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エメ2
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お腹が空いてたまらなかった。
空船の食堂では酒を飲み、食事を取るものがたくさんいたけど、誰かにねだることは出来なかった。
獣人国からドールまで7日かかる。あと4日、食べずにいられるのかと不安になったけど、酒に酔った者に近づけば、痛い目を見る。殴られたり蹴られたり、性を求められるのも怖い。
エメは怖すぎて荷物庫の中で小さくなって寝ることにした。
具合が悪くなったのはいつだろう。お腹が空きすぎて感じなくなっていたけど、水だけは無料で飲めたから、あと4日くらい何とかなりそうだと思ったのに。エメは空船の倉庫で死を覚悟した。
「大丈夫?」
声をかけられ目を開けると、口移しで甘い液体を飲ませられた。
エメはびっくりしたけど、逆らう気力もなく、液体を飲み下した。
「おりこうだね。すぐに良くなるよ」
もう一度、液体を口移しで飲まされる。
「エメって言うんだってね、可愛い」
エメを見下ろす男は、耳の後ろを撫でてくれる。頬にキスをして、まるで母親のようだと思った。
「ユグって言うんだ、よろしく」
「……ユ…グ…」
「うん、そう。また後で来るね。今度は食べられそうな物持って来るよ」
「おまえ、態度が甘すぎやしないか?」
「可愛いから」
エメの寝ているベッドから去って行くユグを見ていると、ユグの隣に黒い獅子の獣人が並んで歩いて行く。
黒獅子の姿を持つ者は、現在、王位継承権を持ち、名に国名を持つ事を許された、イシュイルバーンだけの筈だ。
ユグはその背中を見送って、まさかねっと目を閉じた。
空船の食堂では酒を飲み、食事を取るものがたくさんいたけど、誰かにねだることは出来なかった。
獣人国からドールまで7日かかる。あと4日、食べずにいられるのかと不安になったけど、酒に酔った者に近づけば、痛い目を見る。殴られたり蹴られたり、性を求められるのも怖い。
エメは怖すぎて荷物庫の中で小さくなって寝ることにした。
具合が悪くなったのはいつだろう。お腹が空きすぎて感じなくなっていたけど、水だけは無料で飲めたから、あと4日くらい何とかなりそうだと思ったのに。エメは空船の倉庫で死を覚悟した。
「大丈夫?」
声をかけられ目を開けると、口移しで甘い液体を飲ませられた。
エメはびっくりしたけど、逆らう気力もなく、液体を飲み下した。
「おりこうだね。すぐに良くなるよ」
もう一度、液体を口移しで飲まされる。
「エメって言うんだってね、可愛い」
エメを見下ろす男は、耳の後ろを撫でてくれる。頬にキスをして、まるで母親のようだと思った。
「ユグって言うんだ、よろしく」
「……ユ…グ…」
「うん、そう。また後で来るね。今度は食べられそうな物持って来るよ」
「おまえ、態度が甘すぎやしないか?」
「可愛いから」
エメの寝ているベッドから去って行くユグを見ていると、ユグの隣に黒い獅子の獣人が並んで歩いて行く。
黒獅子の姿を持つ者は、現在、王位継承権を持ち、名に国名を持つ事を許された、イシュイルバーンだけの筈だ。
ユグはその背中を見送って、まさかねっと目を閉じた。
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