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しおりを挟む煩わされる、という表現はよくないかもしれないが、かける手間が少ないのは正直助かる話ではある。
子供を飢えさせない為にも、なにせ魔力が出来るだけ多く必要なのだ。
必然ラティと触れ合う時間を長く摂る必要があって。子供の世話を手ずからしていられないという事情もあった。
とは言え、そう言った状況は言ってしまえば生まれる前と変わらない。
違いは大きく膨らんでいた下腹部が、今は全く平らになったことぐらい。
俺としては別に子供が傍にいることそのものは苦ではないし、目の届く範囲にいない時になったりはする。
だからと言って強硬に世話をしたいだとか主張するのが一種の我儘のようなものになるのだろうことがわかっていて、そんなことを口に出せるわけもない。何よりも。
(俺は……薄情なのかもしれない)
子供が可愛く思えないだとかそういうわけではなのだけれど、授乳さえしっかりできているようである限り、子供に注意を払い続けられない自分がいた。
なお、授乳は驚くことに、女性のように膨らみなど何処にもない胸へと子供の顔を寄せ、乳首を口へと含ませることによって成す。
当然、母乳という形で血液から生成された白い液体が出るなどと言うことは一切ない。
俺はあくまで男性であり、人体の構成上もそう。
そもそもこの世界の人間は男性も女性も多くの場合母乳など出さないのでこれに関して性別は関係がなかった。
では赤子はそこからいったい何を得ているのかというと、これも結局は魔力なのだ。
胸から出るのかと思うと理解しづらいのだが、思い出してみればそういうものだと習った記憶がある。
(本気か?)
なんて思ってしまったのはこれもまた前世を思い出したからなのだろう。
授乳という言い方も便宜上とでもいうものであるのだとか。
そんな風に、子供に授乳している時間と、ラティと触れ合っている時間以外の時、俺は体を休めているのでなければ、子供が生まれる前と何も変わらず過ごしていて、それでいいのだとも言われていた。
少なくとも子供が1歳になり、授乳の必要がなくなるまではこのままなのだそうだ。
子供が生まれて、だから俺はすぐに子供がいる生活に慣れていった。
これまでの生活に加えて、なんだか可愛らしい生き物に触れ合う時間が増えた程度だったのである。
とは言え、だからと言って、特にシェラについてほとんど何も、うまく考えられないままであったのは、子供が生まれたということそのものが俺にとって大きな出来事であったからだろうとは思う。
生まれる前後、それぞれ一ヶ月の計二ヶ月ほどは、特に魔力がより多く必要で、思考を巡らせるどころではなかったというのもあるけれど、その後、シェラが復帰してくるまでの一ヶ月はそこまででもなく、にもかかわらず俺自身、シェラに対して、何の変化もなく対峙することとなったのは、やはり余裕を持ち切れなかった所為なのだろう。
子供が生まれて、新しい毎日が始まったはずなのに、何も変わっていない、そう、俺が思い知ったのは、数か月ぶりにシェラと再会した時のことだった。
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