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15.異変
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「シャノンはもう少し命中率を上げた方がいいな」
「うぅ…」
自分でも自覚があるらしい
首のように比較的狙う面積が大きい場合は問題なく狙えるのに、ストーンウルフの様に動きが速い上に関節のみに絞られると一気に無駄打ちが増える
ストーンウルフを相手にした場合俺の命中率は9割弱、ルークは7割強、シャノンは3割強くらいだろうか?
「シアの命中率が良すぎるだけだよぉ」
「…そう言ってるうちは伸びないな」
俺は別に優しいだけの兄ではない
勿論本人が悩んだ上で望むなら協力は惜しまない
でもそうでない場合は好きにすればいいと思っているし、説得して何とかさせようなど面倒なことは一切する気がない
ちょっと促してやる気になるならそれに越したことは無いけど
このままいけば俺が成人するまでにシャノンがBランクに上がるのは確実だろうし、旅に出てからもフォローできるだけの力を付ければいいだけの話だとも思ってる
「でも命中率が上がれば回復薬の出番は確実に減るけどな」
「え?」
「当然だろ?ストーンウルフが相手ならシャノンの命中率は3割強、1発当てるのに3発必要ってことだ。その3発は何を消費してる?」
「…魔力」
「1頭倒すのに何回命中が必要だ?」
「3~4回?」
「お前が良く使うレーザーの魔力消費量は?」
「50」
予想はしてたけど意外と持ってかれるな
「今の命中率3割で1匹倒すのに必要な魔力量は単純に計算したら50×3発×3回で450、もし命中率が5割になったとしたら50×2発×3回で300ってことだ」
「10匹いたら…4500と3000でその差は1500?それまでの3匹分は軽く浮くってこと?」
「それに加えて補助魔法があるからな。あれの効力は時間じゃなく使用数。バイキルトをかける回数も減らせるってことだ」
「半日エンドレスだと最低でも20匹倒せるから…考えただけでもすごいな」
「ついでに言えば攻撃数に比例して体力も削られるからな。倒す前に向こうの攻撃を喰らえばそれ以上に消費する」
「あ…」
「シアが回復薬少なくて済むのはその辺も関係してるのか…」
「僕でも今7割くらいだよね?」
「そうだな」
「ちょっとでも上げたいなぁ…」
「シア、どうしたら命中率上げられる?」
シャノンが食いついてきた
消費量が多い=回復薬を消費する
その計算が出来れば金に執着するシャノンが回復薬の消費量を減らしたくなるのは当然か
年頃の女の子としてはどうかと思わなくもないが
「魔力の命中率は魔力をどれだけ自由に操れるかにもかかってくる。俺達の知る中で一番魔力操作がうまいのは?」
「「お母さん!」」
2人の声は揃っていた
「でもお母さん夕方以降はプライベートだし、休みの日は教えてくれないよね?」
「ん~低級迷宮踏破したからその日とかは?今はボスしか行ってないし…でも月に1回しかないか…」
月1回は流石に厳しいと2人は考え込んでしまった
「魔法活用の日に魔力操作をメインで教えてもらうのも有かもな」
「それなら月に2回で1週目と3週目だし丁度いいかも。その間に練習してみてもらえるね」
「じゃぁ次の魔法活用の日までに母さんを説得しないとな」
「それが一番難関かも…」
母さんは基本的に相談はいくらでも受けてくれる
でも何かをお願いする場合、最初から引き受けてくれることはまずない
どうしてそれを頼むのか、その結果何を得たいのか、どうして母さんに頼むのか、そんなことを次々と質問されて全てに納得して初めて引き受けてくれるんだ
つまり興味本位の軽い気持ちではまず叶わないってこと
「諦めるか?」
「諦めないもん。絶対説得する」
「僕も」
「なら頑張れ」
この様子なら多分大丈夫だろう
「さて、そろそろ再開するか?」
「「うん」」
2人は立ち上がると準備を始めた
「この時間からだとあと10回転はできそうだな」
「頑張る!」
「その意気だ」
埋めていたストーンウルフを穴から出すとシャノンに目配せする
頷いたシャノンは攻撃を繰り出した
シャノンと同じCランクでも素早さは天と地の差がある
魔法主体の俺とシャノンは大抵の敵なら危険は少ない
でも素早い敵とブラックウルフみたいに影を利用するような敵は別だ
その点ルークは元々剣が主体でそこに魔法を組み合わせるから直観的に攻撃できる
動体視力は俺よりもルークの方が遥かに高いから素早い敵でもあまり危うさは見せたことが無い
俺だってこれでも大分鍛えたんだけどな
結局この後12回転してから迷宮を出た
「うぅ…」
自分でも自覚があるらしい
首のように比較的狙う面積が大きい場合は問題なく狙えるのに、ストーンウルフの様に動きが速い上に関節のみに絞られると一気に無駄打ちが増える
ストーンウルフを相手にした場合俺の命中率は9割弱、ルークは7割強、シャノンは3割強くらいだろうか?
