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【2】軍生活
6・炎竜軍執務室のとなり
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ギルバートから夜会の誘いがない。本当に行かせてくれないのだとわかっても、もう7日目なのだ。あの恐怖が忍び寄って来ている。
隣の隊長室にはギルバートがいる。いつもより仕事量が多いとボヤきながら私室に書類を持ち込み、机に向かっていた。今日に限って本当なのかわからないが、ユーリは定時刻で終わり、夜会に行く為の貴族服に着替えている所だった。
空気が揺れた気がして振り返ろうとすると、背中にぬくもり、そして馴染んだ香りに包まれた。
どうして? と声に出そうとすると、声を口付けで塞がれ、静かにと耳元で囁かれた。
手にしていた服を取り上げられ、部屋の隅にある簡易なベッドの上に押しつけられる。
「ん、んんっ」
隣の部屋にはギルバートがいる。いつ繋がる扉を開けられるかわからない。やめて欲しいと声を出そうとしても、漏れるのは喘いでいる吐息だけ。
慣れた手つきで服を剥ぎ取られ、裏返されたと思うと、後穴から突き抜けるように痛みが走った。強引に開かれたそこは、もう何ヶ月も使われておらず、久しぶりの挿入に悲鳴をあげている。動きは性急のまま労る気もない酷いものだったが、ユーリには悦びしかない。
ずっと口付けだけ、ただ命を繋ぐだけの行為を7日ごとに繰り返していた。きっとユーリが欲しいと言えばレティウスは抱いてくれただろう。でもユーリからは言い出せなかった。
何かの間違いで抱いてくれないかと思い続けていた。だから痛くても、酷い行為でも嬉しい。
内側でレティウスの精が溢れ、やっと痛みよりも良さが上まる。
声が出そうになるとレティウスの手が口を塞いで来る。
苦しくて涙が滲む。
愛してると言いたかった。でも声は出させてもらえず、口付けさえ望めない。
ただレティウスの激しい行為を身に受け、じっと受け身でいるだけだった。
息が苦しくて意識が遠のく。
何度目かの挿入と排泄を繰り返し、レティウスの気が済んだのか、解放された。レティウスは服も脱いでいない。何度も行為を繰り返したはずなのに表情ひとつ変わっていない。
ユーリだけが裸体をさらし、ベッドの上に横たわったまま。腰も手足も甘い痺れで動けないユーリを良いことに、ユーリのクローゼットを勝手に開けたレティウスは、ギルバートが用意した服を全部魔力で消してしまった。
ユーリはただ見ていた。
ギルバートへの嫉妬だったら良いのにと思うけど、きっと違う。
ユーリが軍にいるのが気に入らない。夜会に出席するのも気に入らない。そんなところだろう。
あっけなくレティウスが消えて行く。移動の魔法を使えば行き来など一瞬だ。
いつものように魔力で体を清めてくれたら良いのに、楽をさせるのも嫌なのか。仕方なく体を起こすと中に出されたものが溢れて来る。溢れるものにも甘い反応を覚えると、ユーリはひとり恥ずかしさに耐えた。
兵用の湯殿は共同だから、こんな状態で行けばいらぬ誤解を生む。
思いつくのは隣の部屋かと、シーツを体に巻きつけて隣へ通じる扉へ向かう。ノックして、少し開けて覗くと、呆れ顔のギルバートが無言で湯殿の方を示した。好きに使えと言うことらしい。ユーリは着替え、といってもレティウスに消されたので最初に持って来たレティウスの屋敷から持ち込んだものしかないのだが、それを持って湯殿に向かった。
最初にレティウスのものを掻き出し、傷はないか確かめたが、そこは治癒魔法が施されているらしい。ホッとして湯殿に浸かると、湯殿の扉が大きく開く。
音に驚いて見れば、怒りを露わにしたギルバートが立っていた。
「除隊だ、除隊! 俺の隣でしやがって! 絶対にゆるさん!」
「レティウスに言って下さい。私の意思ではありません」
「おまえ、あれ嫉妬だろ? 嫉妬だよな?」
「……そうでしょうか? 嫌がらせでは?」
ユーリの言葉にギルバートは考える仕草をする。
その時、隊長室にノックの音が響き、「お届け物です」と兵の声が聞こえた。
ユーリが隊長用の湯殿に入っているなど知られたらやっかいだと、ギルバートは兵が部屋に入って来る前に出て行った。
しばらくするとギルバートが戻って来る。
「完全に嫉妬だ」
ギルバートの言葉にどういうことだと首を傾げた。
「レティウスから真新しい兵服一式と貴族服が届いた。しかもレティウスのお下がり魔術軍兵服もあったぞ」
「ああ、さっきレティウスに隊長から頂いた服全部消されてしまいました」
「ふざけるな、あのやろう!」
