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2章 ウィリアム
逢い引き
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「うわぁ····!凄く賑わっていますね!王都はいつもこうなんですか?」
「あぁ、王都はクラッシュハイドの中心に位置しているからね。様々な商人たちが行き交う場所なんだ。」
王都へ到着したアイリスは、初めて見る光景に目を輝かせた。アイリスは領地から出たことは数える程しかなく、暮らしている領民も少ない。だからこんなに人で溢れ返っている場所へ来るのは初めてなのだ。
(皆幸せそうな顔をしている···。国王陛下はとても良い政治を行っているのね。)
行き交う人々全て活気に溢れていて、見ているこっちまで嬉しくなってくる。
「王都ってとても楽しい所なんですね。今度両親とも来てみたいです。」
「楽しんでいただけて何よりだよ。連れてきた甲斐がある。·····と、危ない。」
「·····っ!」
大きな荷物を持って歩いていた人がアイリスにぶつかりそうになり、ウィリアムが咄嗟に肩を抱いて避けてくれた。密着した時にウィリアムから香る爽やかな香りがアイリスの鼻を擽り、思わず顔を赤らめた。
「大丈夫かい、アイリス嬢?」
「は、はい!ありがとうございます···。」
「····?顔が赤いね、どうしたの?」
「いえ!な、何でもないです····。」
心配そうに覗き込むウィリアムの整った顔が至近距離まで近づき、アイリスは更に顔を赤くしてしまう。
「····そう?ならいいけど···。」
まだ納得していない様子のウィリアムだが、アイリスがまたぶつかりそうにならないようにしっかりと腰を抱いてエスコートをしてくれた。
(なんだか本の中の王子様のようだわ···。)
「ん?どうかした?」
「い、いえ、ウィリアム様がなんだか王子様のようで···。」
「王子様····ね。·········あながち間違いじゃないけど·····。」
「····?ウィリアム様?今何と?」
「·····いや、何でもないよ。それよりほら、着いたよ。ここが王都で人気のケーキ店だ。」
ウィリアムが呟いた言葉を聞き返そうとしたが、アイリスの興味は目の前に広がるケーキ店に移された。
*******
「うわぁ····!美味しそう····!」
アイリスの目の前に広がるのは、テーブルに所狭しと運ばれた美しいケーキだった。
「でも、こんなに沢山···。」
「気にしなくていいよ。実は私も甘いものは好きでね。君が食べきれなかった分は私が貰い受けるから思い切り食べたらいい。」
「···で、では···!いただきます···!」
期待に目を輝かせたアイリスは小さくパチンと手を打つと、いそいそと手前にあった苺のショートケーキを口に含んだ。
「···········っ!!~~~っっ!!」
口に入れた瞬間に広がる甘い生クリームに、甘酸っぱい苺、フワフワしたスポンジケーキにアイリスの頬は知らず知らずの内に緩む。うっとり頬を蒸気させながら微笑むアイリスに、ウィリアムは瞳を細める。
「気に入ったかな?アイリス嬢?」
「えぇ、とっても!こんなに美味しいものに出会えるなんて·····!とても幸せです!」
「そうか、君が嬉しそうにしていると私も嬉しいよ。」
「ウィ、ウィリアム様もお食べになって下さい!とっても美味しいですから!」
「····うん?そうだね、じゃあいただくとしよう。」
と、ウィリアムは徐にアイリスの方へ腕を伸ばし、親指でアイリスの唇の端に付いていた生クリームを掬うと、それを口に含んだ。
「···ん、本当だ。とても甘くて美味しいね。」
「·····っ!?ウィ、ウィウィウィリアム様!?」
「ハハッ、顔が真っ赤だよ?アイリス嬢。可愛いね。」
「~~~っ、もう!からかわないで下さいませ!」
恥ずかしさのあまり涙目になってしまった瞳をギッとウィリアムに向け、子供のように頬を膨らませたアイリスに、ウィリアムは屈託のない少年のような顔で笑った。それは今まで見てきた紳士のような穏やかな笑みではなく、なんの計算もない笑みで、アイリスの中に僅かにあったからかわれた事による怒りは何処かへ霧散してしまった。
