怖がりSubにやさしい命令(コマンド)を

藤吉めぐみ

文字の大きさ
11 / 54

5-2★

しおりを挟む
 暁翔が立ち上がり手を差し出す。央樹はそれに素直に捉まり立ち上がった。すると暁翔が央樹の着ていたシャツのボタンを開け始める。
「え、ちょっ、暁翔……」
「動くな。今日はおれが脱がすよ。我慢できる?」
「……する」
「『good boy』、央樹はホントにいい子」
 嬉しそうな顔で央樹を褒めながら、暁翔は央樹の服を全て脱がせた。それからすぐに風呂の場所を聞いて、移動する。自分もテキパキと着ていたものを脱ぎ捨てると、央樹と二人で狭いバスルームに入ってシャワーを出した。
「シャワーなら二人でも浴びれそうだね。今日は頭からつま先まで全部洗わせて」
 いいね、と暁翔が微笑む。その怜悧な笑顔に央樹は逆らえない。当然のように頷くと、暁翔が央樹の髪を撫でた。
「まずは髪から洗おうか」
 シャンプーを手に取った暁翔が央樹の髪を洗い始める。立ったまま向かい合っているので、央樹の目の前にはちょうど暁翔の首から鎖骨あたりがある。細いと思っていたけれど、意外と大きな喉仏と、太めの鎖骨が浮き出たそこは、ちゃんと男らしくてドキドキする。視線を下にすると張りのある胸とうっすらと筋の入った腹が見えた。茂みまで視線を落としてしまってから央樹は慌てて視線を逸らした。
 さすがに不躾にそこまで見るわけにいかない。
「……央樹、おれの体、興味ある?」
「え、えと……」
「ある? ない? 言って」
 強く聞かれると、それはコマンドと同じように作用する。央樹は小さく、ある、と答えた。
「央樹は素直だね。えらいよ」
 暁翔は央樹からシャンプーを流しながらそう答えた。それから一度シャワーを止め、こちらを見やる。前髪をかき上げた暁翔の目がまっすぐに刺さるようだった。
「今度は央樹がおれの体洗ってくれる?」
「え……」
「できないならいいよ。強制はしない」
 ボディソープを手に取り、暁翔は央樹の胸にその手を滑らせた。心臓がドキリと跳ね、そのまま速度を速める。
「洗いあうって、こと?」
「そうだね」
 暁翔が頷く。央樹はおずおずと自分も手にボディソープを取って、それを泡立てた。その様子を見ていた暁翔が微笑む。
「本当に央樹はいい子だよ。おれの理想のSubだ」
 暁翔は嬉しそうに笑んでから、央樹の頬にキスをして、その体を抱きしめた。そのまま背中を撫でられ、ぞくぞくと肌が震える。
「撫でられて、感じた?」
 耳元で暁翔の低い声が響く。それだけでも体が敏感になった気がした。
「か、感じた、わけじゃ……」
「そっか。じゃあ、おれの体もこのまま洗ってくれる?」
 暁翔の言葉に央樹が頷く。おずおずと腕を暁翔の背中に廻し、その肌に手のひらを滑らせる。固い背中を感じ、それだけでなんだか興奮してしまう。
「いいね、上手」
 暁翔は央樹の背中に手を滑らせ、腰を抱き寄せた。当然、二人の体がピタリとつく。すると、男同士なのだから、当然下半身も重なる様に付いてしまう。央樹はそれが恥ずかしくて、待って、と口にした。
「どうかした?」
「あ、あんまり、くっつかないで……」
「……それは、央樹が少し興奮してるから?」
 やはりバレていた。暁翔の手が心地良くて、暁翔の背中に触れていることが嬉しくて、それは央樹の中心にも影響してしまっていた。恥ずかしくて央樹はぎゅっと目を閉じた。
「ごめん、なさい……」
「謝る事じゃないよ。じゃあ……少しだけ、えっちなプレイ、してもいい?」
 暁翔はそう聞いてくれるが、央樹にそれを拒む要素は何もない。央樹が小さく頷く。
「じゃあ、少し触るよ」
 暁翔は央樹の体を離し、ゆっくりと壁に押し付けた。そのまま胸に手を滑らせ、興奮でふっくらと色づいた央樹の乳首に指を寄せる。引っ掻くように刺激され、央樹は、ん、と声を漏らした。それから暁翔を見上げる。
「いいよ、声出しても」
「ん、ん、やっ……」
 指先で両の乳首を摘ままれ、そのまま指の腹で擦られるとやはり感じてしまう。央樹は自分の腿をぎゅっと掴んでその快感を逃していた。けれどそれはすぐに暁翔に見つかってしまう。
「そんなところ握ってたら赤くなるから、おれに掴まってて」
 暁翔は央樹の手を取り、自分の背中に廻させた。戸惑う央樹が暁翔を見上げると、暁翔は央樹の額にキスをした。
「嫌だったらちゃんとセーフワード言ってよ」
「……嫌、じゃない……」
 多少の恥ずかしさはあるが、優しく体に触れられるのは好きだ。相手が暁翔だと思えば、なぜか余計にそう感じた。
「じゃあ、もう少し触るよ」
 暁翔は言いながら、央樹の中心に手を伸ばした。長い指に包まれ扱かれると、それだけで心地いい。
「あ、暁翔……」
「気持ちいい? よかったら言葉にして」
「……いい……」
 くちゅ、と自分の先走りが混ぜられる音が響くのがとても恥ずかしいが、今の央樹にはちょうどいい恥ずかしさだった。我慢すれば、きっと暁翔が褒めてくれる。
「うん、ちゃんと言えて偉いよ。じゃあ、央樹、おれの目見て。『look』」
 コマンドに導かれ、央樹は暁翔の顔を見つめる。その表情が一瞬驚いたようなものになったが、やがて優しいものになる。
「そのまま見てて。逸らしちゃダメだよ」
 暁翔は微笑みながら、自分の手を強く速く動かした。
「あ、あき、いっちゃ……」
「うん。そのまま、おれの目見て、いって?」
 こんなの恥ずかしいのに、嫌なのに、視線を外せない。これが命令だからというだけじゃなくて、相手が暁翔だからなのだろう。この優しいパートナーの命令を聞きたい自分が居る。
「あ、んっ――!」
 びくびくと体が痙攣し、央樹が中心から白濁を吐き出す。すると暁翔はふわりと央樹を抱きしめた。
「ありがとう、央樹。おれのコマンド全部きいてくれて、ホントに嬉しい――さ、このまま体洗ってあげるね。あがったら美味しいご飯作ってあげる」
「うん、嬉しい」
 央樹が素直に言葉にすると、暁翔はさらに央樹を強く抱きしめた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

処理中です...