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しおりを挟むなんとも言えない気持ちで、これはいったいどう受け止めればいいのだろうかと思いながら見ていると、シェラが補足する為にか、口を開いた。
「見て頂いてわかるかもしれませんが、この時、僕は戸惑っていました。でも、ルニア様によって救われたのも確かなのです」
穏やかにそう告げるシェラに、俺は小さく首を傾げた。
「救われた?」
理由がわからない。記憶が曖昧な所為なのだろうか。
「僕は……元々平民でしたから。色々と至らないことが多くて。周囲の皆様から、ご指摘を頂くことが多かったのです」
俺は少し考え、想像してみた。
至らないことの指摘。随分と遠回しな言い方だが、それはつまり、いじめのようなものを受けていたか、それに近い状況だったということなのだろうか。
ありそうだなと思ってしまう。
ルニア自身は、おそらくそう言ったこととは無縁だったと思うのだが、一部の者のそういった指摘が、時に行きすぎてしまうことがあるのは、今の俺なら容易に想像できることだった。
「ご指摘自体は、仕方のないことだと思うのですけど、そういった頻度が多いと、僕もどうしても辛くなってしまって……」
いったいどういう状況だったのか。
シェラがこういう言い方をするということはもしかしたら、俺が思うより良くない状態だったのかもしれない。
「何度か、その場に居合わせたルニア様に、庇って頂くようなことがございました。目に余ったというのもあるのでしょうけれども、その内にルニア様ご自身が、僕のことを側近くに望んで下さることが多くなって……」
つまり、目に余るようないじめを見かけ、庇って、付きまとうようになったということか。
やはりどうにも覚えはなかった。
「殿下は初め、それにいい顔はなさらなかったんですけど、その時のルニア様は、どうしてか殿下と離れようとなさっていらして、僕がそれを何度か宥めたり諫めたりしていたというのと、あくまでも、殿下とルニア様のお邪魔をしたいわけではないという姿勢を見せていたのもあって、自分がいない時ならと、許容下さるようになりました」
シェラの言葉にドキッとする。
そうだった、ルニアの横にはほとんど常にラティがいたはずだ。
そしてそれは勿論、間違いではなく。そして。
「ラティと……離れようと、していた?」
「そうですね、僕にはそのように見えました」
怪訝に思って呟いた俺にシェラが頷く。
やはりまったく記憶になかった。
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