「·····もう。」
そうして2人はケーキ店で、甘い恋人のような雰囲気で過ごした。
「あぁ、王都はクラッシュハイドの中心に位置しているからね。様々な商人たちが行き交う場所なんだ。」
王都へ到着したアイリスは、初めて見る光景に目を輝かせた。アイリスは領地から出たことは数える程しかなく、暮らしている領民も少ない。だからこんなに人で溢れ返っている場所へ来るのは初めてなのだ。
(皆幸せそうな顔をしている···。国王陛下はとても良い政治を行っているのね。)
行き交う人々全て活気に溢れていて、見ているこっちまで嬉しくなってくる。
「王都ってとても楽しい所なんですね。今度両親とも来てみたいです。」
「楽しんでいただけて何よりだよ。連れてきた甲斐がある。·····と、危ない。」
「·····っ!」
大きな荷物を持って歩いていた人がアイリスにぶつかりそうになり、ウィリアムが咄嗟に肩を抱いて避けてくれた。密着した時にウィリアムから香る爽やかな香りがアイリスの鼻を擽り、思わず顔を赤らめた。
「大丈夫かい、アイリス嬢?」
「は、はい!ありがとうございます···。」
「····?顔が赤いね、どうしたの?」
「いえ!な、何でもないです····。」
心配そうに覗き込むウィリアムの整った顔が至近距離まで近づき、アイリスは更に顔を赤くしてしまう。
「····そう?ならいいけど···。」
まだ納得していない様子のウィリアムだが、アイリスがまたぶつかりそうにならないようにしっかりと腰を抱いてエスコートをしてくれた。
(なんだか本の中の王子様のようだわ···。)
「ん?どうかした?」
「い、いえ、ウィリアム様がなんだか王子様のようで···。」
「王子様····ね。·········あながち間違いじゃないけど·····。」
「····?ウィリアム様?今何と?」
「·····いや、何でもないよ。それよりほら、着いたよ。ここが王都で人気のケーキ店だ。」
ウィリアムが呟いた言葉を聞き返そうとしたが、アイリスの興味は目の前に広がるケーキ店に移された。
*******
「うわぁ····!美味しそう····!」
アイリスの目の前に広がるのは、テーブルに所狭しと運ばれた美しいケーキだった。
「でも、こんなに沢山···。」
「気にしなくていいよ。実は私も甘いものは好きでね。君が食べきれなかった分は私が貰い受けるから思い切り食べたらいい。」
「···で、では···!いただきます···!」
期待に目を輝かせたアイリスは小さくパチンと手を打つと、いそいそと手前にあった苺のショートケーキを口に含んだ。
「···········っ!!~~~っっ!!」
口に入れた瞬間に広がる甘い生クリームに、甘酸っぱい苺、フワフワしたスポンジケーキにアイリスの頬は知らず知らずの内に緩む。うっとり頬を蒸気させながら微笑むアイリスに、ウィリアムは瞳を細める。
「気に入ったかな?アイリス嬢?」
「えぇ、とっても!こんなに美味しいものに出会えるなんて·····!とても幸せです!」
「そうか、君が嬉しそうにしていると私も嬉しいよ。」
「ウィ、ウィリアム様もお食べになって下さい!とっても美味しいですから!」
「····うん?そうだね、じゃあいただくとしよう。」
と、ウィリアムは徐にアイリスの方へ腕を伸ばし、親指でアイリスの唇の端に付いていた生クリームを掬うと、それを口に含んだ。
「···ん、本当だ。とても甘くて美味しいね。」
「·····っ!?ウィ、ウィウィウィリアム様!?」
「ハハッ、顔が真っ赤だよ?アイリス嬢。可愛いね。」
「~~~っ、もう!からかわないで下さいませ!」
恥ずかしさのあまり涙目になってしまった瞳をギッとウィリアムに向け、子供のように頬を膨らませたアイリスに、ウィリアムは屈託のない少年のような顔で笑った。それは今まで見てきた紳士のような穏やかな笑みではなく、なんの計算もない笑みで、アイリスの中に僅かにあったからかわれた事による怒りは何処かへ霧散してしまった。
「·····もう。」
そうして2人はケーキ店で、甘い恋人のような雰囲気で過ごした。
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