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しおりを挟むそりゃラティも過剰に心配するだろうし、部屋に閉じ込めてしまったりもするだろう。
理解できた部分もあった。
多分、部屋から出られなかったあの期間は、俺の様子を見る為の時間だったのだろう。
一見、以前とは比べ物にならないほど、多分図太くなっただろう俺を、だけど以前が以前だからこそ時間をかけて様子をうかがわざるを得なかった。
……正直な話。
(ラティってちょっとヤンデレ入ってる? とか思ったのは、まぁ、ちょっと申し訳ないとは、思う……)
わかってしまえば、思い出してしまえばなんてことないなぁと溜め息を吐いた。
シェラやラティの過剰な心配や、余計なことを言わないでいたのだろう気遣いだとかにも納得する。
ルニアが不安定すぎたからだ。
加えて記憶に欠けがあったとなれば。
意識を取り戻して、今俺はどうやら一人であるらしかった。
多分昼間なのだろう、夜のような暗さはない。
ラティがどうやら室内にいないらしいのはきっと、ずっとついているには難しいような執務か何かがあるからか。
単純に仕事をしているんだろうなぁと思う。
シェラを始め、他の侍従も近くにいないようなのはきっとたまたま。
部屋の中には控えているようだし、護衛の気配もあるからすぐに戻ってくるはずだ。
そしてきっと俺が意識を取り戻していることにも気づかれるのだろう。
だけどもなぜか今は俺一人。
だからこそ先程口に出して独り言を言ってしまったりしたのだけれど。
ぼやっと天蓋の内側を見上げながら、とりとめもなく、思考を遊ばせる。
と、言うよりかは改めて今までを思い返していた。
全てを通して思うことはつまり、なんというか、ラティはやっぱりかっこいいなぁ、ということだ。
ルニアに対して、あまりに献身的で愛情深い。
わかっていたことではあるけれども、なんだかくすぐったくて照れてしまう。
そして胸があったかくて、幸せで。
好きだなぁ、なんて思う気持ちは、明確に、記憶を取り戻した直後とは全く違ってしまっていた。
「俺、傍観者になりたいだけだったはずなんだけどなぁ……」
推しに触れたいだとか思ったことなどなかったはずだ。
なのに今はどうなのか。
シェラのことを、否、欠けた記憶のおそらくは大部分を思い出したことで、余計にラティへの気持ちが募ったようだった。
なんだかおかしくてくすくすと笑ってしまう。
流石に気付いたのだろう、侍従が近寄ってくる気配。
「ルニア様? お目覚めですか?」
声をかけられて、返事を返した。
「ああ。つい、今。シェラは?」
訊ねると、
「すぐに戻ってくるかと。殿下への報告があり、席を外しているだけですから」
穏やかに返されて、鷹揚に頷いた。
俺が身じろいで起き上がろうとしていることに気付いたのだろう、手伝ってくれるのに礼を言う。
「ありがとう。今は?」
「ルニア様がお倒れになられたのは昨日、そこからですと今は翌日の午前、もうじきお昼です」
明確に返された答えにも俺は小さく頷いた。
思ったよりも時間が経っていなくてほっとする。
きっとすぐにシェラも、そしてラティも戻ってくるのだろう。
二人の顔を見るのが、なんだかひどく楽しみだった。
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