【完結】気がつけば推しと婚姻済みでかつ既に妊娠中だったけど前世腐男子だったので傍観者になりたい

愛早さくら

文字の大きさ
96 / 141

25-1・距離感に惑う

しおりを挟む

 俺がラティのかっこよさに眩んだり、いつも通り率先して・・・・魔力に酔わされたりしながら仲良く夜を過ごした翌朝、起きるとシェラは戻ってきていて、俺のすぐ傍に控えていた。
 目が覚めてすぐに気付き、俺はガバッと彼に取り縋ってしまう。

「シェラっ! 大丈夫なのか? 昨日、何があったんだ? 戻らないから、俺……」

 取り乱す俺に、シェラは非常に申し訳なさそうな顔をして宥めてきた。

「申し訳ございません、ルニア様。ご心配をおかけいたしました。大丈夫、何も問題がないとまでは申しませんが、何か私にとってとても良くないことが起きているだとか、そういうことはございませんから……ね?」

 伸ばした俺の手を振り解いたりせずに受け入れて、優しく諭すようにそう告げるルニアに嘘は感じられず、俺は少しだけ、ほっと安堵の息を吐く。
 よくない事が起きたわけではない。
 表現は何処までも曖昧だったが、例えば言葉や暴力で脅されたり、そこまでは行かずとも不快な思いをしたり、そう言ったことはないということなのだろう。
 ただ、何があったのか、という問いに答えが返ってきていないのは確かだったし、そればかりは昨日も、ラティから教えられることがなかったので、気にならないわけもなく。

「大丈夫、なんだったらいいんだ、でも、」

 何があったのかは知りたい。
 続けながら、すぐにだけど躊躇した。
 気にはなる。気にはなる、のだがしかしだからと言って、

(踏み込んでもいいんだろうか……)

 俺は、否、俺になる前のルニアだって、どんな人も踏み込まれたくない事情だとかを一つや二つぐらい持っていることを知っていた。
 心配だから、気になるから。
 それで暴いていいことなのかどうかの判断が出来ない。
 だってラティも俺に告げなかった事情で、シェラ本人も今、答えを口にしていないのだから、詮索してはいけなかったのではないかとすら思う。
 そんな俺の迷いがきっと顔に出ていたのだろう、シェラの眉がへにょと力なく下がったのがわかった。

「ルニア様……そう、大したことがあったわけではないのです、ですが……そうですね、報告せねばなりませんよね」

 苦笑しながら教えてくれたのは、つまり実家の用だったのだということ。もっと具体的に言うならば、

「僕のお見合い相手が何がどうなったのやら、あそこまで入って来てしまっていて、お帰り頂いた上で、なぜそのようなこととなったのかの確認などをしていると、少しばかり時間を取られてしまったのです」

 とのこと、そのまま実家にもいろいろと確かめに帰らなければならなかったので、昨日はそのまま、ラティにのみかろうじて報告し、急ぎ王宮を出たのだということだった。
 俺への連絡はつまりラティに言付けたのだそうだ。
 ラティはいずれにせよきわめて個人的な事情だったことは間違いないので、俺へ伝える内容を制限しただけなのだろう。
 理解できなくもない話ではあった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!

華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

処理中です...