ギルバートは怒りのまま扉を閉めて出て行った。
ユーリは暖かい湯で体を清めながら、本当に嫉妬なのだろうかと、胸を高鳴らせていた。
隣の隊長室にはギルバートがいる。いつもより仕事量が多いとボヤきながら私室に書類を持ち込み、机に向かっていた。今日に限って本当なのかわからないが、ユーリは定時刻で終わり、夜会に行く為の貴族服に着替えている所だった。
空気が揺れた気がして振り返ろうとすると、背中にぬくもり、そして馴染んだ香りに包まれた。
どうして? と声に出そうとすると、声を口付けで塞がれ、静かにと耳元で囁かれた。
手にしていた服を取り上げられ、部屋の隅にある簡易なベッドの上に押しつけられる。
「ん、んんっ」
隣の部屋にはギルバートがいる。いつ繋がる扉を開けられるかわからない。やめて欲しいと声を出そうとしても、漏れるのは喘いでいる吐息だけ。
慣れた手つきで服を剥ぎ取られ、裏返されたと思うと、後穴から突き抜けるように痛みが走った。強引に開かれたそこは、もう何ヶ月も使われておらず、久しぶりの挿入に悲鳴をあげている。動きは性急のまま労る気もない酷いものだったが、ユーリには悦びしかない。
ずっと口付けだけ、ただ命を繋ぐだけの行為を7日ごとに繰り返していた。きっとユーリが欲しいと言えばレティウスは抱いてくれただろう。でもユーリからは言い出せなかった。
何かの間違いで抱いてくれないかと思い続けていた。だから痛くても、酷い行為でも嬉しい。
内側でレティウスの精が溢れ、やっと痛みよりも良さが上まる。
声が出そうになるとレティウスの手が口を塞いで来る。
苦しくて涙が滲む。
愛してると言いたかった。でも声は出させてもらえず、口付けさえ望めない。
ただレティウスの激しい行為を身に受け、じっと受け身でいるだけだった。
息が苦しくて意識が遠のく。
何度目かの挿入と排泄を繰り返し、レティウスの気が済んだのか、解放された。レティウスは服も脱いでいない。何度も行為を繰り返したはずなのに表情ひとつ変わっていない。
ユーリだけが裸体をさらし、ベッドの上に横たわったまま。腰も手足も甘い痺れで動けないユーリを良いことに、ユーリのクローゼットを勝手に開けたレティウスは、ギルバートが用意した服を全部魔力で消してしまった。
ユーリはただ見ていた。
ギルバートへの嫉妬だったら良いのにと思うけど、きっと違う。
ユーリが軍にいるのが気に入らない。夜会に出席するのも気に入らない。そんなところだろう。
あっけなくレティウスが消えて行く。移動の魔法を使えば行き来など一瞬だ。
いつものように魔力で体を清めてくれたら良いのに、楽をさせるのも嫌なのか。仕方なく体を起こすと中に出されたものが溢れて来る。溢れるものにも甘い反応を覚えると、ユーリはひとり恥ずかしさに耐えた。
兵用の湯殿は共同だから、こんな状態で行けばいらぬ誤解を生む。
思いつくのは隣の部屋かと、シーツを体に巻きつけて隣へ通じる扉へ向かう。ノックして、少し開けて覗くと、呆れ顔のギルバートが無言で湯殿の方を示した。好きに使えと言うことらしい。ユーリは着替え、といってもレティウスに消されたので最初に持って来たレティウスの屋敷から持ち込んだものしかないのだが、それを持って湯殿に向かった。
最初にレティウスのものを掻き出し、傷はないか確かめたが、そこは治癒魔法が施されているらしい。ホッとして湯殿に浸かると、湯殿の扉が大きく開く。
音に驚いて見れば、怒りを露わにしたギルバートが立っていた。
「除隊だ、除隊! 俺の隣でしやがって! 絶対にゆるさん!」
「レティウスに言って下さい。私の意思ではありません」
「おまえ、あれ嫉妬だろ? 嫉妬だよな?」
「……そうでしょうか? 嫌がらせでは?」
ユーリの言葉にギルバートは考える仕草をする。
その時、隊長室にノックの音が響き、「お届け物です」と兵の声が聞こえた。
ユーリが隊長用の湯殿に入っているなど知られたらやっかいだと、ギルバートは兵が部屋に入って来る前に出て行った。
しばらくするとギルバートが戻って来る。
「完全に嫉妬だ」
ギルバートの言葉にどういうことだと首を傾げた。
「レティウスから真新しい兵服一式と貴族服が届いた。しかもレティウスのお下がり魔術軍兵服もあったぞ」
「ああ、さっきレティウスに隊長から頂いた服全部消されてしまいました」
「ふざけるな、あのやろう!」
ギルバートは怒りのまま扉を閉めて出て行った。
ユーリは暖かい湯で体を清めながら、本当に嫉妬なのだろうかと、胸を高鳴らせていた。
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