チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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142.新しい発見

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「的はどうしようか」
「わかりやすく木の幹をブロック状にしたら?」
「なるほど」
俺はそばにあった木を風魔法で切り倒してブロック状にした
「まずはそのままで」
「了解」
切り倒したことでできた切り株の上にブロック状の的を1つ乗せる
ヒタチが木のブロックに狙いを定めて矢を射るとど真ん中に命中した

「すげぇな。ど真ん中」
「これ使うとほかの矢が使えなくなるんじゃ…」
「練習は欠かさないって。もちろんこれまで使ってた矢で。でないと連動するステータスが上がらない」
意外としっかり考えていたらしい
口にはしないけど

「次は『バイキルト』かけてみよう」
「任せて」
シャノンが即答して矢に補助魔法をかけた
『+2』と表示されたのを確認してヒタチに同じように射てもらう
すると命中したとたん木のブロックが真っ二つに割れた
刺さっただけの1射目と割れた2射目
その事実に俺たちはただ茫然とした

「ヒタチ、もう1回」
いち早く気を取り戻したのはマリクだった
「当たり所の問題かもしれない。シア、さっきと違う面を正面にして置いてくれ」
「わかった」
マリクに言われて俺はさっきと違う面を正面にして木のブロックを置いた
確かにさっきは目地が縦方向に走っている面を正面にしていた
今回は1射目と同じ年輪が見える面を正面にする

「シャノン頼む」
「は~い」
シャノンはワクワクした様子を隠すことなく補助魔法をかける
3射目はど真ん中に命中し、そのまま突き抜けて奥にある木に刺さった

「…ヤバすぎないか?」
「迷宮産ってすごい…」
「ヒタチのステータスが上がったらもっと威力が増すってことか?」
口々にこぼれる言葉に誰も何も返さない

「俺、弓術のスキル上げに専念する。補助がなくてもレベルが上がればあれができるんだろ?」
ヒタチの目は矢が刺さっていた場所を向いている
残念ながら矢自体はすでにヒタチの手元に戻ってるけど…
なんにしてもそう言いたくなるのは誰もが理解できた
武器に補助魔法を乗せることで自分のステータスが上がればどうなるのか見えるから当然の流れだろう

それぞれの道をと『無限』として軌道修正したあの日からシャノンは確実に1歩踏み出した
俺達だけでもいつかは気づけたかもしれないけど、確実にもっと先の話だったはずだ
「俺達も負けてられないな」
「そうだね」
俺の言いたかったことをレティはきっと正しく理解した
そんな恋人であり、パーティーであり、パートナーを得れた俺はきっと恵まれているんだろう
そして今回の発見が孤児院で剣を学ぶ際のモチベーションアップに一役買うことになるのはもう少し先の話だ
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