家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche

文字の大きさ
289 / 428
1

288

しおりを挟む
委員会があったのでいつもより遅く学校を出た麻紀は、駅前にある塾に向かって歩いていた。
「もう!あと何日かで入試なんだから、少しは気を使ってよね!
早く行かなくちゃ、もう授業始まっちゃうよ・・・
あれ?斉藤先輩⁉︎とあれは・・・」
麻紀が通りの反対側の歩道を見ると、制服姿の鷹文が駅へ向かって歩いていた。
偶然出会えたことが嬉しくなり、『先輩』の声が出かかったのだが、隣に制服の女子が歩いてるのを見つけた麻希は、その声を飲み込んでしまった。
「あれってこの前の・・・」
視力のいい麻希は、すぐにその女子が彩香だと(初詣の和服の女性だと)わかった。
結衣から聞いてはいたのだが、鷹文が彩香と一緒に歩いているのを実際に目撃して、麻紀はなんとも言えない悲しい気持ちになった。
「せ、先輩・・・」
麻紀は呆然としたまま、二人を追いかけ始めた。

気づかれないように麻紀が後をつけていると、彩香たちはスーパーへ入っていった。
「家政婦って、ほんとなんだ・・・」
呆然と呟きながら、少し遅れて麻希も店内へと足を踏み入れた。

「今日はお鍋よ」
野菜を物色しながら、彩香は鷹文に今晩のメニューを伝えた。
「またか?」
「和泉さんからのリクエストでね。晩酌のお供にいいんだって」
「和泉さんが家主みたいだな」
鷹文がため息をついた。
「そうね。和泉さんには勝てないよね」
彩香が笑った。
「で、今日は何鍋なんだ?」
気を取り直して鷹文が尋ねた。
「うん。カキがいいんだって」
「なら・・・まあいっか」
「鷹文くんもカキ好きなの?」
「ああ、最近はやめてるけど、小さい頃はよく生でも食ってた」
「おいしいよね。レモン醤油で食べるの」
彩香はカキのつるんと入っていく喉越しを思い出していた。
「ああ・・・なんか久しぶりに食いたくなってきたな」
「どうして今は食べないの?」
「・・・食中毒、怖いだろ」
言いながら、鷹文は生食用の牡蠣を見た。
「そう?私は気にならないけど」
「・・・なら、俺も食ってみるか」
どうやら彩香には負けたくないらしい。
「大丈夫?」
「彩香が平気なら、多分・・・な」
鷹文は自信なさげに答えた。
「えー、なんか怖がってない?」
「そ、そんなことない!大丈夫だって」
彩香に覗き込まれて、鷹文は思わず後ずさった。
「でも、気分でなっちゃう人もいるんだよ。プラセボ、だっけ?」
「ああ、プラセボ、偽薬効果・・・大丈夫だ」
鷹文は、さも自信ありげに答えた。
「じゃあ、鷹文くんがまた食べたくなるように、美味しそうなのにしなくちゃ・・・」
鷹文を可笑しそうに見ながら、彩香は生食用のカキを選び始めた。

「仲、いいんだ・・・」
物陰から二人を見ていた麻希は、くやしそうに唇をかんだ。
「・・・あっ、塾!」
やっと思い出した麻希は、慌ててスーパーを後にした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...