45 / 45
を(お)まけの話が始まります
しおりを挟む※を(お)まけの話はBL小説大賞というお祭りを読者様により楽しんでいただけたらという思いから、他の拙作とコラボしています。
そのためBL小説大賞終了後は削除させていただく可能性が高いです。
大変申し訳ございませんが、前触れなく削除の可能性があること予めお含みおきくださいませ。
でも話が中途半端な所で消す事はしませんので、その点はご安心ください。亀更新なのはごめんなさい……
ちなみにコラボキャラとのBL展開はありません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日は城内が全体的にソワソワしている感じがする。
特にクラウド様とレイン様は忙しそうだ。
「今度フレイツファルジュ王国からお客様がいらっしゃることになったの。警備を万全にして迎えなければならないから、ふたりはしばらく忙しいでしょうね」
ミチェーリ様のお世話をしている時に、ネージュ様が教えてくれた。
「フレイツファルジュ王国……ですか」
国名を聞いてもピンとこなかった。
この国には接していないし、交流があるとも聞いたことがない。
「そう、王太子殿下と妃殿下がいらっしゃるのよ。おふたりとも私と年が近いみたいだから、お会いできるのが楽しみだわ」
「そのご様子だと会うのは初めてで、今までにお付き合いがあったわけではなさそうですね」
なぜ突然、フレイツファルジュ王国の王太子ご夫妻がこの国を訪問する事になったのだろう……。
僕の疑問が顔に出ていたのかもしれない。
ネージュ様がその疑問に答えてくれた。
「私が生まれ育った国がグロウドリックという国と交流があって王家とも縁があるのだけれど、最近そのグロウドリック王国が隣国のフレイツファルジュ王国と親密な関係にあるみたいでね」
「友達の友達の友達……みたいな感じですね」
ふふ、と可憐にネージュ様が笑った。
「そうね、そのご縁でグロウドリック王国の王弟殿下が、間をとりもってくださったの」
フレイツファルジュ王国の話をしている時のネージュ様はすごく楽しそう。
隣国からこの国に嫁いできたネージュ様は、周りに知り合いが多いわけじゃない。
フレイツファルジュ王国の王太子ご夫妻が、特に王太子妃殿下がいい人でネージュ様と仲良くなってくれるといいなぁ。
クラウド様とレイン様は、ネージュ様がおっしゃった通り多忙な日々を過ごすようになった。
夜、寝室で一緒に寝る時も、クラウド様は僕の頭を優しく撫でて、レイン様は僕をぎゅッと抱きしめて寝るくらいでそれ以上の愛撫は無い。
正直、少し寂しい。
でもクラウド様とレイン様が大変な時期だから、寂しくて物足りないのは我慢しないと。
クラウド様とレイン様のようには無理でも、僕がこの国のためにできる事はないだろうか。
僕はネージュ様の許可をもらって、休みの日は自分の出身の所に限らず孤児院を訪問しその環境改善に取り組んだ。
そんな風に毎日が過ぎ、とうとうその日がやってきた。
クラウド様とレイン様が準備に万全を期したおかげだろう。
滞りなく無事にフレイツファルジュ王国ご一行を迎えることができた。
そして今、僕は心臓が壊れそうなくらいバクバクしている。
恐れ多い事に、ご一行をもてなす茶会の席にミチェーリ様のお世話係として同席することになったから。
金髪碧眼の王太子ラッドレン殿下は王族特有のオーラがあり、甘く微笑んだその表情は言葉では言い尽くせないほど美しい。
隣に座る亜麻色の髪と瞳のミーネ妃殿下も、とても可愛らしくて魅力のある方だ。
それに……
ラッドレン殿下とは違うタイプの美しさだけれど。
名前を紹介されていた宰相と護衛騎士の男性も、かなり眉目秀麗だ。
ふたりとも、クラウド様とレイン様より若そう。
もしかして二十歳の僕と同い年くらいかな。
宰相の……確かタジェロン様とおっしゃった方は、クラウド様と同じ銀色の髪がよく似合っている。
ただクラウド様よりも少し冷たそうな印象を受けるのは、タジェロン様が銀縁の眼鏡をかけていて切れ長の目のせいだろうか。
だけど会話の合い間に時々見せる、ふ、と微笑む笑顔はなんとも優しい。ずっと笑っていればいいのに。
護衛騎士の男性は、燃え盛る炎のような赤い髪。
背が高い、けど、レイン様の方がもう少し高いかな。
精悍な顔つきだ、王太子殿下の護衛をしているくらいだからきっとすごく強いんだろうなぁ。
名前は、ネイ……あれ、なんだっけ。
直接話をする機会は無いと思うけど、万が一にも失礼の無いように後で誰かに確認しておいた方がいいかも。
ラッドレン殿下にはミーネ妃殿下がいらっしゃるからもちろん結婚しているけれど。
タジェロン様と護衛騎士の男性はどうなんだろう、結婚してるのかな。
結婚はしていなくても、おそらく恋人はいるだろう。かなりモテそうだもの。
ぁ、でも、モテるからあえて恋人を作らないっていうケースもあるか……。
ん……待てよ……もしかしたらネージュ様が好きな物語のように、宰相と護衛騎士の男性が恋仲という可能性もあるかもしれない。
そうだったらネージュ様、目をキラキラさせて喜ぶだろうな……。
こんな事を考えながらフレイツファルジュ王国の人たちをポーッと眺めていたから僕は気付かなかったんだ。
その時クラウド様とレイン様が、心配そうな視線で僕を見つめていたことに。
53
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(13件)
あなたにおすすめの小説
俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜
小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」
魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で―――
義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!
夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。 ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
人気俳優に拾われてペットにされた件
米山のら
BL
地味で平凡な社畜、オレ――三池豆太郎。
そんなオレを拾ったのは、超絶人気俳優・白瀬洸だった。
「ミケ」って呼ばれて、なぜか猫扱いされて、執着されて。
「ミケにはそろそろ“躾”が必要かな」――洸の優しい笑顔の裏には、底なしの狂気が潜んでいた。
これは、オレが洸の変態的な愛情と執着に、容赦なく絡め取られて、逃げ道を失っていく話。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ヒューイちゃんだったのね。(´•ω•̥`)
勘違いだけど、絆が深まったね。
(*´σω・、)ホロリ
ぱら様
いつも感想をくださり、本当にありがとうございます!
勘違いだったけど絆は深まりました☆彡
次回は、ざまぁ要素ありの展開になる予定です♪
本日、最新話を拝読しました。
え……!?
う、うそ、ですよね……!?
エントリー、おめでとうございます……!
少し遅くなってしまいましたが、本日投票させていただきました。もちろん、お知り合いだからではなく、内容が好きだからです……!
柚木ゆず様
ふゎぁあああッ、拙作のために貴重な一票を使ってくださり本当にありがとうございます!!
すごく励みになりました♪
こちらの話も読んでもらえて、しかも感想までいただけて感謝の気持ちでいっぱいです♪♪
嘘ですよね?!。゚(•ㅁ•`;;≡;;´•ㅁ•)゚。
ぱら様
今回も感想をくださり本当にありがとうございます!
嘘ですよね、な展開で申し訳ありませんっっ
なるべく早く次話を更新できるようにがんばります、読んでいただけると嬉しいです☆彡