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番外編 2-2 罰当たりな駄犬は神殿で白昼夢を見る
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この国、エーデルオートは大国だ。その国教として建国神達を祀る神殿はそのもって余る財力を注がれておりたいそう大きい。白い石造りの巨大な神殿は大人が二人がかりで手をつないで囲めるような大きな柱が何本も立ち天井を支えている。四角い箱のような形状だが三方の壁がなく壁のある一方に祭壇が作られている。
神事は主に王族が取り仕切ることになっているので今ルーディアは女王陛下と並んで祭壇前にいる。
神殿の中には国内の有力貴族たちが参列している。が、いつもより若い男が多い気がして俺は周りに視線を走らせた。あからさまに俺のことを気に食わないという視線を飛ばしてくる男どもがいたが大抵はルーディアに岡惚れしているボンボンどもだ。惚れた女を落とすのに親の金と地位を使わなければならないような哀れな奴らなので気にする必要もない。
お前とルーディアとの婚約は運が良かっただけだろう。と言われてしまえばその通りだとうなずくしかない。王族とはいえ小国。おまけに何の因果か犬に変化する呪いのような体で生を受けたのだ、ルーディアのような最愛の人と結ばれるくらいの大幸運がなければ俺の人生帳尻が合わないだろう。
嘆いたこともあるが俺はこの人生で良かったと思っている。
(だから絶対に離れないし放さない)
俺はルーディアへ視線を戻した。
ルーディアの衣装は大変に豪華だ。何重にも重ねた鮮やかな絹衣。そこへ金糸で神への願いを図案にし刺繍で入れるこの国の伝統的なもの。一枚一枚は軽く薄いが総重量はかなり重たくなるらしい。
ある日、その衣装にかかる金額だけで俺の出身国の国民達が半年は食べられると説明するカリンに生返事をしながら、脳内でその衣装を着たまま行為に及んだらどうなるだろうと俺は想像した。
嫌がるルーディアを丸め込み、最終的には二人で半裸になりながらの着衣性交。更に脳内のルーディアを前後不覚の状況に陥れ『もっと奥まで』とねだらせる。甘くとろけたその声が俺の耳の奥に響く。『いぃ…も…ああぁん』ルーディアが気を失うまで腰を振り続け…
俺は瞬きほどの間で駆け巡ったその卑猥な想像を押し殺し「汚したら大変だよなぁ」と平静を装いつつ呟いた。
あくまで普通に呟いたその言葉だったのに、その瞬間カリンからは『絶対さわるなよ!神事のお衣装を着てる姫様に欲情したらお前の一物をちょん切るぞ』という殺気を飛ばされた。俺は彼女の勘の良さに冷や汗をかきつつ視線をそらした。
その後、最近のカリンの忠義心は狂信者の域に達しつつあるのではと自国から連れてきた侍従にこぼしたら『あんたのせいだろう』と視線で冷たく答えられた。
まぁ多少の自覚はある。俺は時間さえあればルーディアをとろけさせたいと思っている。
次期女王としての重圧を抱えて頑張っている彼を甘やかすことができるのは俺だけだと思えばこそ。と言うのは建前で我慢だの王族としての振る舞いだのといった余計なものを取り去った彼が可愛いからそれが見たい。ただそれだけだ。性的にとろけさせるのが楽しいのだ。悪いか?
はっきり言えば神殿にいる今だって思っている。俺の頭の中では昨晩のとろけたルーディアが自動再生され続け、かわいいおしりを俺に向けている。
本当に神がいるのなら俺は今すぐ雷にでも打たれて死ぬはずだと思うほどに不敬だ。自分の神殿内で神事を捧げる人間を脳内で犯し続ける人間がいれば異国人だからといって見逃してくれるような神はいないと思う。
だがそれもこれもルーディアの美しさのせいだ。もちろん衣装も美しいがそれをまとうルーディアの美しさは神がかっている。そして美しいものを見たらつい汚してしまいたくなるのが人の性というものだ。
だから俺は彼が衣装を着ている儀式の前後にはルーディアの側には近づかないことにしている。だが儀式の衣装を着る前と脱いだ後はその限りではない。これは俺の最大限の努力であり譲歩なのだがどうやらカリンには伝わっていないらしい。
儀式の日のカリンは関係のないものが怯えるほどに殺気立っている。今朝もそうだった。俺はその殺気にもなれたものなので動じなかったが。
まぁ…実際のところルーディアへの忠誠心が暴走して本当にあれをちょん切られそうで怖いと思うこともある。なので衣装を着る前に思う存分汚させてもらっているのだが…
…ぞくり
神殿の外にいるはずのカリンの殺気を感じた気がして俺は一つ身震いをし、改めて祭壇に目を向けた。
大仰な衣装を身にまとったルーディアは本当に女神のようで、そんなルーディアを美しいと思うのは俺だけではない。神殿で神事に携わる皆が祭壇前に並んだ王族の中でも一際美しい次期女王を見つめていた。皆真面目そうな顔で祭壇に向いているが心の中では何を思っているのかわかったものではない。
筆頭は俺だ。間違いない。
だが他の男の脳内でどんなに汚されても俺がルーディアを守ることは出来ない。
(だから後でお清めしよう)
また一つルーディアに触れる理由ができた俺は真面目な顔をして祭壇を見つめた。
優しげに軽く結ばれた口元。伏し目がちのまま神事を進めるルーディア。俺はそんな彼を少し離れた列から他の貴族とともに見つめる。
