チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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閑話5 砕けた恋心(side:シャノン)

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「…俺の耳は悪くなったのか?」
ケリーがこめかみをピクピクさせながら近寄って来る
あれだけ好きだと思ってたのに、側にいるだけで楽しかったのに、今は吐き気すらする

「ケリー達の本当のランクは何?」
鑑定を使うこともできるけどそれは最後の手段にしたかった

「そんなこと今はどうでもいい」
「どうでもよくないから聞いてるの!ランクを偽るのは犯罪なんだからね?!」
「ほぅ…俺が偽ってるとでもいうのかよ?」
「偽ってないなら何でCランクの魔物くらい倒せないのよ?こんなの自殺行為と変わらないよ」
こんなことを言わなきゃならないこと自体が辛い

「おい!」
ケリーが声をかけるとブルーとグリスが掴みかかってきた

「ちょっ…やめてよ!放して!」
「なぁシャロン、3階層まで付き合うよな?」
「…嫌よ。死にたくないもの」
「どうしても付き合わないというなら二度と冒険者として活動できないようにしてやる」
「そんな事より犯した方が早いんじゃねぇの?」
「!」
左腕を掴んでいた男、ブルーの手が私の胸元を鷲づかみにした
それと同時に蔦が巻き付いて来る

「痛い!」
逃れようにもブルーたちの力には叶わない

「どっちでもいいさ。逆らう気が失せればいいんだからな。メリー、お前はそのままシャノンを拘束してろ」
「…わかった」
メリーの木魔法で拘束が強化された

「先に弱らせとくか」
ニタリと笑ったケリーに背筋が凍り付く

「ファイアボールとファイヤカッターどっちがお好みだ?なぁ、シャノン?」
ケリーはそう言いながら魔法を練り上げる
まずい…
何とかして逃げないと…
私は咄嗟に『シャイニング(強烈の光を放つ)』を使った

「うわっ!」
「何だ?!」
狼狽える声と共に拘束が解けた
今だ!

『クイック(素早さ向上)』

自分自身に補助魔法をかけて走り、そのまま転移陣で迷宮から脱出した



「シア!ルーク!」
宿の部屋に飛び込んだ

「…どうしたシャノン?」
抱き付いた私をシアは落ち着かせるように抱きしめてくれる

「助けて…!ケリーが…!」
「お前が惚れてた男か?あいつがどうした?」
「シャノン今日あいつらと迷宮行ってたんじゃないのか?」
「そうなんだけど…ランク絶対嘘だ…ずっと私だけが高ランクの魔物倒してケリーが倒したのはCランクだけ…もう無理だって言ったら3階層まで付き合えって…!逆らうなら冒険者として活動できないようにしてやるって脅されて…!」
言いながら恐怖がよみがえってくる
拘束されて胸まで掴まれて、さらに魔法で拘束されて攻撃までされそうになった

「大丈夫だシャノン。俺達が守ってやるから。な?」
「そうだよシャノン。僕たちが付いてる」
シアもルークもそう言いながら寄り添ってくれる
そのことにホッとした途端涙が溢れ出した

“バンッ!”

扉が勢いよく開け放たれたのはそんな時だった
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