3 / 8
具象化
しおりを挟む黒い石を吐いた。
石は水面に沈まずに地面にバウンドして足元に落ちた。
わたしは、まじまじとそれを見た。
一つだけ。
ポツンと転がった石は歪な形をしていた。
「ハーラン」
薄れて聞こえなくなっていた声が、記憶の底からわたしを呼ぶ。
何て可哀想な娘、何て不幸な娘……。
わたしは喉元を抑えた。
絶望は吐き尽くした。
わたしは石になってゆく。
……砕かれる運命の石に。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる