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第一章 これが所謂巻き込まれトリップ!?
仲良くなれる·····かな?
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「·····え」
僕を殺す宣言していた彼らの前に立ち塞がった少女は、全身を震わせながらもキッと睨み付けていた。
「先程から黙って聞いていれば····。貴方たちの都合でどうしてこの人が殺されなくちゃいけないんです!?オマケにいきなりこんな所に呼んでおいてこの国を救って欲しいですって!?ふざけないで!!」
「し、しかし聖女様····」
「その『聖女様』って呼ぶのも止めてもらえます?私は貴方たちの聖女になったつもりなんかこれっぽっちもないわ。それに····」
少女は僕の方をチラと見、先程よりも更に強く彼らを睨み付けた。
「彼は私の命の恩人なんです!この人がいなかったら、私はトラックに轢かれて死んでいたでしょう!そうしたら貴方たちは聖女をここに呼ぶ事すら出来なかった!!」
それでもまだ、彼を殺そうとしますか、とそう言い募った彼女はくたりと力が抜けたように後ろに倒れそうになった。
「······っと、危ない!大丈夫?」
「はい····、生まれてからこうやって誰かに怒る事なんてなかったから·····。何だか緊張の糸が切れちゃって····」
「僕の為に····?」
「当たり前ですよ。なんたって命の恩人ですからね!私は絶対に貴方の味方ですから!」
あぁ、この子はとても真っ直ぐな子なんだ。何だか聖女に選ばれたのも納得だ。
「聖女様を助けたというのは本当なのですか!?」
「え、あぁまあそう、ですね····?そうなるのかかな···」
すると、今まで殺気で溢れかえっていた彼らが僕に対して深々とお辞儀をしてきた。彼らの目に敵意や殺意はなく、心なしかショボンと垂れた耳と尻尾が見える。
「知らなかったとは言え、聖女様の命の恩人殿に大変無礼な振る舞いをしてしまいました。」
「「「「申し訳ございませんでした。」」」」
「い、いえ、あの、助けたのは偶然でしたし、そんな大層なことはしていませんので····」
「そんなことはありません!偶然であれ、あの時命を救っていただいたのは事実ですから!本当に感謝しているんです。」
「······そう言えば御仁、名は何と言うんだ。」
「ご、御仁····、ええと、名前は柴野有馬です。外国風に言うとアリマ·シバノ····かな?」
「わ、私は河山日菜と申します!ヒナ·カワヤマです。」
僕らが名乗ると、彼らも次々と自己紹介を始めた。
「僕の名はエリオス·マジェント。宰相補佐官をしております。以後お見知りおきを。」
「アタシはセラフィナ·リドゥエ。国王陛下直属の護衛をしているわ。ま、ヨロシク。」
「オレちゃんはトゥーカ·メリゼア☆おーさま専属の隠密『影』のリーダーだよん」
「俺はメーガン·シェラフィア!王宮騎士団団長をやってる。困ったことがあったら俺に言えよ!」
僕と一緒に異世界へ来た少女は日菜ちゃん、眼鏡のインテリ男はエリオスさん、サッパリとした美人な女性はセラフィナさん、天パなちゃらんぽらん男はトゥーカさん、ガッシリとした短髪美丈夫はメーガンさん。
·····なんか顔面偏差値高杉さんじゃない?僕めっちゃ浮いてるんだけど。
「有馬さん!これから宜しくお願いしますね!」
「うん、こちらこそ宜しく。日菜ちゃん。」
「ヒナ様、アリマ殿、謁見の間で女王陛下と王弟殿下がお待ちです。僕たちに着いてきて下さい。」
女王陛下·····、怖い人じゃないといいけど·····。
僕を殺す宣言していた彼らの前に立ち塞がった少女は、全身を震わせながらもキッと睨み付けていた。
「先程から黙って聞いていれば····。貴方たちの都合でどうしてこの人が殺されなくちゃいけないんです!?オマケにいきなりこんな所に呼んでおいてこの国を救って欲しいですって!?ふざけないで!!」
「し、しかし聖女様····」
「その『聖女様』って呼ぶのも止めてもらえます?私は貴方たちの聖女になったつもりなんかこれっぽっちもないわ。それに····」
少女は僕の方をチラと見、先程よりも更に強く彼らを睨み付けた。
「彼は私の命の恩人なんです!この人がいなかったら、私はトラックに轢かれて死んでいたでしょう!そうしたら貴方たちは聖女をここに呼ぶ事すら出来なかった!!」
それでもまだ、彼を殺そうとしますか、とそう言い募った彼女はくたりと力が抜けたように後ろに倒れそうになった。
「······っと、危ない!大丈夫?」
「はい····、生まれてからこうやって誰かに怒る事なんてなかったから·····。何だか緊張の糸が切れちゃって····」
「僕の為に····?」
「当たり前ですよ。なんたって命の恩人ですからね!私は絶対に貴方の味方ですから!」
あぁ、この子はとても真っ直ぐな子なんだ。何だか聖女に選ばれたのも納得だ。
「聖女様を助けたというのは本当なのですか!?」
「え、あぁまあそう、ですね····?そうなるのかかな···」
すると、今まで殺気で溢れかえっていた彼らが僕に対して深々とお辞儀をしてきた。彼らの目に敵意や殺意はなく、心なしかショボンと垂れた耳と尻尾が見える。
「知らなかったとは言え、聖女様の命の恩人殿に大変無礼な振る舞いをしてしまいました。」
「「「「申し訳ございませんでした。」」」」
「い、いえ、あの、助けたのは偶然でしたし、そんな大層なことはしていませんので····」
「そんなことはありません!偶然であれ、あの時命を救っていただいたのは事実ですから!本当に感謝しているんです。」
「······そう言えば御仁、名は何と言うんだ。」
「ご、御仁····、ええと、名前は柴野有馬です。外国風に言うとアリマ·シバノ····かな?」
「わ、私は河山日菜と申します!ヒナ·カワヤマです。」
僕らが名乗ると、彼らも次々と自己紹介を始めた。
「僕の名はエリオス·マジェント。宰相補佐官をしております。以後お見知りおきを。」
「アタシはセラフィナ·リドゥエ。国王陛下直属の護衛をしているわ。ま、ヨロシク。」
「オレちゃんはトゥーカ·メリゼア☆おーさま専属の隠密『影』のリーダーだよん」
「俺はメーガン·シェラフィア!王宮騎士団団長をやってる。困ったことがあったら俺に言えよ!」
僕と一緒に異世界へ来た少女は日菜ちゃん、眼鏡のインテリ男はエリオスさん、サッパリとした美人な女性はセラフィナさん、天パなちゃらんぽらん男はトゥーカさん、ガッシリとした短髪美丈夫はメーガンさん。
·····なんか顔面偏差値高杉さんじゃない?僕めっちゃ浮いてるんだけど。
「有馬さん!これから宜しくお願いしますね!」
「うん、こちらこそ宜しく。日菜ちゃん。」
「ヒナ様、アリマ殿、謁見の間で女王陛下と王弟殿下がお待ちです。僕たちに着いてきて下さい。」
女王陛下·····、怖い人じゃないといいけど·····。
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