119 / 136
捜査最終日
注意:119. 十一日目(謹慎三日)、庭村の美学
しおりを挟む
「後藤ちゃん。やるねぇ~。流石は俺が見込んだでけの事はあるよ!」
相手(庭村)の反応を見て、どうやら凶が出た感じでないのだけは
確かだったが東は母親の旧姓なのか仮名なのかの判断がつかなかった。
「東ってのは通り名なのか?」
「いいや。違うよ。本名である事は間違いないし君が大きな勘違いを
しているに過ぎないんだよ」
「一体どういう事だ?」
「なぁに簡単な事だよ。庭村が性で東が名に当たる。つまり庭村東が
正式な氏名になる」
「東が苗字だと勝手に勘違いしてたって事か……」
「そんな単純なトリックに騙されていたのかって顔してるよな。この
アイデアは黒沢から貰ったんだけどな。上手く行って良かったよ」
庭村がドヤ顔で後藤を眺めている。対する後藤は顔から火が出る程
、恥ずかしい想いをしていた。
「後藤ちゃん。見破れなかったとしても落ち込む必要なんて無いよ。
俺の芝居が上手すぎるだけだからさぁー」
大股開きで態度がデカくなっている庭村が後藤の肩を叩きながら、
悦に入っていた。
「死亡した人って、あなたの娘さんだったんですね?」
「そうだけど血は繋がっていないんだ。しかも複雑でね。その件は、
死亡した娘の秘密の件に直接絡むことだから、また後で話そう」
「随分焦らすんですね?」
「パパっと終わらせる事も出来るけど、凄くツマラナイじゃない。
だから焦らせるだけ焦らすのを基本としてるのかな~。じゃあ横道
その1だけど僕の美学をお話ししよう」
「まさか軟禁させられた状態で、あなたの美学を聞く事になるとは
思わなかったです」
「まぁ普通はそうだろうね。僕は犯罪を犯す時、最も拘っている点
が美しさにある。では美しさの対義語は醜さであるが、醜い行為は
一般道路で歩行中の対象者をワゴン車で拉致するやり方が挙げられ
る。何でも強引に力業ってのが下品なんだよ。その点、僕のやり方
は違う。蟻地獄のように抜け出せない設定を作ると共に自発的に、
誘い込むのが最重要ポイントなんだ。分かるかい?」
「これはヤバイ。蟻地獄を用意してる時点で相当にヤバイですけど
ね……」
「ヤバイかっ。俺はヤバイんだな。フゥーッ」
一瞬クスリでもやっててトリップしたのかと思う程、以上に興奮
した表情で机に置いておいたサムライエッジ改を右手に持って後藤
に近付いて銃身部分で左右の頬をペシペシし始めて忠告を促す庭村。
「あんまり、俺の前でヤバイを連呼しない方が良い。未だ木島課長
の自殺の詳細も残っているんだ。俺を刺激しない方が良いよ」
「はいっ。以後、気を付けますっ!」
後藤は銃身でペシペシされながらも目付きがイッちゃってる庭村
を横目で見ていた。初めて見る庭村の素顔に自分自身の首周りから
汗が噴き出てきており、ねっとり感に纏わりつかれながらも、どう
する事も出来ない歯痒さを感じていた。
相手(庭村)の反応を見て、どうやら凶が出た感じでないのだけは
確かだったが東は母親の旧姓なのか仮名なのかの判断がつかなかった。
「東ってのは通り名なのか?」
「いいや。違うよ。本名である事は間違いないし君が大きな勘違いを
しているに過ぎないんだよ」
「一体どういう事だ?」
「なぁに簡単な事だよ。庭村が性で東が名に当たる。つまり庭村東が
正式な氏名になる」
「東が苗字だと勝手に勘違いしてたって事か……」
「そんな単純なトリックに騙されていたのかって顔してるよな。この
アイデアは黒沢から貰ったんだけどな。上手く行って良かったよ」
庭村がドヤ顔で後藤を眺めている。対する後藤は顔から火が出る程
、恥ずかしい想いをしていた。
「後藤ちゃん。見破れなかったとしても落ち込む必要なんて無いよ。
俺の芝居が上手すぎるだけだからさぁー」
大股開きで態度がデカくなっている庭村が後藤の肩を叩きながら、
悦に入っていた。
「死亡した人って、あなたの娘さんだったんですね?」
「そうだけど血は繋がっていないんだ。しかも複雑でね。その件は、
死亡した娘の秘密の件に直接絡むことだから、また後で話そう」
「随分焦らすんですね?」
「パパっと終わらせる事も出来るけど、凄くツマラナイじゃない。
だから焦らせるだけ焦らすのを基本としてるのかな~。じゃあ横道
その1だけど僕の美学をお話ししよう」
「まさか軟禁させられた状態で、あなたの美学を聞く事になるとは
思わなかったです」
「まぁ普通はそうだろうね。僕は犯罪を犯す時、最も拘っている点
が美しさにある。では美しさの対義語は醜さであるが、醜い行為は
一般道路で歩行中の対象者をワゴン車で拉致するやり方が挙げられ
る。何でも強引に力業ってのが下品なんだよ。その点、僕のやり方
は違う。蟻地獄のように抜け出せない設定を作ると共に自発的に、
誘い込むのが最重要ポイントなんだ。分かるかい?」
「これはヤバイ。蟻地獄を用意してる時点で相当にヤバイですけど
ね……」
「ヤバイかっ。俺はヤバイんだな。フゥーッ」
一瞬クスリでもやっててトリップしたのかと思う程、以上に興奮
した表情で机に置いておいたサムライエッジ改を右手に持って後藤
に近付いて銃身部分で左右の頬をペシペシし始めて忠告を促す庭村。
「あんまり、俺の前でヤバイを連呼しない方が良い。未だ木島課長
の自殺の詳細も残っているんだ。俺を刺激しない方が良いよ」
「はいっ。以後、気を付けますっ!」
後藤は銃身でペシペシされながらも目付きがイッちゃってる庭村
を横目で見ていた。初めて見る庭村の素顔に自分自身の首周りから
汗が噴き出てきており、ねっとり感に纏わりつかれながらも、どう
する事も出来ない歯痒さを感じていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる