。

 はあ、と大きくため息をつくと、アリシアは笑みを浮かべてリーゼに顔を向けた。

「ま、取り敢えず分かったわ。ハルシュタイン将軍に伝えておく。リズ、ありがとう」
「どういたしまして!あのふざけた男共の話、しっかり伝えておいてね」
「うん」

 やや憤慨気味なリーゼに、アリシアはしっかりと頷いた。
 アリシアにとっては敵国の王妹だが、その人格と功労は尊敬に値する。魔王暗殺も含め、こんなことで不幸になって欲しくない。
 アリシアは今一度頷いて、その意志を心に刻んだ。

「あ、そうだ。あと今やってるこのコーヒー講座なんだけど・・・」

 危うく話すのを忘れるところだった。アリシアはハルシュタイン将軍にもこの事は秘密にし、忍び込み対策という事で口裏を合わせて欲しい事を説明してリーゼに了承をもらうと、いつも通り雑談に花を咲かせた。

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