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第50話 神様、様子を見る。
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うぅ、まだ尻が痛いのじゃ……。
だけど、少しは痛みは引いてきたのじゃ……。あ、お尻に氷はいらないんじゃよ? ぷりちーなお尻が真っ赤になっているからといって、尻を突き上げて氷が入った氷嚢を乗せる姿は酷く滑稽になってしまうのじゃ。
可愛らしいワシには不要なものなんじゃよ。
……とりあえず、現状を確認するのじゃ。
ん、魔マ王が何時の間にか居ないがどうしたのかじゃと? あやつは、特定の人物の精神を招き入れる部屋を借りると言って潜り込んだのじゃ。
精神が完膚なきまでに粛清されるに違いないのじゃ……がくがくぶるぶる。
「まあ、誰が犠牲になるのかちょっと気になるのじゃ。じゃから見ることにするのじゃ」
そう言いながら、お尻に氷嚢は乗せないけれど、ソファーの上に尻を上に向けるように寝転がりながらワシは地上の様子を見始めることにしたのじゃ。
とりあえずは……ウィスドムから見ることにするのじゃ。
えーっと、ウィスドムは……城の中の小さい部屋の中で読書中じゃよな?
「……ああ、ここをこうして行けば、繋がる……か? いや、でも……」
真剣に魔術書を読んで、頭の中で考えを纏めておるようじゃな……。
どう見てもこれは、完全に自分の世界に没頭しておるのう。
じゃからか、部屋に近づくドタドタという足音にも気づいておらぬ。
というか、最終的に気づいたのはバンと力強く扉が開かれて、数名の騎士達が入ってからじゃろうな。
「失礼する! 勇者の従者がここにいると聞いたのだが!?」
「…………なるほど、参考になる。ここの文はこうすれば良いのだな……」
……あかん、気づいておらんのじゃ。
それどころか、本当に読むのに夢中のようじゃ……。
これは……騎士達はキレるのじゃなかろうか?
「…………隊長、どうしますか?」
「暫く、待ってみよう」
おお、大人なのじゃ! 隊長と騎士達は大人なのじゃ!!
じゃが……悲しいことに、ウィスドムはしばらく経っても読書を止めるどころか、騎士達にも気づいておらんようじゃった……。
「しかたない……、このまま連行させて貰おう」
「「了解しました」」
「これがこうで……、うん? 何か浮いているような……気のせいか」
諦めた隊長は部下の騎士達に頼むと、彼らは椅子を掴むと樽を担ぐようにウィスドムが乗った椅子を運び始めたのじゃった。
……色んな意味で悪目立ちしてしまうのう。
っとまあ、ウィスドムはこんな感じとして……ファンロン達はどうなっておるんじゃろうか?
そう思いつつ、ワシは視点を移動することにしたのじゃ。
●
「ふぅ~~、食べた食べたアル~~♪ 美味しかったアル~~!」
「うぅ、勤務中にも関わらず自分も食べてしまいました……」
少しばかり膨れ上がったお腹をポンポンと叩きながら歩くファンロン、その斜め後ろに落ち込みながら歩く騎士。
何と言うか印象がまったく違う2人じゃが、ファンロンのフードファイトに魅せられて騎士も食事をしてしまったようじゃな。
まあ、ラーメンは未知の分化じゃったろうし、美味しそうに食べてれば釣られて食べたくなるじゃろうな……。
そんな2人を見ておると、ようやく教会へと辿り着いたようじゃった。
じゃが、そこには勇者のゆのじも無かったのじゃ。
「ゆ、ゆうしゃがいないアル!?」
「し、しまった……! ほんの少しと思っていたのに、大分時間が経っていた!?」
ショックを受ける2人……いや、普通に2時間近く離れてたら、誰かに連れ去られるじゃろ?
