チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
167 / 370
閑話5 砕けた恋心(side:シャノン)

1

しおりを挟む
「だからさ、シャノン俺達と一緒に迷宮にいかないか?」
ケリーがそう言いだしたのは付き合いだして2週間ほどしてからだった

「でも上級でしょ?推奨のパーティーランクはAだよ?」
「そうはいってもシャノンは兄妹で入ってるだろ?たしかパーティーランクはBって言ってたよな?」
「そうだけど…」
でも実力はそれ以上なんだよね。特にシアは別格だし、ルークも剣聖のスキルを使えばSランク以上だもの
普通の冒険者とはわけが違う

「とりあえず最初の5階層だけでも試してみないか?何かあった時は俺が守ってやるから」
いつもの甘い声で言われれば私はこれ以上断わり続けることは出来なかった
シアとルークには迷宮に行くことを報告したけど、朝、宿を出る時までずっと反対されてた
そのことにすごく気が引けたけどケリーと一緒に居られるということの方が今の私にとって大切だった
そう“だった”のに…
迷宮に入ってすぐから私は後悔していた

「ケリーそっちお願い!」
Cランクの魔物5体が群れで襲い掛かってきた
普通なら1人1体倒せばいいだけのことなのにそれが出来ない
ブルーとグリス、メリーは完全なる防御態勢だ

「シャノンそれも頼む」
ケリーの声に振り向くと1体と対峙したまま動かない
私既に3体倒したんだけど…
最初からずっとこんな感じだった
ケリーはAランクだと言っていたはずなのにCランクの魔物さえ苦戦する
他の3人も私と同じBランクのはず
なのに防御に専念するか逃げ遅れて邪魔になる
こんな実力だと知っていたら絶対に一緒には入らなかった

「助かったよシャノン」
ようやく倒してこっちに寄ってきたケリーに昨日までのときめきも何も一切感じなかった
別に弱いからってわけじゃ無い
口だけだからだ
今はもうケリーが何を言っても耳には入ってこなかった
ブルーたちに偉そうにちょっとくらい倒せと怒鳴りつけてるけど、私から言わせれば私よりランクの高いケリーが一番率先して倒してと言いたい
シアとルークを見てると余計にそう思ってしまう
だってケリーは自分が危うい時は助けろという癖に私が危なくても何もしてくれない
すでに何度か、かなり危ない目にあってたのに…
私は一体ケリーの何を好きになったんだろ…
結局1階層クリアするのに丸1日かかった

「流石に疲れたな。飯にしようぜ」
そう言いながらテントを張り始めた
「…これ以上は無理だよ」
私は声を絞り出すように言った
このメンバーでこれ以上進むのは明らかに無理だ

「何だって?」
「これ以上は無理って言ったの」
「そんなこと言うなよ。俺らは3階層の魔物が出すドロップが必要なんだ。だから…」
「そのドロップが出るまで私一人に戦わせる気なんでしょ?」
「は?」
「迷宮に入ってからあなた達何もしてないじゃない。やったことと言えば私が倒した魔物のドロップ拾いと、私の邪魔。かろうじてCランクの魔物をケリーが数体倒しただけじゃない」
こんな状態でこれ以上進むなんてお断り
そう思いながら吐き捨てる様に言った

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~

黒色の猫
ファンタジー
 孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。  僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。  そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。  それから、5年近くがたった。  5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。

八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。 パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。 攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。 ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。 一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。 これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。 ※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。 ※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。 ※表紙はAIイラストを使用。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

処理中です...