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3 こんな可愛い毛玉みたことない
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夜中なにかが僕の頬に触れた気がして目が覚めた。
ハァハァハァハァ
暗闇の中あらい息づかいが響く。
恐怖ですぐに動けない。でも僕の部屋の外には見張りがいるはず。叫べば誰かが来てくれるはずだ。そう考えた僕は勇気を振り絞って枕元の明かりに手を伸ばした。
「誰?」
煌々とした明かりが自分の目もくらませる。
「キャウン!」
真っ白になった視界が戻って来る前に獣の声が耳に入った。
「え?」
「キャウキャウキャウキャウ!!」
僕の目の前にはモフモフとした毛玉がいた。くりくりとした目で僕を見てしっぽを振り大興奮している。
「うわ!」
胸の上に飛び乗られ押し倒された。
ペトペトとした舌が僕の顔を舐め回す。あっという間に僕の顔が犬の唾液でベタベタになった。
「失礼いたします」
「姫様!!」
カリンと警護の騎士が寝室へと入ってきた。
騎士は大興奮で僕の顔をなめまくる犬を引き剥がしてくれた。
カリンは「まぁ大変」と言いながらもその犬の可愛さに相好を崩した。
「お前どこから来たの?くりくりのお目々しちゃって、こんなにかわいい子みたことないですぅ。あれ?お前、目の色が」
そういってカリンが騎士から犬を引き取ろうとした瞬間、するりとカリンの手を抜けてその毛玉がまた僕のベッドに飛び乗ってきた。
クゥンクゥンと甘えた声を上げるモフモフの毛玉。
「お前、姫様に」
カリンが手を伸ばすと毛玉はさっと身を翻しその手が届かない場所へと移る。
「こっちにおいで、犬は姫様と一緒にいれないよ」
その言葉に毛玉は「ワフワフワフッ」と抗議の声をあげた、気がした。
「文句言ってもだめ。早くおいで。ダンさんも手伝って」
「あぁわかった。さぁこっちにおいで」
二人がかりで捕まえようとすると毛玉は毛布の隙間からベッドの中に潜り込んできた。
僕のお腹の上に乗ってちょこんと頭を僕の胸の上に乗せてくりくりとした若草色の目で僕を見る。ふんわりと柑橘系の香りが毛玉から漂った。
(この香りって…)
「クゥゥゥゥーン」
ひときわ甘えた声で鳴きつかれ僕は白旗をあげた。
(こんな可愛い毛玉みたことない)
「いいよ、カリン。今日は私が面倒を見るよ」
「だって姫様この子どこの子かもわからないのに。汚れてるかもしれませんし…」
カリンは渋った。けどカリンの瞳の輝き具合から見てもこの子を拒否できないのは見て取れた。
「ううん、この子なんだかいいにおいするんだよ。石鹸かな?香水?ロー…きっと誰かに飼われてるんだ」
僕はローウェルの名前を出しかけてやめた。この毛玉からはたしかにローウェルのつけている香りがしていたけれど振られたばかりの婚約者の名前を言うのは気まずかった。
念のために騎士は部屋の確認をしてくれた。けれど他に侵入者の形跡はなく、結局この犬がどこから入ってきたのかわからないまま扉の外の警備に戻っていった。カリンも隣室に控えておりますのでと下がっていき、部屋には毛玉としか言いようのないこのまるまるふわふわとした小型犬と僕だけになった。
くんくんとしきりに鼻をならす毛玉は僕の顔をじっと見ては時折ワフッとなにかを訴える。
よくわからないなりに頭を撫でてやると気持ちよさそうにその若草色の目を細める。
その姿がかわいくて僕は胸の上に抱き込んで毛玉の香りを吸い込んだ。
「お前はローウェルと同じ香りをしているって知ってるか?」
毛玉はローウェルの名前にピクリと反応した。
「やっぱり。お前ローウェルのこと知ってるな?お前のご主人さまか?」
毛玉はワフワフと返事をする。どうやら肯定しているようなのでこの毛玉はローウェルの飼い犬ということでいいのだろう。
「そういえばローウェルの国は犬の神様の守護があるというものな。お前もかわいがられているんだろうな。ローウェルと同じ瞳の色だし。いいな、お前は。優しいご主人さまだろう?ローウェルは。そうか、ひょっとしたら僕もお前のご主人になっていたのかもしれないんだな…残念だな。お前はこんなにかわいいのに、もう会えなくなるな。ローウェルはこの国からいなくなってしまうし。お前が残れるように頼んでみようかな?だめか?そうか、ローウェルはお前のご主人だものな。会えなくなると寂しいものな…」