ワシが呆れながら見ておると、ファンロンと騎士は教会の中に詰め寄り、ヨシュアが既に出て行ったことを知ると急いで周囲を調べ始めおった。
ファンロンは「ゆうしゃー、ゆうしゃー、どこアルかー!?」と大声を上げており、騎士は聞き込みをおこなっておるようじゃった。
……じゃが、教会の周囲に勇者はまったく見つかることは無かったのじゃ。
それもそうじゃろう、じゃってヨシュアは今城に戻って一室で眠っておるのじゃからのう。
「見つかりませんね……。こうなったら、城に戻って報告するしかありません……」
「うぅ、ゆうしゃー……、迷子になったら駄目アルよー」
まるで迷子に文句を言うようにファンロンは言っておるんじゃが……、ファンロンよ? 迷子なっとるのはお主じゃぞ?
少しばかり呆れながらその様子を見ておると、2人は城へと戻るために歩き出しておった。
しばらく歩き、2人が城門の前へと辿り着くと……騎士の同僚が数名ほど……いや、上司的な者達が立っておった。
……全員がしかめっ面をしてな…………。
「ただいま戻りました!」
「ただいまアル~」
「ご苦労、何か変わったことは?」
騎士の中から一番立場が上であろう騎士が前へと出、2人に尋ねる。
すると、ファンロンは首を傾げ……って勇者の存在どこにいきおったっ!? ごほん、馬鹿の子は馬鹿の子じゃが、騎士のほうは申し分けなさそうな顔をし……頭を下げた。
「も、申し訳ありません! 自分は、御供の方を見ており……勇者様から目を放してしまいました……! その結果、勇者様が……」
「迷子になった……と?」
「は、はい……」
「そうか……、とりあえずついてきて貰おう」
「美味しい物食べれるアル!?」
「は、はい…………、あと絶対食べ物出ませんから……」
上官の反応で、自分の処遇が決まったかも知れない。そう考えながら、騎士はトボトボとした足取りで歩いて行く。
そんな彼の隣では、ファンロンがワクワクしながら歩いておった。
……うん、次はお仕置きシーンじゃな。
だけど、少しは痛みは引いてきたのじゃ……。あ、お尻に氷はいらないんじゃよ? ぷりちーなお尻が真っ赤になっているからといって、尻を突き上げて氷が入った氷嚢を乗せる姿は酷く滑稽になってしまうのじゃ。
可愛らしいワシには不要なものなんじゃよ。
……とりあえず、現状を確認するのじゃ。
ん、魔マ王が何時の間にか居ないがどうしたのかじゃと? あやつは、特定の人物の精神を招き入れる部屋を借りると言って潜り込んだのじゃ。
精神が完膚なきまでに粛清されるに違いないのじゃ……がくがくぶるぶる。
「まあ、誰が犠牲になるのかちょっと気になるのじゃ。じゃから見ることにするのじゃ」
そう言いながら、お尻に氷嚢は乗せないけれど、ソファーの上に尻を上に向けるように寝転がりながらワシは地上の様子を見始めることにしたのじゃ。
とりあえずは……ウィスドムから見ることにするのじゃ。
えーっと、ウィスドムは……城の中の小さい部屋の中で読書中じゃよな?
「……ああ、ここをこうして行けば、繋がる……か? いや、でも……」
真剣に魔術書を読んで、頭の中で考えを纏めておるようじゃな……。
どう見てもこれは、完全に自分の世界に没頭しておるのう。
じゃからか、部屋に近づくドタドタという足音にも気づいておらぬ。
というか、最終的に気づいたのはバンと力強く扉が開かれて、数名の騎士達が入ってからじゃろうな。
「失礼する! 勇者の従者がここにいると聞いたのだが!?」
「…………なるほど、参考になる。ここの文はこうすれば良いのだな……」
……あかん、気づいておらんのじゃ。
それどころか、本当に読むのに夢中のようじゃ……。
これは……騎士達はキレるのじゃなかろうか?
