16 / 19
16 お姫様と騎士
しおりを挟む
さくさくざくざくざっくざっくに切り裂かれていた僕ですが、じゃーんなんと翌日から学園に復帰してただいま授業を受けてます。
とはいってもやっぱり体力が万全に戻ったわけではないので本当は寝てないとダメなんだけどね。治癒魔法で組織とかは繋ぎ合わせられるんだけど体液とかはすぐにもと通りになる訳じゃない。それでも僕はスッゴク治りが早いって。ミカ曰くそういう体質なんだって。なんだかラッキーだよね。へへ。
まぁ授業は受けなくてもいいんだけどね。先生たちもそういったし。でも、いやーうん、そうなの、一人でいるのが怖いんだよね。僕を襲ったあの子、マリアって言うんだけどね、見つかってないんだよね。つまりまた僕が襲われる可能性があるんだよ。一人で部屋で寝てるときに襲われたら今度こそ僕死んじゃうよ。
だから護衛付きで授業に出ることが許されたんだ。襲うなら人気のない時だろうってことで。
モブな僕には必要ないっていったんだけど、アーノルト様にもサイラー様にも絶対ダメだって怒られちゃった。お見舞いに来たはずのお二人が涙目になりながら僕のことを両側からギュギュってしてくるから僕目が回りそうになったよ。ミカが追い払ってくれたけどね。
そして護衛をかって出てくれたのがエリカ様。突き落としたお詫びも兼ねてるからって快く申し出てくれた。二つ年上とはいえ女の子に守ってもらうってどうなのかちょっと自尊心が傷ついたけどもまぁ僕は年下のピンク頭さんにぎったんぎったんにやられたばっかりなのでね。はい、黙ります。
今歴史の時間なんだけど、もうすぐお昼ご飯だし集中できないなぁ。はぁぁーなんだかふわふわする。身体中があったかくって前世の炬燵で眠りに落ちる前みたい。欠伸が出ちゃうよ。ふぁぁ。お昼休みになったら医務室で寝させてもらおうかなぁ。うつらうつらしかけた僕の横でエリカ様ががたりと立ち上がった。
「フィリップ君、体がきついかもしれないが立て。すぐに逃げなくては」
「へ?」
「なにか大きなものが来る!男子は女子を守りながら移動!距離を取れ!!」
どぉん。カタカタ。どおぉん。びりびり。遠くから連続して聞こえているものの正体が大きなものがこちらにむかって移動している地響きだと。重低音が教室のドアや窓ガラスを震わせる。
みんながエリカ様の声に慌てて教室を飛び出していく、治癒魔法をかけてもらったとはいえ僕はまだまだ素早く動けない。
(どうしよう!)
「さあ急いで」
エリカ様が僕の前で背中を見せてしゃがむ。
(これは、おんぶ?)
「急げ!」
ぴしゃりとしかられてぴゃっとエリカ様の背中に張り付きました。僕はセミだと念じながら。みんみん。
※※※
エリカ様に運んでもらって外に出ると僕らは大きな何かがなんなのか目にすることになった。
緑のおどろおどろしい茂みが地面にその巨大な触手を突き立てるようにしては全体を持ち上げのたうち進んでくる。
「植物?」
「いや、魔物だろうあれを見ろ」
「ピンクの花?いや、人の頭?え?」
いやだいやだいやだ認めたくない。僕はエリカ様の背中に顔を隠した。緑の上に見えたのはピンク頭のあの子血走った赤い目をして周囲をぐるりぐるりと見回していた。
「マリアだろうな、人外になったようだが」
「人違いとか?ないでしょうか?やっぱり僕を狙ってるんですよね、きっと」
「いや、あれは……アーノルト様を探しているな」
『あーのぉーるとぉー』
!!
ほんとだ、すごくゆっくりだけどアーノルト様を呼んでいる。あんな姿になってもランチタイムに出会えば恋が始まるって思ってるんだろうか?女の情念ってやつ?こわいよねぇ。
『おーまーえ』
!!!!!!!
「見つかったようだな。ひとまず逃げる」
エリカ様が走り出す、ぐんぐんとピンク頭から距離をとり建物の影に隠れようとしたその時ぱしゅんとなにかが弾ける音がしてすぐそばの建物に緑のネバネバが張り付いた。
「とりもちの要領だな。フィリップ君触るなよ」
「頼まれても触りません!」
やだやだやだよ。ベタベタしてるのがどろりと壁をつたっって地面に落ちる。地面のなかが小さくぼこりと動いてじゅわじゅわいってるんだけど小さな生き物が地面のなかで溶けてるよね。たぶん。
「さて有機物をとかすらしいと私は見当をつけたわけだがフィリップ君」
「はい」
「不謹慎だが私は今高揚している。魔物を相手に姫を守る騎士になれる。これぞショッツマーテル家本来の役目。ここにて私を待っていてください。すぐに倒して参ります」
そういうとエリカ様は僕をマリアの目の届かないところに下ろし騎士の礼をとった。高揚が彼女の瞳を煌めかせ女子なのにすごくかっこいい。ふだんからアーノルト様のきらきらを受けてる僕じゃなかったらきっと、はわわっていってた。
「では行って参ります。勝利をあなたに」
ちゅっと手の甲にキスをしてエリカ様は踵を返した。腰のサーベルを抜き放ちながら化け物になったマリアの方へ走っていく背中が騎士様だった。
「はわわ」
モブには刺激が強すぎなので、一はわわ出ました。
(姫様ポジションのモブ悪くない)
とはいってもやっぱり体力が万全に戻ったわけではないので本当は寝てないとダメなんだけどね。治癒魔法で組織とかは繋ぎ合わせられるんだけど体液とかはすぐにもと通りになる訳じゃない。それでも僕はスッゴク治りが早いって。ミカ曰くそういう体質なんだって。なんだかラッキーだよね。へへ。
まぁ授業は受けなくてもいいんだけどね。先生たちもそういったし。でも、いやーうん、そうなの、一人でいるのが怖いんだよね。僕を襲ったあの子、マリアって言うんだけどね、見つかってないんだよね。つまりまた僕が襲われる可能性があるんだよ。一人で部屋で寝てるときに襲われたら今度こそ僕死んじゃうよ。