毛玉のくりくりとした目が僕を見つめる。きれいな新緑の色。あいつと同じ目。
「僕も寂しいな…」
キューンキューンと鳴く毛玉が僕の頬をペロペロと舐める。どうやら僕は泣いていたらしい。
「ありがとう、お前は優しい子だな」
フンフンと鼻を鳴らす様子が可愛らしくて抱きしめて背中を撫でる。フワフワの毛皮の下にある背骨ぞいにマッサージをしてやると気持ちよさそうにクゥンと鳴いた。
「僕はお前のご主人の婚約者だったんだ。男同士だから普通の夫婦とは違うけどずっと一緒にいれたらいいなって思ってたんだ。でも、そんなことになったらローウェルは幸せになれないだろ。子供だって作れないし、閨だって…我慢させてしまう」
ワフワフと何かいいたげな毛玉を抱き込んで更にひとりごちる。
「今日さ、真の姿をさらけ出すって薬使ってローウェルの本音を聞いたんだ。僕と結婚してローウェルは幸せになれるかって。あいつすごい怖がってた。逃げてった。やっぱりただの政略結婚だった。好きなのは僕だけだった。僕の国が大きいから断れなくて差し出された生贄だったんだ。あいつに悪いことした。国のために遠くからきて、家族から離れて寂しかっただろうな。もっと早くに気づいてやればよかった。あいつは立派な王族なのに僕が寂しいからって、一緒にいてほしいからって長引かせちゃった。ごめんね。僕がちゃんとした王族だったらよかったのに。ローウェル。ごめんね。ごめんなさい。僕が女の子じゃなかったから。ごめんね。ごめんね」
ワフワフッと何度も毛玉が僕の言葉を遮るように吠える。でも僕が泣きながら謝り続けるから吠えるのを中断して何度もペロペロと頬をなめてくれた。
柔らかくてふわふわでローウェルの匂いのする温かい毛玉。
「お前は僕の代わりにローウェルの側にいて沢山笑って過ごせるように、幸せにしてやってくれ。僕はもう会えないから、ローウェルに僕の代わりに沢山の好きを伝えてやってくれ、大好きだって。沢山大好きだって」
まるで酔っ払ってるみたいに何度も同じことをいう僕は犬に迷惑をかける人間というよくわからないものになりはてて寝てしまった。
毛玉のフワフワとした毛皮がいつの間にか僕の鼻をくすぐらなくなってたのには気づかなかった。
ハァハァハァハァ
暗闇の中あらい息づかいが響く。
恐怖ですぐに動けない。でも僕の部屋の外には見張りがいるはず。叫べば誰かが来てくれるはずだ。そう考えた僕は勇気を振り絞って枕元の明かりに手を伸ばした。
「誰?」
煌々とした明かりが自分の目もくらませる。
「キャウン!」
真っ白になった視界が戻って来る前に獣の声が耳に入った。
「え?」
「キャウキャウキャウキャウ!!」
僕の目の前にはモフモフとした毛玉がいた。くりくりとした目で僕を見てしっぽを振り大興奮している。
「うわ!」
胸の上に飛び乗られ押し倒された。
ペトペトとした舌が僕の顔を舐め回す。あっという間に僕の顔が犬の唾液でベタベタになった。
「失礼いたします」
「姫様!!」
カリンと警護の騎士が寝室へと入ってきた。
騎士は大興奮で僕の顔をなめまくる犬を引き剥がしてくれた。
カリンは「まぁ大変」と言いながらもその犬の可愛さに相好を崩した。
「お前どこから来たの?くりくりのお目々しちゃって、こんなにかわいい子みたことないですぅ。あれ?お前、目の色が」
そういってカリンが騎士から犬を引き取ろうとした瞬間、するりとカリンの手を抜けてその毛玉がまた僕のベッドに飛び乗ってきた。
クゥンクゥンと甘えた声を上げるモフモフの毛玉。
「お前、姫様に」
カリンが手を伸ばすと毛玉はさっと身を翻しその手が届かない場所へと移る。
「こっちにおいで、犬は姫様と一緒にいれないよ」
その言葉に毛玉は「ワフワフワフッ」と抗議の声をあげた、気がした。
「文句言ってもだめ。早くおいで。ダンさんも手伝って」
「あぁわかった。さぁこっちにおいで」
二人がかりで捕まえようとすると毛玉は毛布の隙間からベッドの中に潜り込んできた。
僕のお腹の上に乗ってちょこんと頭を僕の胸の上に乗せてくりくりとした若草色の目で僕を見る。ふんわりと柑橘系の香りが毛玉から漂った。
(この香りって…)
「クゥゥゥゥーン」
ひときわ甘えた声で鳴きつかれ僕は白旗をあげた。
(こんな可愛い毛玉みたことない)
「いいよ、カリン。今日は私が面倒を見るよ」
