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第三章 昨日の敵は今日も敵か味方か
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紫紋の測定結果は
白が三百、赤(火)と緑(風)が二百、後は青(水)、水色(氷)が百というものだった。
「う~ん」
異世界側の面々が渋い顔をする。
まるで検査結果を見て、難しい顔をする医者のようだ。悪い結果なのかとか、不安になってしまう。
「どう思う?」
国王が宰相に問いかける。
「騎士としては、いい数値だと思います。数値が低い属性も、訓練によっては伸びますから。陛下も同じ位でしたよね。火属性が突出していましたが」
「そうだな」
「陛下は昔、騎士でした。王太子なので騎士団長にはなれませんでしたが、実力はお墨付きです」
「そうなのですね」
紫紋達がおやっと言う顔をしたので、宰相が説明する。
「悪い結果なのかと思いました」
ほっとする紫紋に、宰相が微笑みかける。
「不安にさせてすみません。数値としては悪くないですよ。宰相閣下の仰ったように、騎士団では高い部類に入る攻撃力です。ただ」
「ただ?」
副神官がそこで言葉を濁す。
「何分にも、異世界から聖女は召喚したことがありますが、守護騎士となる者が異世界から来た例がありません。聖力は守護騎士となり、紋が刻まれてから宿るものなので、次の測定がどうなるか、我々も前列がないため、不安に思っております」
何事も前例がないと、なかなか受け入れられるものではない。
それがいいことなのか、悪いことなのか、この状況を皆重く見ている。
「すべてはピルテヘミス神の采配。カドワキ殿が今、聖女様と共に現れたのは、何か意味があると、私は思います」
聖職者らしく、すべてを神に委ねた言葉だった。
「じゃあ、こっちも試してみるか」
もうどんな結果でもいい。そんな気持ちで紫紋は小さい玉に触れた。
ビシッ
「え」
そんなに勢いよく触ったつもりはなかった。力加減を間違えたのか、玉に亀裂が入った。
「うわ、す、すまない」
「紫紋さん」
慌てて紫紋は手を離し謝った。
「ごめん、さっきと同じくらいの力で触ったつもりだったんだが、割ってしまったみたいだ」
板の数字は点滅しているが、ゼロが三つのまま動かない。
「弁償…できますか」
こういう場合、故意ではなかったとしたら保険が効くのか。そもそも損害賠償保険なんてあるのか。もし、とんでもない金額を要求されたら、どうやって返したらいいのか。
一生タダ働きか。
世界樹の浄化が終わって、飛花が帰っても紫紋だけ居残りになるかも知れない。
「いえ、この玉は鉄槌で叩いても壊れないよう、保護魔法がかかっています。ですので、外から壊すことはできません」
副神官が言い、そうだと大神官も頷く。
「え、だったらどうして」
「壊れるとしたら内側から。つまり、玉の許容量を超える自体が発生したということです」
「許容量を…超える?」
「測定の数字も表示出来るのは三桁まで。それ以上の桁を超える数値は、想定されていません」
「……ということは?」
紫紋の問いに、国王達が顔を見合わせる。
「紫紋さん、紫紋さんの聖力が、桁違いに凄くて、だから玉が壊れた。ということではないですか?」
第三者として冷静に飛花が分析する。
「カドワキ殿、手を出していただけますか?」
「……え、手?」
宣誓するように副神官が手の平をこちらに向ける。同じように紫紋が手を挙げる。
「陛下、閣下、私の聖力を彼に注いで見てもよろしいでしょうか?」
「ふむ、それ以外に方法はなかろう」
「万が一、何かあれば私が補助します。ファビアン」
宰相が職名ではなく、名前で呼ぶ。
二人は兄弟だから、名前で呼ぶのは不思議ではないが、これまではお互いの立場を考慮して、他人行儀を貫いていた。
「大神官として、私も手を貸そう」
「ありがとうございます。では…」
国王の後ろから移動して、副神官が紫紋の横に座る。
「目を閉じ、力を抜いてください」
「わ、わかった」
瞼を閉じ、紫紋は深呼吸を繰り返す。
立てた右掌に、副神官の手が触れるのを感じる。
温かい。
人の手の温もりを感じたと思ったが、それは違った。
きっとサーモグラフィーで見ると、そこだけ真っ赤になっているだろうと思うくらい、熱が掌越しに伝わってくる。
しかし、火傷するような熱さではない。
それが掌から手首、肘、肩先に流れて、やがて紫紋の全身を対流しだした。
「うわ! な、なんだ!」
まるで体の中を、生き物が暴れまわるような感覚に驚いて、紫紋は目を開けた。
それと同時に、ぱっと手が離れた。
「ファビアン?」
ぱちりと目を開けた紫紋の視界に、玉の汗を滲ませた副神官がいて、その彼の肩を支えるように、宰相がいつの間にか近寄っていた。
「紫紋さん、大丈夫?」
飛花が紫紋の様子を心配する。
「な、何が…起こった?」
「十分くらい動かなかったけど」
「十分?」