だから護衛付きで授業に出ることが許されたんだ。襲うなら人気のない時だろうってことで。
モブな僕には必要ないっていったんだけど、アーノルト様にもサイラー様にも絶対ダメだって怒られちゃった。お見舞いに来たはずのお二人が涙目になりながら僕のことを両側からギュギュってしてくるから僕目が回りそうになったよ。ミカが追い払ってくれたけどね。
そして護衛をかって出てくれたのがエリカ様。突き落としたお詫びも兼ねてるからって快く申し出てくれた。二つ年上とはいえ女の子に守ってもらうってどうなのかちょっと自尊心が傷ついたけどもまぁ僕は年下のピンク頭さんにぎったんぎったんにやられたばっかりなのでね。はい、黙ります。
今歴史の時間なんだけど、もうすぐお昼ご飯だし集中できないなぁ。はぁぁーなんだかふわふわする。身体中があったかくって前世の炬燵で眠りに落ちる前みたい。欠伸が出ちゃうよ。ふぁぁ。お昼休みになったら医務室で寝させてもらおうかなぁ。うつらうつらしかけた僕の横でエリカ様ががたりと立ち上がった。
「フィリップ君、体がきついかもしれないが立て。すぐに逃げなくては」
「へ?」
「なにか大きなものが来る!男子は女子を守りながら移動!距離を取れ!!」
どぉん。カタカタ。どおぉん。びりびり。遠くから連続して聞こえているものの正体が大きなものがこちらにむかって移動している地響きだと。重低音が教室のドアや窓ガラスを震わせる。
みんながエリカ様の声に慌てて教室を飛び出していく、治癒魔法をかけてもらったとはいえ僕はまだまだ素早く動けない。
(どうしよう!)
「さあ急いで」
エリカ様が僕の前で背中を見せてしゃがむ。
(これは、おんぶ?)
「急げ!」
ぴしゃりとしかられてぴゃっとエリカ様の背中に張り付きました。僕はセミだと念じながら。みんみん。
※※※
エリカ様に運んでもらって外に出ると僕らは大きな何かがなんなのか目にすることになった。
緑のおどろおどろしい茂みが地面にその巨大な触手を突き立てるようにしては全体を持ち上げのたうち進んでくる。
「植物?」
「いや、魔物だろうあれを見ろ」
「ピンクの花?いや、人の頭?え?」
いやだいやだいやだ認めたくない。僕はエリカ様の背中に顔を隠した。緑の上に見えたのはピンク頭のあの子血走った赤い目をして周囲をぐるりぐるりと見回していた。
「マリアだろうな、人外になったようだが」
「人違いとか?ないでしょうか?やっぱり僕を狙ってるんですよね、きっと」
「いや、あれは……アーノルト様を探しているな」
『あーのぉーるとぉー』
!!
ほんとだ、すごくゆっくりだけどアーノルト様を呼んでいる。あんな姿になってもランチタイムに出会えば恋が始まるって思ってるんだろうか?女の情念ってやつ?こわいよねぇ。
『おーまーえ』
!!!!!!!
「見つかったようだな。ひとまず逃げる」
エリカ様が走り出す、ぐんぐんとピンク頭から距離をとり建物の影に隠れようとしたその時ぱしゅんとなにかが弾ける音がしてすぐそばの建物に緑のネバネバが張り付いた。
「とりもちの要領だな。フィリップ君触るなよ」
「頼まれても触りません!」
やだやだやだよ。ベタベタしてるのがどろりと壁をつたっって地面に落ちる。地面のなかが小さくぼこりと動いてじゅわじゅわいってるんだけど小さな生き物が地面のなかで溶けてるよね。たぶん。
「さて有機物をとかすらしいと私は見当をつけたわけだがフィリップ君」
「はい」
「不謹慎だが私は今高揚している。魔物を相手に姫を守る騎士になれる。これぞショッツマーテル家本来の役目。ここにて私を待っていてください。すぐに倒して参ります」
そういうとエリカ様は僕をマリアの目の届かないところに下ろし騎士の礼をとった。高揚が彼女の瞳を煌めかせ女子なのにすごくかっこいい。ふだんからアーノルト様のきらきらを受けてる僕じゃなかったらきっと、はわわっていってた。
「では行って参ります。勝利をあなたに」
ちゅっと手の甲にキスをしてエリカ様は踵を返した。腰のサーベルを抜き放ちながら化け物になったマリアの方へ走っていく背中が騎士様だった。
「はわわ」
モブには刺激が強すぎなので、一はわわ出ました。
(姫様ポジションのモブ悪くない)
1,140
あなたにおすすめの小説
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる
kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。
かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。
そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。
「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」
おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)
【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。
時々雨
BL
前世好きだったBL小説に流行りの悪役令息に転生した腐男子。今世、ルアネが周りの人間から好意を向けられて、僕は生で殿下とヒロインちゃん(男)のイチャイチャを見たいだけなのにどうしてこうなった!?
※表紙のイラストはたかだ。様
※エブリスタ、pixivにも掲載してます
◆この話のスピンオフ、兄達の話「偏屈な幼馴染み第二王子の愛が重すぎる!」もあります。そちらも気になったら覗いてみてください。
◆2部は色々落ち着いたら…書くと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる