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24 お気持ちお察しします

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 光の粒子の残る中、ルイスは口を開く。

「お兄ちゃん、これで大丈夫だよね?」

「ああ、見たところ呪詛も消えているし、これで大丈夫なはずだ。よくやったな」

 そういいながら頭をなでる

「えへへ、よかった。シスター子供達をお願いね」

 その言葉を言い切るとルイスが倒れてくる。

「おい、ルイス」

「ごめん、力入らない、おやすみ」

 そう言って完全に脱力したルイスが倒れないように支える。

「仕方ないか、よくがんばったな、おやすみ」

 抱きかかえて頭をなでると口元が緩んだ気がした。



 その後は子供達をベッドに運んでルイスも部屋に寝かせて一件落着、とはならなかった。

 教会での戦いは周辺に大きな音と強烈な光をもたらした。

 深夜のそれは周辺の住民をたたき起こし、不安に叩き落した結果警備隊に通報が入る。

 そうでなくともこの戦闘音はかなりの音量でそれこそ皇宮まで届いていてもおかしくない。

 結果深夜の教会の扉が叩かれる。

「警備隊だ!周辺住民から通報があった!話を聞かせてもらいたい!」

「はーい!少しお待ちください!」

 そうシスターが返してこちらを向く

「ロイド様、私が事情をお話してきます、ですのでルイス様をお部屋に」

 シスターがグッスリと幸せそうに寝息を立てるルイスに目を向けてそう言ってくれるが。

「いやーそれが、がっちり抱きついていてな、これ、外せそうにないんだよな」

 ルイスの抱きつく腕を見ながらそう返す。

「あら、それはそれは」

 コロコロと笑うシスターに困りながら頭を搔く。

「格好つかないけどここで座って一緒に事情を話すよ」

 溜息混じりに申し出る。

「わかりました、それでは開けて来ますね。」

 そうしてシスターが警備隊を引き入れて事情の説明が始まる。



 最終的にその夜にはもう眠る事は出来なかった。

 教会前の戦闘の跡を見た警備隊は何かあったら自分達では対処できないと応援を要請。

 シスターがすぐに扉を開けたことですぐに応援の要請は一時中止されたが、駆けつけた警備隊員では手に負えないと警備隊長が駆けつけて事情を聞くことになる。

 そしてその隊長を待っている間に今度は皇宮から戦闘を観測した騎士の一隊が駆けつけ、警備隊長と騎士を相手に事情を話すことになる。

 そうして事情を聞く以外の隊員は周りの警戒と報告を行い、報告を受けた警備隊と騎士により街は物々しい雰囲気に包まれ、捜索と巡回が行われる。

 もっとも、その夜はもう何も起こらなかったのだが、たたき起こされた者たちはたまったものではないだろう。

 子供達は要観察という事でベッドに戻せなかったので簡易の寝床を作ってそこに寝かせて騎士の一人が子供達を見る形になり、クウは俺の横で丸くなり、リンはそこに抱きついて眠っている。

 やっぱり子供にこの時間は辛いよな。

 そしてクウが寄り添う事でルイスに毛布がいらなくなったのだが、かなり凄い絵面になりながら俺は事情を説明していく。

 事情を聞く二人の隊長の頬が引きつっていたのだが、事情を話して謝るとなんとも言えない表情で同情された。

 なんというか、言葉にしづらいが、微妙に納得できないが、仕方ない、仕方ないよな?

「「お気持ちお察しします」」

 ってそんな同情されても困るんだけどな。

 曖昧な笑みでごまかすしか出来ないじゃないか。

 そんな事があったが、シスターのとりなしを受けつつ事情を説明した結果、日が明けたら皇宮に行く事になる。

 これは現場だけで判断する事が出来ない事柄であった為であり、こちらの立場を考えた結果であった。

 直接指揮を執る人間に話しをして欲しい、このときはそれだけの事であったが、あそこまで物事が進むとは。

 皇宮の傍の工房に行く予定があったから軽く了承したが、もうちょっと自由に動けるようにしておくべきだった。

 そしてその場で出来る事は終わったのだが、子供達は流石にそのままにしておくわけにはいかず、一度しっかりと検査をする為に皇宮の施設に預けられる事になる。

 子供が見知らぬ所に二人だけで行くと暴走するかもしれない、そういう懸念が出た為シスターが同行し、暫く滞在する事になる。

 後のことを引き継いで準備をバタバタとしているとその物音を聞きつけて子供達も起きてきてクウに抱きついて一騒動。

 わきゃわきゃと騒がしいだけの平和な騒動だったが、疲れていたのかルイスは起きず、クウも動かずリンはクウの首根っこのところに抱きつく位置を変えて最終的にクウにみんなが抱きついて眠るという状態になる。

 その時に寝てるルイスをみて

「せいじょさまだいじょーぶ?」

 と心配されたりので、

「疲れてるから寝かせてやってくれ」

 というと聞き分けよく返事してルイスの頭をなでて皆でクウに群がっていく。

 子供達に慕われてるんだなと思いながらそれを見ていると、シスターとその後を任された若いシスターがこちらを見ていたので、苦笑いしていると申し訳なさそうに頭を下げられたので手で返事をする、隊長たちはどうするの?これっていう笑いを浮かべていたが曖昧に笑って済ませておいた。

 そうしてシスターが子供達と一緒に教会を出たところで空が白み始める。

 精神的な疲れを感じながら目を閉じ、その騒動の序章は幕を下ろしたのだった。

 通いのシスターの驚いた声で目を覚ますまで数時間、疲れを癒せたかは微妙な寝床であった。
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