儀式の最後に他の王族とともに神の像に向かい頭を垂れて感謝を捧げる小さな姿。
だがその姿はいつもより儚く寂しげに見えて俺の心に不安の波をざわりと立てた。
(ルーディアを幸せに出来ますように)
俺は信じてもいない神に向かって皆と一緒に頭を垂れた。
神事は主に王族が取り仕切ることになっているので今ルーディアは女王陛下と並んで祭壇前にいる。
神殿の中には国内の有力貴族たちが参列している。が、いつもより若い男が多い気がして俺は周りに視線を走らせた。あからさまに俺のことを気に食わないという視線を飛ばしてくる男どもがいたが大抵はルーディアに岡惚れしているボンボンどもだ。惚れた女を落とすのに親の金と地位を使わなければならないような哀れな奴らなので気にする必要もない。
お前とルーディアとの婚約は運が良かっただけだろう。と言われてしまえばその通りだとうなずくしかない。王族とはいえ小国。おまけに何の因果か犬に変化する呪いのような体で生を受けたのだ、ルーディアのような最愛の人と結ばれるくらいの大幸運がなければ俺の人生帳尻が合わないだろう。
嘆いたこともあるが俺はこの人生で良かったと思っている。
(だから絶対に離れないし放さない)
俺はルーディアへ視線を戻した。
ルーディアの衣装は大変に豪華だ。何重にも重ねた鮮やかな絹衣。そこへ金糸で神への願いを図案にし刺繍で入れるこの国の伝統的なもの。一枚一枚は軽く薄いが総重量はかなり重たくなるらしい。
ある日、その衣装にかかる金額だけで俺の出身国の国民達が半年は食べられると説明するカリンに生返事をしながら、脳内でその衣装を着たまま行為に及んだらどうなるだろうと俺は想像した。
嫌がるルーディアを丸め込み、最終的には二人で半裸になりながらの着衣性交。更に脳内のルーディアを前後不覚の状況に陥れ『もっと奥まで』とねだらせる。甘くとろけたその声が俺の耳の奥に響く。『いぃ…も…ああぁん』ルーディアが気を失うまで腰を振り続け…
俺は瞬きほどの間で駆け巡ったその卑猥な想像を押し殺し「汚したら大変だよなぁ」と平静を装いつつ呟いた。
あくまで普通に呟いたその言葉だったのに、その瞬間カリンからは『絶対さわるなよ!神事のお衣装を着てる姫様に欲情したらお前の一物をちょん切るぞ』という殺気を飛ばされた。俺は彼女の勘の良さに冷や汗をかきつつ視線をそらした。
その後、最近のカリンの忠義心は狂信者の域に達しつつあるのではと自国から連れてきた侍従にこぼしたら『あんたのせいだろう』と視線で冷たく答えられた。
まぁ多少の自覚はある。俺は時間さえあればルーディアをとろけさせたいと思っている。
次期女王としての重圧を抱えて頑張っている彼を甘やかすことができるのは俺だけだと思えばこそ。と言うのは建前で我慢だの王族としての振る舞いだのといった余計なものを取り去った彼が可愛いからそれが見たい。ただそれだけだ。性的にとろけさせるのが楽しいのだ。悪いか?
はっきり言えば神殿にいる今だって思っている。俺の頭の中では昨晩のとろけたルーディアが自動再生され続け、かわいいおしりを俺に向けている。
本当に神がいるのなら俺は今すぐ雷にでも打たれて死ぬはずだと思うほどに不敬だ。自分の神殿内で神事を捧げる人間を脳内で犯し続ける人間がいれば異国人だからといって見逃してくれるような神はいないと思う。
だがそれもこれもルーディアの美しさのせいだ。もちろん衣装も美しいがそれをまとうルーディアの美しさは神がかっている。そして美しいものを見たらつい汚してしまいたくなるのが人の性というものだ。
だから俺は彼が衣装を着ている儀式の前後にはルーディアの側には近づかないことにしている。だが儀式の衣装を着る前と脱いだ後はその限りではない。これは俺の最大限の努力であり譲歩なのだがどうやらカリンには伝わっていないらしい。
儀式の日のカリンは関係のないものが怯えるほどに殺気立っている。今朝もそうだった。俺はその殺気にもなれたものなので動じなかったが。
まぁ…実際のところルーディアへの忠誠心が暴走して本当にあれをちょん切られそうで怖いと思うこともある。なので衣装を着る前に思う存分汚させてもらっているのだが…
…ぞくり
神殿の外にいるはずのカリンの殺気を感じた気がして俺は一つ身震いをし、改めて祭壇に目を向けた。
大仰な衣装を身にまとったルーディアは本当に女神のようで、そんなルーディアを美しいと思うのは俺だけではない。神殿で神事に携わる皆が祭壇前に並んだ王族の中でも一際美しい次期女王を見つめていた。皆真面目そうな顔で祭壇に向いているが心の中では何を思っているのかわかったものではない。
筆頭は俺だ。間違いない。
だが他の男の脳内でどんなに汚されても俺がルーディアを守ることは出来ない。
(だから後でお清めしよう)
また一つルーディアに触れる理由ができた俺は真面目な顔をして祭壇を見つめた。
優しげに軽く結ばれた口元。伏し目がちのまま神事を進めるルーディア。俺はそんな彼を少し離れた列から他の貴族とともに見つめる。
儀式の最後に他の王族とともに神の像に向かい頭を垂れて感謝を捧げる小さな姿。
だがその姿はいつもより儚く寂しげに見えて俺の心に不安の波をざわりと立てた。
(ルーディアを幸せに出来ますように)
俺は信じてもいない神に向かって皆と一緒に頭を垂れた。
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