紫紋してはほんの数秒くらいにしか感じなかったが、十分も副神官と手を繋ぎあっていたと聞いて、驚いた。
白が三百、赤(火)と緑(風)が二百、後は青(水)、水色(氷)が百というものだった。
「う~ん」
異世界側の面々が渋い顔をする。
まるで検査結果を見て、難しい顔をする医者のようだ。悪い結果なのかとか、不安になってしまう。
「どう思う?」
国王が宰相に問いかける。
「騎士としては、いい数値だと思います。数値が低い属性も、訓練によっては伸びますから。陛下も同じ位でしたよね。火属性が突出していましたが」
「そうだな」
「陛下は昔、騎士でした。王太子なので騎士団長にはなれませんでしたが、実力はお墨付きです」
「そうなのですね」
紫紋達がおやっと言う顔をしたので、宰相が説明する。
「悪い結果なのかと思いました」
ほっとする紫紋に、宰相が微笑みかける。
「不安にさせてすみません。数値としては悪くないですよ。宰相閣下の仰ったように、騎士団では高い部類に入る攻撃力です。ただ」
「ただ?」
副神官がそこで言葉を濁す。
「何分にも、異世界から聖女は召喚したことがありますが、守護騎士となる者が異世界から来た例がありません。聖力は守護騎士となり、紋が刻まれてから宿るものなので、次の測定がどうなるか、我々も前列がないため、不安に思っております」
何事も前例がないと、なかなか受け入れられるものではない。
それがいいことなのか、悪いことなのか、この状況を皆重く見ている。
「すべてはピルテヘミス神の采配。カドワキ殿が今、聖女様と共に現れたのは、何か意味があると、私は思います」
聖職者らしく、すべてを神に委ねた言葉だった。
「じゃあ、こっちも試してみるか」
もうどんな結果でもいい。そんな気持ちで紫紋は小さい玉に触れた。
ビシッ
「え」
そんなに勢いよく触ったつもりはなかった。力加減を間違えたのか、玉に亀裂が入った。
「うわ、す、すまない」
「紫紋さん」
慌てて紫紋は手を離し謝った。
「ごめん、さっきと同じくらいの力で触ったつもりだったんだが、割ってしまったみたいだ」
板の数字は点滅しているが、ゼロが三つのまま動かない。
「弁償…できますか」
こういう場合、故意ではなかったとしたら保険が効くのか。そもそも損害賠償保険なんてあるのか。もし、とんでもない金額を要求されたら、どうやって返したらいいのか。
一生タダ働きか。
世界樹の浄化が終わって、飛花が帰っても紫紋だけ居残りになるかも知れない。
「いえ、この玉は鉄槌で叩いても壊れないよう、保護魔法がかかっています。ですので、外から壊すことはできません」
副神官が言い、そうだと大神官も頷く。
「え、だったらどうして」
「壊れるとしたら内側から。つまり、玉の許容量を超える自体が発生したということです」
「許容量を…超える?」
「測定の数字も表示出来るのは三桁まで。それ以上の桁を超える数値は、想定されていません」
「……ということは?」
紫紋の問いに、国王達が顔を見合わせる。
「紫紋さん、紫紋さんの聖力が、桁違いに凄くて、だから玉が壊れた。ということではないですか?」
第三者として冷静に飛花が分析する。
「カドワキ殿、手を出していただけますか?」
「……え、手?」
宣誓するように副神官が手の平をこちらに向ける。同じように紫紋が手を挙げる。
「陛下、閣下、私の聖力を彼に注いで見てもよろしいでしょうか?」
「ふむ、それ以外に方法はなかろう」
「万が一、何かあれば私が補助します。ファビアン」
宰相が職名ではなく、名前で呼ぶ。
二人は兄弟だから、名前で呼ぶのは不思議ではないが、これまではお互いの立場を考慮して、他人行儀を貫いていた。
「大神官として、私も手を貸そう」
「ありがとうございます。では…」
国王の後ろから移動して、副神官が紫紋の横に座る。
「目を閉じ、力を抜いてください」
「わ、わかった」
瞼を閉じ、紫紋は深呼吸を繰り返す。
立てた右掌に、副神官の手が触れるのを感じる。
温かい。
人の手の温もりを感じたと思ったが、それは違った。
きっとサーモグラフィーで見ると、そこだけ真っ赤になっているだろうと思うくらい、熱が掌越しに伝わってくる。
しかし、火傷するような熱さではない。
それが掌から手首、肘、肩先に流れて、やがて紫紋の全身を対流しだした。
「うわ! な、なんだ!」
まるで体の中を、生き物が暴れまわるような感覚に驚いて、紫紋は目を開けた。
それと同時に、ぱっと手が離れた。
「ファビアン?」
ぱちりと目を開けた紫紋の視界に、玉の汗を滲ませた副神官がいて、その彼の肩を支えるように、宰相がいつの間にか近寄っていた。
「紫紋さん、大丈夫?」
飛花が紫紋の様子を心配する。
「な、何が…起こった?」
「十分くらい動かなかったけど」
「十分?」
紫紋してはほんの数秒くらいにしか感じなかったが、十分も副神官と手を繋ぎあっていたと聞いて、驚いた。
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