「だって姫様この子どこの子かもわからないのに。汚れてるかもしれませんし…」
カリンは渋った。けどカリンの瞳の輝き具合から見てもこの子を拒否できないのは見て取れた。
「ううん、この子なんだかいいにおいするんだよ。石鹸かな?香水?ロー…きっと誰かに飼われてるんだ」
僕はローウェルの名前を出しかけてやめた。この毛玉からはたしかにローウェルのつけている香りがしていたけれど振られたばかりの婚約者の名前を言うのは気まずかった。
念のために騎士は部屋の確認をしてくれた。けれど他に侵入者の形跡はなく、結局この犬がどこから入ってきたのかわからないまま扉の外の警備に戻っていった。カリンも隣室に控えておりますのでと下がっていき、部屋には毛玉としか言いようのないこのまるまるふわふわとした小型犬と僕だけになった。
くんくんとしきりに鼻をならす毛玉は僕の顔をじっと見ては時折ワフッとなにかを訴える。
よくわからないなりに頭を撫でてやると気持ちよさそうにその若草色の目を細める。
その姿がかわいくて僕は胸の上に抱き込んで毛玉の香りを吸い込んだ。
「お前はローウェルと同じ香りをしているって知ってるか?」
毛玉はローウェルの名前にピクリと反応した。
「やっぱり。お前ローウェルのこと知ってるな?お前のご主人さまか?」
毛玉はワフワフと返事をする。どうやら肯定しているようなのでこの毛玉はローウェルの飼い犬ということでいいのだろう。
「そういえばローウェルの国は犬の神様の守護があるというものな。お前もかわいがられているんだろうな。ローウェルと同じ瞳の色だし。いいな、お前は。優しいご主人さまだろう?ローウェルは。そうか、ひょっとしたら僕もお前のご主人になっていたのかもしれないんだな…残念だな。お前はこんなにかわいいのに、もう会えなくなるな。ローウェルはこの国からいなくなってしまうし。お前が残れるように頼んでみようかな?だめか?そうか、ローウェルはお前のご主人だものな。会えなくなると寂しいものな…」
毛玉のくりくりとした目が僕を見つめる。きれいな新緑の色。あいつと同じ目。
「僕も寂しいな…」
キューンキューンと鳴く毛玉が僕の頬をペロペロと舐める。どうやら僕は泣いていたらしい。
「ありがとう、お前は優しい子だな」
フンフンと鼻を鳴らす様子が可愛らしくて抱きしめて背中を撫でる。フワフワの毛皮の下にある背骨ぞいにマッサージをしてやると気持ちよさそうにクゥンと鳴いた。
「僕はお前のご主人の婚約者だったんだ。男同士だから普通の夫婦とは違うけどずっと一緒にいれたらいいなって思ってたんだ。でも、そんなことになったらローウェルは幸せになれないだろ。子供だって作れないし、閨だって…我慢させてしまう」
ワフワフと何かいいたげな毛玉を抱き込んで更にひとりごちる。
「今日さ、真の姿をさらけ出すって薬使ってローウェルの本音を聞いたんだ。僕と結婚してローウェルは幸せになれるかって。あいつすごい怖がってた。逃げてった。やっぱりただの政略結婚だった。好きなのは僕だけだった。僕の国が大きいから断れなくて差し出された生贄だったんだ。あいつに悪いことした。国のために遠くからきて、家族から離れて寂しかっただろうな。もっと早くに気づいてやればよかった。あいつは立派な王族なのに僕が寂しいからって、一緒にいてほしいからって長引かせちゃった。ごめんね。僕がちゃんとした王族だったらよかったのに。ローウェル。ごめんね。ごめんなさい。僕が女の子じゃなかったから。ごめんね。ごめんね」
ワフワフッと何度も毛玉が僕の言葉を遮るように吠える。でも僕が泣きながら謝り続けるから吠えるのを中断して何度もペロペロと頬をなめてくれた。
柔らかくてふわふわでローウェルの匂いのする温かい毛玉。
「お前は僕の代わりにローウェルの側にいて沢山笑って過ごせるように、幸せにしてやってくれ。僕はもう会えないから、ローウェルに僕の代わりに沢山の好きを伝えてやってくれ、大好きだって。沢山大好きだって」
まるで酔っ払ってるみたいに何度も同じことをいう僕は犬に迷惑をかける人間というよくわからないものになりはてて寝てしまった。
毛玉のフワフワとした毛皮がいつの間にか僕の鼻をくすぐらなくなってたのには気づかなかった。
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