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05-1・結果に納得なんてできない
しおりを挟む俺がラティから解放されたのは、丸一日以上経ってからのことだった。
というか、一日半? 否、ちょうど2日だと思う。
なにせようやく目を覚ますことが出来たのは翌々日の朝の遅い時間。
丸一日どころか、むしろ二日と言った方がやっぱりいい。
目が覚めても、ぼうっと、起き上がれもせず、天井……――天蓋の裏を見上げるばかりの俺に、起きていることに気付いたのだろうシェラがおずおずと、気遣わしげに声をかけてくる。
「ルニア様……今日はこのまま、もう少しお休みになります、よね……?」
むしろそうする方がよいのではと言わんばかりだった。
俺はゆると緩慢な動作でそちらを向いた。
桃色の髪がふわふわでサラサラで、そんでもってキラキラしていて、やっぱり天使みたいに可愛い。
ああ、こんなに可愛いのに。
きっと、あんなにもかっこいいラティと並ぶとお似合いなのに。
そこまで思って、是非見てみたいっ! 強く思うと同時にどうしてかしくり、胸が痛んだ。
今では俺もわかっている、これはルニアの感情だと。
だって思い出す限りルニアはただひたすらに真っ直ぐに、幼い頃から、ラティだけを思ってきたから。
それを俺は決して、忘れているわけではなかった。
同時にラティが、そんなルニアにどう対応していたのかということも。
それなのにあんなことを言ってしまった。あれはきっと口に出してはいけなかったのだ。
少なくともラティに直接、今、急に、なんて。
ラティが怒るのも無理はないし、こうなったのも仕方がないのかもしれないとも思う、と、そこまで考えて、いや、やっぱりあり得ないし犯り過ぎだろ……と思い直した。
少なくとも、好意を抱いている相手にあそこまで、なんて。
「し、し、し、死ぬかと思った……」
ポソ、掠れきった声で呟いた。
犯り殺されるかと思った! 本当に!
俺の呟きが届いたのだろうシェラが、ぐっと眉根を寄せながら俺の喉元へと手を伸ばしてくる。
「……本当はこれも、よくはないのですけど。気を付けさせては頂きますから」
そんな言葉を聞きながら、俺の魔力がシェラによって誘導されているのがわかった。
(ああ、治癒魔術か)
思い至って、途中からは自分で先にかけてしまう。シェラもさっと手を離した。
おかげでシェラの魔力が俺へと注がれることはほとんどなく、なんとなくそれにほっとする。
今のこの状況で、シェラの魔力が俺に僅かだって混ざったと知ったら、いったいラティはどうすることやら。
それに俺自身、なんだか嫌だとも思った部分があった。
ルニアとしての記憶を思い返すと理由もすぐにわかる。
妊娠中はそんなものだと。
余程でなければ、心を寄せた相手の魔力以外なんて受け付けない。
俺は深く溜め息を吐いた。
溜め息を吐いて、ゆっくりと体を起こす。
2日前の。始めて、前世の記憶がよみがえった時とは比にならないほど、体全身が怠かった。
多分、それぐらいに酷使され続けたからなのだろう。
俺自身やラティの治癒魔術では全然ちっとも、追いつかないぐらいに。
俺もラティも、治癒魔術は、別に苦手というわけではないが、逆に得意というわけでもないから。
多分治し方が、所々甘いのだ。
そういうことに関しては、シェラの方が上手かったはず。
「ああ、ご無理はなさらない方が……」
俺が起きるのを支え、助けてくれながらのシェラの言葉に、俺はゆるり、首を横に振った。
「いや、……起きるよ」
動けないほど、不調なわけではない。
でも気づかないうちにごく自然と、お腹をゆると擦ってしまった。
お腹の奥の方が、じくじくと、疼くように鈍く痛みを発している。
結腸の辺り、だろうか。
炎症でも起こっているのかもしれない。
それも仕方がないと思う。
だってそこも、これでもかと容赦なく、ぐっぽぐっぽと何度も何度も、辛くなるぐらいに侵され尽くしたのだから。
(結腸抜きとかよく読んだけど……これ、ヤバすぎない?)
俺は知らぬ間に、ぎゅっと、知らず眉根を寄せていた。
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