辺境伯の悪癖と守護者の慈愛

サクラギ

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願望と現実

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 いったいいつの間にこんなことに。トリスの疑問はすぐに霧散した。イイ、イイとよがりながら、自ら腰を動かして、ガイアの雄に内壁を擦り付けた。ガイアの上に乗せられ、自分の雄を自分でヌき、羞恥のカケラもなく淫らに腰を振った。

「……こんなの、知らない……いや、やだ、違う、違う……」

 体と心と、もう一つの心がある。淫らな自分を内側にから眺めるような気持ちだ。知らない自分がガイアを受け入れ、淫らな姿を見せつけている。奥深くに精を吐き出され、その熱さに悦び、涙を流して嗚咽を漏らす。ガイアの表情には蔑みがある。娼婦を相手にするように、何の気遣いもなく、トリスを道具のように扱った。後穴から泡立った精が溢れて太ももを汚した。トリスは最初の精を吐き出した時、ガイアに顔を顰められ、雄の根本を紐で括られてから吐き出せていないので、赤く腫れてズキズキと痛んだが、行為に溺れたトリスには、それも新たな快感になる。

 奥底のトリスの心は泣いていた。狂っていると自身を罵る。でもこの行為をしているのはトリス自身だ。望んでガイアの行為に悦んでいる。

 ガイアが飽きるまで何度も体位を変え、何度も穿たれ、熱い精を受け止めた。興奮しきった体は悦び続け、意識を飛ばしながら、また覚醒するを繰り返した。

 疲弊した体が解放されたのは夜明けだ。精に塗れて汚れた体をベッドに放置された。ガイアは湯を浴び、従者に着付けされている。

「トリス、とても良かった。こんな淫らな体だ、我慢できないだろう? またすぐに抱きに来てやる。大人しく待っていろ」

 うつ伏せて起き上がれないトリスの裸体を見下ろし、冷めた声が背に落とされた。トリスの思考は沈んでいる。頭の中がズキズキと痛み、体が小刻みに震えている。

「ああ、甘い葉が欲しいのだな、いくらでも好きなだけ食べるが良い。ここにはおまえを咎める父もザグもいないよ」

 体の横に煙草が投げ置かれた。トリスの体がピクリと動く。あれだけ疲弊して動かなかった体が敏感に動き、震える手で煙草を取り上げたら、ガイアに奪われた。思わずガイアを睨み付けたら、ガイアに笑われた。

「まぁ待て」

 一本を取り出したガイアは煙草に火を付け、手を伸ばしたトリスを見て口端で笑む。煙草よりも先に口付けられた。舌の上に何かが乗る。次の口付けで酒が含まされ、手で顎を上げさせられ、飲み込まされた。強い酒に喉を焼かれ、咳き込むが、視線は煙草にある。ガイアに煙を吐きかけられながら、残りの煙草を渡された。焼けた喉に煙を吸う。再度、咳き込むことになるが、吸うことをやめられない。ガイアの嘲る笑い声が聞こえる。

 ガイアも、ガイアの従者も、トリスに軽蔑の視線を向けながら、部屋を出て行った。鍵の締まる重い音が響く。トリスは夢中で煙草を吸った。

 飲まされた薬は、男でも体が女になる作用を持つものだ。体が熱を持ち、潤滑油が無くても後穴が濡れる。体が受け入れる体勢を持つと、雄も勝手に勃った。汚れた体のまま、自分で雄を、穴を慰め、泣いた。

 夕方になると部屋の鍵が空いて、従者が入って来て、淫らな姿のトリスを清め、ベッドを掃除した。薄く透ける素材の緩い服を着せられる。腕に注射をされ、それが栄養剤だと聞かされる。

 従者が去り、しばらくすると外から馬車の音が近づいて来る。トリスはその音だけで期待した。ガイアが部屋に入って来ると、ドアが閉まるよりも早くガイアに駆け寄り、口付けをねだった。望み通り口付けされ、酒と共に飲み込まされた。ドクンと心臓が跳ねる。同時に体が痺れる。下着も付けず、勃ちっぱなしの雄も隠すことなく、トリスはベッドに両手を付き、腰を上げた。

「男娼だな」

 そう吐き捨てたガイアは、トリスの望み通り、薄い服をめくり上げ、両手で尻を開き、一気に奥に突き入れた。

「ああ、すごい、イイ、イイ……」

 馴染ませる間も取らず、乱暴に掻き回す。トリスの腰が淫らに揺れ、奥に引き入れる為に尻を突き出しては声を上げた。入れられたまま太ももを抱えられ、ベッドに座ったガイアの上に乗せられる。深くを穿たれ、床に潮を撒き散らした。

「ああ、ごめん、ごめんなさい……」

「部屋を汚すとは恥ずかしい。掃除しなさい」

 後ろから雄を抜かれ、背中を押された。床に落とされ、吹き出した潮の上に転がされた。後ろを見上げれば、王のように君臨するガイアがいる。冷めた目で見下ろされ、ゾクッと背が痺れた。

 汚した床を舐める。尻を高くガイアに向け、ガイアの形に開き、赤い肉の内側を見せた尻穴を見せつけた。溺れると良い。淫らなトリスの体に溺れ、誰よりもトリスを求めて欲しい。床を舐めながら、尻を振れば、ガイアが覆い被さって来る。トリスは歓喜に溺れる。ガイアの雄を受け入れ、激しく穿つ行為に従順に応えた。

 3日、夜明けまで求められ、薬漬けになった。次の日からガイアが来なくなった。従者に問うても答えは返らず、自暴自棄で煙草が増える。ドアをガチャガチャ動かしても開く気配はない。窓は開くが、向こう側に鉄格子がある。押しても引いても外れない。

 降雪期に入っている。外は雪に閉ざされている。馬車の轍も雪に消され、深い森がトリスを拒んでいる。

 寒い季節の筈なのに、トリスには寒さが感じられない。感覚が薬で麻痺している。一日に一度の栄養剤の注射と、水と酒で生きているトリスは、たった3日で痩せ細った。骨盤と足の骨、腕の骨、肋が浮き出ている。それなのに着ている物は薄い透けた肌着だけ。3日目に部屋に来た従者がトリスの顔を見て怯えた。それでも仕事をこなして戻って行く。やはり食事は与えて貰えないらしい。

 煙草以外の薬を飲まなくなったから、精に溺れることは無くなっていたが、感覚は抜けず、後穴がずっと疼いていた。
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