「シアの命中率が良すぎるだけだよぉ」
「…そう言ってるうちは伸びないな」
俺は別に優しいだけの兄ではない
勿論本人が悩んだ上で望むなら協力は惜しまない
でもそうでない場合は好きにすればいいと思っているし、説得して何とかさせようなど面倒なことは一切する気がない
ちょっと促してやる気になるならそれに越したことは無いけど
このままいけば俺が成人するまでにシャノンがBランクに上がるのは確実だろうし、旅に出てからもフォローできるだけの力を付ければいいだけの話だとも思ってる
「でも命中率が上がれば回復薬の出番は確実に減るけどな」
「え?」
「当然だろ?ストーンウルフが相手ならシャノンの命中率は3割強、1発当てるのに3発必要ってことだ。その3発は何を消費してる?」
「…魔力」
「1頭倒すのに何回命中が必要だ?」
「3~4回?」
「お前が良く使うレーザーの魔力消費量は?」
「50」
予想はしてたけど意外と持ってかれるな
「今の命中率3割で1匹倒すのに必要な魔力量は単純に計算したら50×3発×3回で450、もし命中率が5割になったとしたら50×2発×3回で300ってことだ」
「10匹いたら…4500と3000でその差は1500?それまでの3匹分は軽く浮くってこと?」
「それに加えて補助魔法があるからな。あれの効力は時間じゃなく使用数。バイキルトをかける回数も減らせるってことだ」
「半日エンドレスだと最低でも20匹倒せるから…考えただけでもすごいな」
「ついでに言えば攻撃数に比例して体力も削られるからな。倒す前に向こうの攻撃を喰らえばそれ以上に消費する」
「あ…」
「シアが回復薬少なくて済むのはその辺も関係してるのか…」
「僕でも今7割くらいだよね?」
「そうだな」
「ちょっとでも上げたいなぁ…」
「シア、どうしたら命中率上げられる?」
シャノンが食いついてきた
消費量が多い=回復薬を消費する
その計算が出来れば金に執着するシャノンが回復薬の消費量を減らしたくなるのは当然か
年頃の女の子としてはどうかと思わなくもないが
「魔力の命中率は魔力をどれだけ自由に操れるかにもかかってくる。俺達の知る中で一番魔力操作がうまいのは?」
「「お母さん!」」
2人の声は揃っていた
「でもお母さん夕方以降はプライベートだし、休みの日は教えてくれないよね?」
「ん~低級迷宮踏破したからその日とかは?今はボスしか行ってないし…でも月に1回しかないか…」
月1回は流石に厳しいと2人は考え込んでしまった
「魔法活用の日に魔力操作をメインで教えてもらうのも有かもな」
「それなら月に2回で1週目と3週目だし丁度いいかも。その間に練習してみてもらえるね」
「じゃぁ次の魔法活用の日までに母さんを説得しないとな」
「それが一番難関かも…」
母さんは基本的に相談はいくらでも受けてくれる
でも何かをお願いする場合、最初から引き受けてくれることはまずない
どうしてそれを頼むのか、その結果何を得たいのか、どうして母さんに頼むのか、そんなことを次々と質問されて全てに納得して初めて引き受けてくれるんだ
つまり興味本位の軽い気持ちではまず叶わないってこと
「諦めるか?」
「諦めないもん。絶対説得する」
「僕も」
「なら頑張れ」
この様子なら多分大丈夫だろう
「さて、そろそろ再開するか?」
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「頑張る!」
「その意気だ」
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頷いたシャノンは攻撃を繰り出した
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魔法主体の俺とシャノンは大抵の敵なら危険は少ない
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俺だってこれでも大分鍛えたんだけどな
結局この後12回転してから迷宮を出た
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2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
子供達の親のお話はこちら
■ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました(長編/ファンタジー)
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います
■あなた方が呪いと呼ぶそれは本当は呪いではありません
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