チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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143.錬金術

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「っ!」
「シア?!」
迷宮でボスを倒した直後突然息が詰まった
崩れ落ちる様に膝をついた俺にレティが駆け寄ってくる
ボスを倒す前だったら最悪だったなとどこかで思うと同時に、その余裕が残っていたことにほっとする

「何だ…これ…?」
鼓動がひときわ大きく打ち付ける
種族が変わったときとはまた違った感覚が全身を駆け巡る中、俺は慌ててステータスを確認した
状態異常ならそれも気付けるはずだから

「え…?」
驚きと同時に息苦しさが嘘のように消えていく
「シア?」
「あぁ…大丈夫だ」
レティを安心させるように口元を緩める
「良かった…」
突然の事に不安もあったんだろうその目元には涙が溜っていた

「一体何だったの?」
「スキルを取得したらしい」
「え?」
「錬金術」
「信じられない…」
レティの反応は当然のものだ
この世界においてスキルというのは魔法属性を除いて後天的には得られないのが定説になっている
その魔法属性も10歳に上がる頃までに得られなければそれ以降に得られることはごくまれだ
たまに妖精の祝福でスキルを得ることはあっても気付かないまま過ごしてる人もいるし気づいても使い方が分からず放置の方が多いかもしれない
そんな中で成人した俺が魔法属性以外のスキルを得るのはどれだけの確率なのか…

この世界における錬金術スキルは物質を分解し素材を得ること、また素材を掛け合わせて別の物質を望んだ形状に錬成、つまり創り出すことが主となり、その物質や素材の種類は問わない
錬金術で創り出した物を錬成物と呼び、その品質ランクは錬成時に必要となる魔力の質が大きくかかわっていると言われている
大半はその生まれ持ったスキルを活かすために武具職人に弟子入りして様々な効果を持つ武器や防具を作る道を選ぶ
中には魔道具士や薬師になる人もいるらしいけどそれこそごくわずかだ
その理由は考えるまでもなく需要の差だ
ただ、通常の者には出来ない純粋な金属で作られた武器は魔力が通りやすく冒険者や騎士に重宝されるがそれなりに値が張るため、冒険者ではBランク以上の者しか手が出せないと言われている

物質を分解したり錬成したりする
そのために体が作り替えられた感じなんだろうか
本来ならそれに見合った体で生まれるから、感じる必要のない痛みを伴ってスキルを得たということだろう

「ヤバいな…」
「え?」
「今さらだけどチート過ぎる」
突然の痛みや苦しみは勘弁してほしいけど得られたものはそれ以上に喜ばしいものだ
魔法と念動力と錬金術
この3つをかけ合わせればとてつもなく大きな世界が広がってる気がする
一体どれだけの物が作り出せるだろうか?
「本当に今更な気がする…」
レティはそう言って苦笑する

レティの為にも何か作ってみたいな
拳をよく使ってるからミリタリーグローブみたいなのもいいか?
メリケンサックそのままは流石にいただけないしな
骨も頑丈なのは知ってるけど保護的な意味で何かを作ろう
今のところ特定の場所からしか毒物を出せない魔物にしかあったことがないけど、ひょっとしたら毒をその身にまとった魔物もいるかもしれないしな
そんな魔物を素手でなんて考えただけでもぞっとする
その防御の意味でも必要なはずだから
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