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イジワルな怜も好き

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 幼馴染で五歳年上の八雲怜と付き合い始めたのは、僕が十七歳の時から。
 怜が大学を卒業する日、お祝いにネクタイを渡しながらダメもとで告白したらまさかの両想い。

 そして初めて怜と身体の関係を持ったのは、僕が短大に入学した日。
 入学祝いに、と怜が予約してくれた高級ホテルのスイートルームで優しくシャツを脱がされた。
 
 ゆっくりとベッドへ押し倒されて。
 緊張して、怖くて、震えてしまったけれど――

「ゆうひ……」
「ふぇッ」

 名前を呼ばれ、極度の緊張からマヌケな声で返事をしてしまった僕に、怜が触れるだけのキスをした。
 僕の耳の横に肘をついているから、唇が離れてもお互いの顔が、近い――

 怜の顔は人と会うと必ず褒められるくらい整っている。
 所謂イケメンだ。
 小さな頃からずっとそばにいるけど、僕はいつまでたってもドキドキしてしまって慣れない。

「優陽、ゆっくり、ゆっくりするから」
「ん……」

 ちゅ、ちゅ、と僕の首に、鎖骨に、怜のキスが落とされる。

 柔らかいベッドの上で横になっている僕は、何も身につけていない。
 こんな風に身体へキスをされるなら、怜に見られる前にもっと鍛えて筋肉をつけておけばよかった。

 僕に覆い被さるような体勢の怜も、裸。
 程よく鍛えられているから、僕と違い腕の筋肉も逞しくて思わず見惚れてしまう。

 怜が会員になっているジムへ、一緒に通ってみようかな。
 ぁ、でも無理だ。怜が会員になる所じゃ絶対に高くて僕には通えないや。

 そんな事を考えていたら怜の舌が僕の乳首に触れ、ピクッと腰が跳ねてしまった。
 ふ、と小さく笑う怜の息が、唾液で濡れた乳首にあたってくすぐったい。

「敏感だな、優陽……反応が可愛い」
「ぇ、かわ……!?」
「ここを触ったら、どうなるのか見たい」

 怜の手が、スルリと僕の股間へ触れる。
 今まで怜に裸を見せた事なんて無い。
 そんな所を触られるのも、もちろん初めて。

 緩く勃ち上がっていた僕の陰茎が、大きな手に包まれグンッと滾る。
 そのまま怜の手で、絶妙な力加減で擦られて。

 乳首を刺激された時と比べ物にならないくらいの快感が身体を駆け抜けた。

「ふ、ぁッ……ァ、ンァ……ッ」
「腰が揺れてる、気持ちいいのかな、優陽?」

 怜の手にアソコを擦りつける感じでヘコヘコ腰が動いちゃうっっ。
 止まらない、なんだか変、恥ずかしいよ……

「ぃゃ、らぁ……れぃ、みちゃ、やら……」
「ダメだよ、もっと見せて」
「いじ……わるぅ……だ……ぁッ……ん……」
「優陽だけにね。可愛いから、つい苛めたくなる」

 他の人はきっと、優しい怜しか知らない。
 人前ではいつも穏やかな笑みを絶やさない怜。
 時々イジワルな表情を見せるのは、僕の前だけだと思う。
 どっちの怜も、好き、大好き。

「優陽、指、入れるけど……、つらかったり痛かったりしたら、すぐに教えて」
「ん……く、ぅ……ゥ……」

 ヌグゥ……とお尻の穴が広げられて何か……おそらく怜の指が、入れられて。
 ローションをつけてくれているのか痛みは無いけど異物感が、凄い。

 歯を食いしばっている僕に、怜が優しく口付けた。

 怜のキス、好き。
 角度を変えて何度もされているうちに、いつも幸せな気持ちで満たされ脳がふわふわしてくる。

 力が抜けて口を開けたら、ヌルリと熱い感触に舌を絡められて。
 蕩けるような快感で上書きされ、お尻の不快感はいつの間にか消えていた。

 怜の唇が離れていっても、お尻の穴に入れられた指の感覚が、嫌じゃない。
 ナカで指を動かされると、むしろ気持ちいい感じすらしてきた。

 指が抜かれた瞬間は、何とも言えない喪失感を覚えてしまうくらい。
 
「挿れるよ」

 怜の言葉が、堪らなく嬉しい。
 だけど怜のソレは、端整な顔に似合わず凶暴なくらい大きくて。

「ンぐ、ゥ……くる、し……」
「優陽、気持ち良くなれるように前を扱くから、そっちに集中できる?」

 お尻の痛みで萎えかけていた僕の陰茎が、怜に握られググッと力を取り戻す。
 僕のアソコを握ったまま、怜の手が上下に動いた。
 怜は手を動かしながら先走りで濡れた僕の先端を指でヌルヌル撫でて刺激してくる。

「ァ……ぉ、ちんち、きもちぃ……っ」
「ん、可愛いね優陽、もっと気持ちよくしてあげたい」

 怜……優しい……。

 ――だけど優しい怜の凶暴なアレに、グリッ、とお尻のナカを抉られて。
 突き抜けるような快感に驚きビクッと身体が大きく跳ねた。

「フぁァッ!?」
「ここだな?」
「っ、ァ……ャ、ィャ、ァァ……ッ」
「本当に嫌か、優陽? 凄く気持ちよさそうだけど、やめる?」

 僕が嫌じゃないって、分かっている声だった。

 その後の怜は、とてもイジワルで。

 突かれると僕が喘ぎ声をあげてしまう奥を、何度もガツガツ穿ってくる。

 何度もイって、もう前から何も出なくなっても快楽を与え続けられて。
 本当に、気持ち良過ぎておかしくなってしまうかと思った。



 いつの間に眠ってしまったのだろう。
 朝、目が覚めると、隣で横になっている怜と目が合った。

 昨日僕は、怜と……。

 思い出して心の中で悶えてしまう。
 そんな僕を見て怜は柔らかく微笑むと、僕の方へ腕を伸ばして頭を撫でてくれた。

 幸せ……。

 昨日の少しイジワルな怜も好きだし、今朝みたいに甘やかしてくれる怜も、好き。

 大好きな怜と、ずっとずっと一緒に過ごせますように――



 そう思っていた、でも。



 この幸せな朝を迎えた十日後、僕は怜に別れを告げた。





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