「…………隊長、どうしますか?」
「暫く、待ってみよう」
おお、大人なのじゃ! 隊長と騎士達は大人なのじゃ!!
じゃが……悲しいことに、ウィスドムはしばらく経っても読書を止めるどころか、騎士達にも気づいておらんようじゃった……。
「しかたない……、このまま連行させて貰おう」
「「了解しました」」
「これがこうで……、うん? 何か浮いているような……気のせいか」
諦めた隊長は部下の騎士達に頼むと、彼らは椅子を掴むと樽を担ぐようにウィスドムが乗った椅子を運び始めたのじゃった。
……色んな意味で悪目立ちしてしまうのう。
っとまあ、ウィスドムはこんな感じとして……ファンロン達はどうなっておるんじゃろうか?
そう思いつつ、ワシは視点を移動することにしたのじゃ。
●
「ふぅ~~、食べた食べたアル~~♪ 美味しかったアル~~!」
「うぅ、勤務中にも関わらず自分も食べてしまいました……」
少しばかり膨れ上がったお腹をポンポンと叩きながら歩くファンロン、その斜め後ろに落ち込みながら歩く騎士。
何と言うか印象がまったく違う2人じゃが、ファンロンのフードファイトに魅せられて騎士も食事をしてしまったようじゃな。
まあ、ラーメンは未知の分化じゃったろうし、美味しそうに食べてれば釣られて食べたくなるじゃろうな……。
そんな2人を見ておると、ようやく教会へと辿り着いたようじゃった。
じゃが、そこには勇者のゆのじも無かったのじゃ。
「ゆ、ゆうしゃがいないアル!?」
「し、しまった……! ほんの少しと思っていたのに、大分時間が経っていた!?」
ショックを受ける2人……いや、普通に2時間近く離れてたら、誰かに連れ去られるじゃろ?
ワシが呆れながら見ておると、ファンロンと騎士は教会の中に詰め寄り、ヨシュアが既に出て行ったことを知ると急いで周囲を調べ始めおった。
ファンロンは「ゆうしゃー、ゆうしゃー、どこアルかー!?」と大声を上げており、騎士は聞き込みをおこなっておるようじゃった。
……じゃが、教会の周囲に勇者はまったく見つかることは無かったのじゃ。
それもそうじゃろう、じゃってヨシュアは今城に戻って一室で眠っておるのじゃからのう。
「見つかりませんね……。こうなったら、城に戻って報告するしかありません……」
「うぅ、ゆうしゃー……、迷子になったら駄目アルよー」
まるで迷子に文句を言うようにファンロンは言っておるんじゃが……、ファンロンよ? 迷子なっとるのはお主じゃぞ?
少しばかり呆れながらその様子を見ておると、2人は城へと戻るために歩き出しておった。
しばらく歩き、2人が城門の前へと辿り着くと……騎士の同僚が数名ほど……いや、上司的な者達が立っておった。
……全員がしかめっ面をしてな…………。
「ただいま戻りました!」
「ただいまアル~」
「ご苦労、何か変わったことは?」
騎士の中から一番立場が上であろう騎士が前へと出、2人に尋ねる。
すると、ファンロンは首を傾げ……って勇者の存在どこにいきおったっ!? ごほん、馬鹿の子は馬鹿の子じゃが、騎士のほうは申し分けなさそうな顔をし……頭を下げた。
「も、申し訳ありません! 自分は、御供の方を見ており……勇者様から目を放してしまいました……! その結果、勇者様が……」
「迷子になった……と?」
「は、はい……」
「そうか……、とりあえずついてきて貰おう」
「美味しい物食べれるアル!?」
「は、はい…………、あと絶対食べ物出ませんから……」
上官の反応で、自分の処遇が決まったかも知れない。そう考えながら、騎士はトボトボとした足取りで歩いて行く。
そんな彼の隣では、ファンロンがワクワクしながら歩いておった。
……うん、次はお仕置きシーンじゃな。
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