何度生まれ変わっても愛されないので今生は強気でいきます!

サクラギ

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【2】軍生活

7・黒い兵服

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「おまえなあ、なんでその服なんだよ!」

 次の日、炎竜軍を除隊させられたユーリは、嬉しそうにレティウスのおさがりを着ている。
 形は第一軍の兵服とかわらない。銀竜軍は魔術軍で黒が基本色となる。だから兵服も黒。剣帯もあり、フックには魔術具や薬草を入れる革袋が付いている。それもレティウスからのおさがりで、レティウスを示す銀の双羽の紋が刻まれていて、特別なものを貰ったようで、ユーリは嬉しくて仕方がなかった。

「除隊させられたので、着ても良いのかと……」

 まだ第一軍の宿舎内である。周りは緑一色だ。中に黒い兵服のユーリがいれば、おのずと視線を誘うのだが、ユーリはもうなんとも思っていない。レティウスの気持ちを着ている気がしているのだ、最強である。

「わかった。もう俺の身に余る。……ついて来い」

 ギルバートは近くにいた副官に今後の予定を伝え、ユーリを伴って軍用の馬車に乗り、城壁内の奥へと進んで行った。御者はギルバート、他の者は排除したらしい。馬車の中はユーリひとり。軍施設内は慌ただしく、早朝訓練や走る兵をたくさんみたが、軍施設を抜けると静かな風景が続いていた。ときおり、城で働く者の姿があるが、ゆったりとおしとやかに歩いている。まるで違う風景に興味を惹かれていたのだが、馬車はそういった城の全面よりも裏へと進んで行った。

 いちおう、ユーリは元王族である。城内に立ち入りを禁じられた場所は、王専用区くらいである。それも許可を得れば出入り出来る身分だった。ただユーリはまわりのことに興味を持たなかったから、行けても行かなかった場所がたくさんある。
 いま、馬車が入り込んだ場所も、ユーリが興味を持たなかった場所のひとつだった。

 厳重な警戒門、それは目に見えてあるものではなく、魔術を使用した許可制限区域だ。視界にも制限がされているようで、制限区域を越えたとたん、白く大きな建物が見える。

 四角い建物を重ねて連ねたような姿の建物は、山肌の中に後部をめり込ませている。全容がわからない建物であり、制限区域外から見れば、そこはただの低い山だった。

 白い建物の前方中央、上部半円の扉の前で馬車を止めたギルバートは、馬車の扉を開け、ユーリを下ろすと、神妙な顔つきでユーリの前に立つ。

「おまえが元王子だからできることだ、着いて来い」

 ユーリには何となくここがどんな施設かわかっていた。身に伝わる警戒の念と、張り詰めたような空気感が、未知の世界を示しているようで、ユーリは緊張をしている。でも身に着けているレティウスの兵服が、少しだけ守っていてくれるようで、今日着ていて良かったと思う。

 半円の扉は、開け放つのではなく、選ばれた者、許された者しか入れない造りらしく、ギルバートに背を支えられ、一緒に扉に吸い込まれる形で中に入った。

「無事に入れたな」

 ギルバートはホッとした表情をしている。

「入れない可能性もあったのですか?」

 ユーリは不満顔だ。入れなかったらひとりだけ弾かれて、外に残されることになっていたのか。それはちょっと恥ずかしくはないかと思うユーリだ。

「いやあ、一応、許可は取っているし、おまえは元とはいえ王族だし、大丈夫だとはわかっていても、俺は魔術と無縁な存在なんでね。ダメな場合を想定するんだよ、なんとなく」

「……そうですか。疑問なんですが、どうして隊長は入れるのですか? 私が思うに、隊長が一番入ってはいけない存在なのでは?」

 一番の疑問をぶつければ、ギルバートは飽きれるように笑う。

「ふつうはそう思うよな。でもさ、俺、これでも竜騎士なんだよね」

「は?」

 ありえない言葉を聞いたユーリは、疑うようにギルバートを見た。
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